自分の視点で“時”や“時計”をあらためて考える、「RHYTHM時計デザインアワード」大賞が発表

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自分の視点で“時”や“時計”をあらためて考える、「RHYTHM時計デザインアワード」大賞が発表

2020年に創業70周年を迎える、リズム時計工業株式会社(以下、リズム時計)。「刻(とき)を彩り、暮らしを包むリズム」をブランドステートメントに掲げ、自社での一貫した企画・開発、製造技術などを強みに多くの時計を世に送り出してきた。

今年、社名を冠した「RHYTHMブランド」の新たな一歩を刻むためのアワード「RHYTHM時計デザインアワード2019」をはじめて開催。商品化を視野に入れたプロダクト部門と、文字盤デザイン部門の2部門で募集をおこなった。ブランドとして初の開催ではあったが、プロダクト部門の応募総数は511点、文字盤部門の応募総数は1,155点もの作品が集まった。

本記事では、プロダクト部門について、テーマや審査会の様子、受賞作品についてレポートする。

テーマは「あしたのRHYTHM(リズム)」

プロダクト部門のテーマは「あしたのRHYTHM(リズム)」。過去、現在、未来を紡ぎ、人びとの思い出とともに時を刻み続ける「時計」というプロダクトの意味を問い直し、今の生活における新たなクロックのあり方を提案してもらうという募集内容だった。

RHYTHM時計デザインアワード

特筆すべき点としては、プロダクト部門の入賞作品は商品化を視野に入れた募集ということ。大賞に限らず、入賞者の作品はすべて商品化が検討されるのは応募者にとって大きなモチベーションとなる。

ユーザーが手にとるところまでを想定した審査会

プロダクト部門の審査員は、デザインジャーナリストの川上典李子さん、家具デザイナーの小泉誠さん、建築家の鈴野浩一さん、そしてリズム時計から清水宏昭さんと谷野修さんが参加した。

審査は大きく2つに分けておこなわれ、一次審査はプレゼンテーションシートによる書類審査、二次審査は模型を用いたプレゼンテーション形式の審査だった。重要となった審査基準は「テーマの理解」「共感を生む表現」「実現の可能性」「市場の可能性」の4つ。

一次審査では審査員ひとりひとりが好評価の作品に投票をおこない、複数の票が入ったものの中からさらに数をしぼり、二次審査に進む7作品が選出された。

二次審査では7名の通過者が一堂に会し、審査員を前に作品のコンセプトや特徴などをアピール。その後、審査員全員でクローズの討論をおこない、作品の選定をおこなった。

プロダクト部門は“商品化を視野に入れた募集”のため、審査基準のひとつ「市場の可能性」というポイントで審査員が多く意見を交わすシーンが見られた。「これはあのインテリアショップで置けそう、こっちはミュージアムショップに合いそうだ」など、商品化した場合にどの店舗で置くか、商品化した場合の価格を想定するなど、かなり現実的にユーザーに届くまでの道のりがイメージされていたのが印象的だった。

また、創業70年をむかえるリズム時計の初のアワードということもあり、いい意味でブランドのイメージを覆すような作品かどうか、などという話も争点に上がった。応募総数511点の中から、狭き門をくぐり抜けた、大賞1点と優秀賞2点を紹介する。

大賞は、暮らしのリズムを整えるプロダクト

【大賞】It’s time for…/三澤直也
大賞に選ばれたのは三澤直也さんの作品「It’s time for…」。文字盤外周部のベゼル(枠)が360度回転し、指標となる時刻に目印をつけることができるようになっている。

ひとりひとりが何となく持っている「時間の区切り」のようなものを可視化できるプロダクトで、絶え間なく流れる時間を意識的に区切り、暮らしのリズムを整えるというプロダクトの提案だ。

【優秀賞】Landscape/安田紘基
安田紘基さんが提案した「Landscape」のコンセプトは“「時刻」を表すのではなく「時の流れ」を感じさせる、余白をもった時計”。日時計のように、Landscapeは文字盤などの情報を一切排除し、「森、山、谷、丘、川」が点在する、中央に一本の木(針)が生えたシンプルな時計になっている。

優秀賞 landscape

置く場所や方角、置く空間や時間帯、天気などによって起伏や木の陰影、中央の木が変化してゆき、その場ごとの情景を楽しみながら、時の流れを感じることができる。情報を定義しすぎない余白を残すことで、それぞれが自分なりの時の流れ方を発見できる、オブジェのようなプロダクトだ。

【優秀賞】Feel me!/長谷川福門
“24時間、感情豊かな時計”をコンセプトに、笑ったり、怒ったり、変な顔だったりと1日中いろんな感情表現をするユニークな掛け時計の提案。

Feel me!/長谷川福門

時計という「時間を知るためのプロダクト」は今後どのような役割を担っていくのかという考えのもと、長谷川福門さんは「人の心に寄り添う」という付加価値を持たせることで、時計の新たな役割を見出すことができるのではと考えてデザインしたそう。シンプルに“可愛さ”を追求したという顔は、見ると肩の力をふっと抜いてくれそう。

入賞作品は以下の4点。バリエーションに富んだ作品が受賞した。

(左上から時計回りに)TOKI/間渕賢さん、カバの時計/大木陽平さん、ドシラシド/原田一穂さん、moving plant/吉澤健太さん

(左上から時計回りに)TOKI/間渕賢さん、カバの時計/大木陽平さん、ドシラシド/原田一穂さん、moving plant/吉澤健太さん

審査員コメント

(左から)川上典李子さん、小泉誠さん、鈴野浩一さん

(左から)川上典李子さん、小泉誠さん、鈴野浩一さん

川上典李子さん(デザインジャーナリスト)

