エンタテインメントや建築、製造、エンジニアリング、土木インフラ向けの2D・3D 設計ソフトウェアを開発する「Autodesk(オートデスク)」。実際に使ったことはなくても、「AutoCAD」や「Autodesk Maya」などのソフトウェアの名前をどこかで目にしたことはあるかもしれない。
デザイン、設計、エンジニアリングの現場では欠かせない「Autodesk」による、少し先の未来の”創造”を”想像”させる「Autodesk Gallery Pop-up Tokyo」が、表参道の「BA-TSU ART GALLERY」で10月23日から11月8日まで開催されている。ここに集まっているプロダクトやプロジェクトは紛れも無く現在進行形の未来だ。
ひとつひとつについて説明するのはスペースの都合で割愛する。とはいえ、その一端くらいはお伝えはしておきたい。
Nike/プロダクト デザインの未来
使用ソフトウェア:Autodesk Maya / MotionBuilder
本来備わっている能力をいかに引き出すことができるか、それがアスリートが最高のパフォーマンスを発揮するための鍵となる。「Nike」のデザイナーは、アスリートの身体の動作を精密に解析しながら、新しい素材、テクノロジー、製品開発に挑んできた。カスタムソフトウェアツールを使用して、高速ビデオ撮影、モーションキャプチャ、シューズ内部の圧力測定などで収集したアスリートのデータを視覚化。これによって、アスリートの生理機能と生体力学構造に合致したシューズをつくることができる。つまり、限りなく個人最適化した、いうなればオーダーメイドのシューズをつくることができるのだ。
これは是非とも一般普及してほしいシステムだ。趣味でスポーツに取り組む人なら、自分の足をシューズに合わせていると感じたことがあるはずだ。自分の生理機能に合致したシューズをつくるのが当たり前になる、きっとそんな日は遠くない未来に訪れる予感がする。
機械仕掛けのダーウィン
使用ソフトウェア:Autodesk Within
あらかじめ設定された理想の条件に合致する、機能を備えたデザイン・設計を自動的に生成する革新的なテクノロジー。そんな夢みたいな話が実はすでに存在している。自然界からヒントを得た「Autodesk Within」のジェネレーティブデザイン機能は、進化論のアルゴリズムを採用。生物のデザインが自然淘汰されて進化する、自然界のありさまそのものをソリューションの生成過程に応用している。
3Dプリンティングの利点を最大限に活かし、軽量化や荷重要件などの設計目標をみたしつつ、マテリアルの厚みが必要最小限に抑えられた格子構造がつくりだされる。従来の硬質なパーツの性能をはるかに超えた最適なコンポーネントになる。例えばどういう領域での活用方法がわかりやすいかというと、医療用のインプラントなどだろう。つまり、人間の骨格の有機的なデザインを、「Autodesk Within」のジェネレーティブデザイン機能が自動的に生成するのだ。このデザイン・設計の未来を先取りしたテクノロジーが、自然が成し遂げてきた創造の営みに近づくというのがとても興味深い。
いままでは既成概念に捉われてあきらめていたかも知れないこと、それをテクノロジーの恩恵によって思考実験と実践ができる。そのデザインの進化を力強くサポートしているのが、「Autodesk」の製品力なのだと感じた。
また、様々な分野の第一線で活躍するデザイナーや建築家のトークイベントをはじめ、会場の2階には「ファブラボ渋谷」のバックアップによる特設デジタル工房が登場。オートデスクからリリースされた3Dプリンター「Ember」や、レーザーカッター、ミリングマシン、UVプリンターなどが並び、これらの機材とオートデスクソリューションに触れることの出来るワークショップが開催されている。
Autodesk Gallery Pop-up Tokyo
会期:10月23日~11月8日
会場:BA-TSU ART GALLERY
http://www.autodesk.co.jp/campaigns/tokyo-pop-up-gallery