Ginza Maison Hermès - Tool Roots

Tool Roots

われわれが日々、手にしている道具の形はどうやって生まれたのでしょうか?プロダクトデザイナーのマイク・エーブルソンは長年にわたり、独自のリサーチを続けています。「ツール・ルーツ」と名付けたリサーチでは、道具の形がどのように互いに影響し、つながりあい、変化していくかを考えていきます。今回は「オブジェに宿るもの」というテーマに導かれ、メゾンエルメスのウィンドウに彼の壮大なリサーチの内容を再現します。

エーブルソンによると、道具は3つのベーシックな形、「Stick (棒)」、「Rope (縄)」、「Bowl (器)」から成り立っています。私たちの身のまわりにある道具の形は、この3つの形の組み合わせでできているのです。その様子を説明するために、「ツール・ルーツ」ではベーシックな形を赤、青、黄の3色に分け、その色を混ぜ合わせることで道具の形の多様性をあらわしました。

その中におさめられたエルメスのオブジェ。すなわち鞭、馬具、テーブルウエア、バッグ、ベルト。このスペクトルの中に入ると、不思議とどのオブジェも同じカテゴリーのオブジェと形が似ているだけでなく、似た機能を持っていることがわかります。

エーブルソンは日々観察をしています。日常生活にあるオブジェを手に取ったとき、なぜ、どうして、と疑問に思うところからリサーチが始まります。

「ツール・ルーツ」の3つの形の根源は人間の手。「Stick」は手が届かないところに届くこと、「Rope」はたくさんのものを抱えること、「Bowl」は形のないものをすくうこと。いずれの道具もこういった手の動作を長い時間続けるためにつくられた、とエーブルソンは仮定します。人間が生み出した道具は、素材や環境、日々の行動の変化によって少しずつ形を変えて、ひとりではできないことができるようになっていったのです。

展示期間 2017年5月18日~7月25日