思っていた以上に幅広い種類の作品を見ることができたことが驚きでもあり、おもしろいところでした。いま時間を知る方法はスマホや家電の時計機能など時計以外にもたくさんありますが、「時計」や「時間」というものとどう付き合うかということに対して、応募者のみなさんが普段から考えているんだなというのが見えてきたし、同時に「こうあってほしい!」というような願いもデザインに込められていて、このアワードは思った以上に可能性が広く、深いテーマなんだなというのを実感しました。

また、二次審査の際に、実際に動く模型を持参してのプレゼンテーションも複数あって、機構の細部まで考え、着想から着想を裏付ける技術面まで、それぞれが自分ができる範囲内で最大の準備をしてくれたことがよくわかりました。今後は商品化を目指してリズム時計さんとのやり取りが始まりますが、メーカーに頼りきりではなく、イメージする動きも各自がきちんと持っていることが見えてよかったです。提案内容の背景を大切に、リズム時計さんとの対話を続けてほしいと思います。

小泉誠さん(家具デザイナー)

応募作品それぞれの「時との関わり方」がおもしろくて、作品に触りたくなるものもあれば、じっと見つめていたくなるものなど、時計に関わる距離感みたいなものをみなさんが各々の生活を通してじっくり考えた跡が見えてきました。そしてプロダクトをデザインするのではなく、関係も一緒にデザインされているようで良かったですね。また、審査中に機能や性能というものに相反して、「情緒的」という言葉が出てきて、時計のような合理的な考えの世界からそういうキーワードが出てきたのはいいことだなと思うし、今回のアワードから広がっていけばいいなと思いました。

評価軸はたくさんありますが、あくまでもこのアワードは“プロダクトの製品開発である”ということを念頭においてほしいなと。製品化が難しいだろうっていう作品もあったんですが、それで無理だろうとアート寄りに振るのではなく、プロダクトを実現できるメーカーがいるというのは安心だし強いですよね。もちろんいくつかはどう商品化できるかリズム時計さんの頭を悩ませるわけですが、そんな作品を見た審査員として参加したリズム時計のお二人が楽しそうだったのが印象的でした(笑)。デザイナーだけのアワードではなく、メーカーの開発者たちの意識が変化したり、目が生き生きしているのがすごく良かったですね。

鈴野浩一さん(建築家)

たくさん応募がある中で、僕は建築家なので、単一のプロダクトとしては考えず、空間の中に置かれたときにどいういうシチュエーションやテイストに合うか?ということを意識して見ていました。今回の応募作品は、時計として時が読めるものか、時は読めなくても大きい時間の流れを感じられるものかのどちらかに大きく分かれていたかなと思います。そういう中で上位に残ったものは「売れる」かどうかという見方だけではなく、考え方を更新してくれそうな時計が選ばれたのかなと。

入賞作品はすべて商品化される可能性があるということなので、リズム時計さんから「何をやりたいのか?」と聞かれたときに、自分の芯をしっかり持ちながらもより良くなる可能性をつぶさないようにフレキシブルに対応してほしいと思います。リズム時計さんが持つ経験値とノウハウや、いろんな人からの意見を取り入れながらも、自分のやりたい軸を失わないようにしてもらえたらと思いますし、そういう考えを持てばすべてに商品化の可能性があると思います。

アワードを開催する意義は、社内のブランディングにも

最後に、主催であるリズム時計の清水さんと谷野さんに審査会を終えた、率直な感想をいただいた。

清水宏昭さん

1回目のデザインアワードでどれだけ数が集まるか不安なところはあったんですが、結果的には511作品という想定をこえる応募をいただいたのはすごくうれしいですね。「時計」というものに関心を持っている人が多くいてくれたんだなということと、我々の思いに共感いただけたのかなという点が主催者として素直にうれしいと思いました。

これまでだと社内に難しいことにチャレンジしづらい雰囲気もあったんですが、素晴らしい受賞作品が出てきた中でどうやったら製品化できるんだろう?と考える楽しみやつくりこめるアイデアがあるので、会社としても新しいことに取り組めるいい機会なんじゃないかなと思います。

谷野修さん

1回目でこれだけ反響があったし、手ごたえや次につながるんじゃないかという感触もあるので、デザインアワードのひとつとして知ってもらえるよう、2回3回と続くアワードにしていきたいなとは思っています。

なかなか社内のデザイナーが「こういうことしたい!」って言っても動きづらいところもあるので、今回のアワードのように社内を動かすために外部からの刺激を使うっていうのは大事だと思うんですよ。入賞作品すべての商品化は難しいかもしれませんが、それぞれ前向きに検討していきたいと思っています。

また、10月18日から10月27日の期間にはファイナリスト7点の受賞作品展を開催。それにあわせて、10月19日には授賞式と審査員を招いたトークイベントを実施する。会場では大賞と優秀賞を受賞した3名によるプレゼンテーションも行われる予定だ。

■受賞作品展
日時:2019年10月18日(金)~10月27日(日) 11:00~19:00(最終日17:00まで)
場所:ifs未来研究所(Itochu Garden2F)

■表彰式&受賞プレゼン・審査員トークイベント
日時:2019年10月19日(土) 16:30~18:30(16:15より受付開始)
場所:ifs未来研究所(Itochu Garden 2F)
https://peatix.com/event/1337897