Ginza Maison Hermès - 視覚遊び

2021年、銀座メゾンエルメスのショーウィンドウは「Human Odyssey」という年間テーマのもと、さまざまなアーティストとコラボレーションした表現を行っています。

2021年7月29日から11月2日の会期で展開されたのは、モダンオプティカルアートとキネティックアートに着目し活動を続けるパリ在住のアーティスト、ジュリオ・ル・パルクによるウィンドウ。「視覚遊び」というテーマで、銀座の街に彩を添える演出を展開しました。公式サイトで紹介されている内容をもとに、コンセプトや特徴を紹介します。

視覚的な効果を探求する上で最も重要な要素の一つである色。「なぜ私が色を取り扱うのか、それはバリエーションやボリュームを研究する上で、置き換えて無限に遊ぶことができるからだよ」と、ル・パルクは言います。

色を単なる色彩として扱うのではなく、形やボリュームを持つものとして考えるアーティストは、独自の視覚遊びをテーマとした銀座のウィンドウを手がけました。

正面のウィンドウでは、店舗に入る前に、ふと自分が外側にいるのか内側にいるのか分からなくなるような感覚を演出するため、アーカイブから「Cible」という作品が選ばれました。中に立つマネキンは動かないものの、街を歩く私たちが動くことでウィンドウの見え方が幾通りにも変わります。上部から吊られたミラーパネルを通してみると、ウィンドウはいつもとはまったく異なる印象で、不思議な感覚が味わえるでしょう。

一方、ファサードに面した16個のショーケースでは、70、80年代に制作された絵画シリーズ「Alchimie」と「Modulation」の中から選んだ作品群を部分的に立体にすることで、まるでアーカイブ作品が書籍から飛び出してエルメスの商品と一体になったような空間が生み出されました。

「Alchimie」の絵画はモノクロのグラデーションから始まり、徐々に色や物語が加わる、現実と仮想のまじりあうシリーズ。「Modulation」は動きのあるチューブが立体や平面となりながら、奥行や横の広がりを生み出すことを研究したシリーズです。これらの一連の作品は、92歳となる今もチャレンジを続けるル・パルクとの遠隔でのやり取りのもと制作されました。

アーティスト ジュリオ・ル・パルク
展示期間 2021年7月29日~11月2日