福岡を拠点とするオフィス家具ブランド「FIEL」から誕生した、花や植物をモチーフにしたテーブル「Kagu(花具)」。
デザインは、プロダクトデザイナーの大島淳一郎さんが担当しました。はじまりはパーティション開発だったという「Kagu」の特徴についてご紹介します。
■背景・コンセプト
Kaguは、空間に彩りを加える小さなテーブルです。デスク回りを彩るアクセサリーの開発として、デザイナーの大島淳一郎氏と2020年2月にプロジェクトはスタートしました。
当初、独立したパーティションの開発を考えていましたが、「世の中にありそうでなかったプロダクトを作る」というブランドコンセプトもあり、いわゆるアクリルのパーティションではなく、最終的にはよりデスクに近い、デスク上にも置ける小さなテーブルの開発となりました。
日本の茶の湯で使用される道具「棚物」から着想を得ており、テーブル上にもおけるサイズ感で彩を与え、棚でもありパーティションでもあるプロダクトになっています。共用テーブル上の簡易的なパーティションとして使い、緩やかに空間を仕切る役割や個人の好みのものを置くことでパーソナルな空間をつくることもできます。飾るものも美しく見せることができ、ジュエリーなどを飾る展示什器としても使用可能。
■特徴
Kaguは3つのパーツで構成されており、マグネットで簡単に組み立て可能なノックダウン式。分解時は一つの円形状の中にコンパクトに収まります。NC加工(数値制御による機械の加工方法)により切削されたオークの無垢材は、噛み合わせのディテールまで美しい造形で仕上げられています。
カラーバリエーションは植物の色彩からインスピレーションを得ており、空間の中に花を活けるように使ってもらいたい思いから、「花具/Kagu」という名前が付けられました。
■プロダクトデザイナー・大島淳一郎さんのコメント
空間の中に立ち上がる立体物の円は意外と珍しい光景だと思います。合理的に考えれば平坦な面をつくり、地面にしっかりと着地させるべきです。しかし、僕たちは不安定さや均衡の中におもしろさを見出したりもします。
kaguは円のエッジを一つの脚とした家具です。その構成のおもしろさをどうやってデザインに落とし込むか。突き詰める中で、円形状は柔らかに空間を分けるためのパーティションであり、転倒を防ぐためのおもりでもあり、収納時にはトレーと同じ大きさの一つの円に収まります。
テーブル上のパーティションの開発として始まった今回のプロジェクトは、手元を隠すという機能を直接感じさせずに、柔らかに空間を切り分けるデザインへと着地しました。
デザイナー:大島淳一郎
プロダクトデザイナー。1992 年兵庫生まれ。神戸芸術工科大学プロダクトデザイン科在籍中に、大学発のデザインプロジェクト「Design Soil」に参加し、2013 年ミラノサローネサテリテ出展。ドイツ留学を経て安積伸のa studioに勤務ののち独立。現在はスタジオ発光体を拠点に活動をする。
https://www.junichirooshima.com/
ブランド:FIEL(フィール)
2016年に家具産地・福岡県大川市でスタートしたオフィス家具ブランドです。ブランド名「FIEL」には、暮らしや人生を表す“LIFE”のアナグラムと、感じるを意味する“FEEL”の2つの意味を持たせ、「暮らすようにはらたくブランドを作る」という思いが込められています。