ファッション雑貨やキッチンツール、フード、ハイエンドな家具、デザイン性の高いジュエリーなど、衣食住と日々の生活にまつわるさまざまな製品が集まる国際見本市「インテリア ライフスタイル / Interior Lifestyle Tokyo(以下、ILT)」 。国内外より3万人近くのビジネス来場者が訪れ、人・モノ・情報を通じたさまざまな出会いが起こる場だ。今年は5月30日から6月1日の3日間にわたり、東京ビッグサイトで開催される。
ライフスタイルまわりの最新の製品が集まり、トレンドの発信地といえばココ!とも言える見本市。今回は811社/30か国・地域からの出展が予定されている(4月24日時点)。
アトリウムテーマは、「For Here or To Go?」
ILTには、エッジの効いた最新のデザインが集結するエリア、日本のデザインとものづくりを発信するエリアなど、さまざまなエリアがあるが、特に毎年話題となるのは「アトリウム特別企画」エリアだ。
海外のファストフード店やコーヒースタンドでよく聞くフレーズの、「For Here or To Go?」。これが今回の「アトリウム特別企画」のテーマ。直訳すると「ここで食べるか、持ち帰るか」という意味になるが、商談をここで詰めるか社内で検討するか、というバイヤー目線のテーマになっている。
ディレクターとして、アトリウム全体のコンセプトメイキングを担当したのは、デザイン市場で経験豊かなバイヤーの山田遊さん(株式会社method)。コンセプトについて、以下のように語っている。
「多くの企業を集める複合展は、大小さまざまな規模でプロデュースしてきました。小規模でプライベートな見本市は、個々のクオリティは高いものの、長く続けていると知り合い同士で集まってしまい、内輪な印象を与えてしまうことは否めません。一方、大きな見本市は玉石混交で疲れてしまう。その中間のちょうどいい規模感がインテリア ライフスタイルかもしれません。
今回の企画は僕のバイヤー人生で得た経験から、見本市はものを見るだけでなく、会話をすることが大事だと考えました。わざわざアポまでは取らないけど、気になっていた相手と会って、会話が始まる……そんな、ふらっと寄って話ができる場所にしようと思いました。だから僕も3日間、アトリウム会場にオフィスを移して、なるべくいつものように仕事をしようと思っています」。
アトリウム特別企画・注目の出展者
FIEL
家具の街・福岡県大川市にある創業80年の家具メーカーMARUSOが、本当に使いたいデスクを作ろうと立ち上げたデスク専門ブランド「FIEL」。昨年のILTで「Young Designer Award」を受賞した西尾健史(DAYS.)がデザインする自由度の高いスチールレッグを製品化した。このスチールレッグは、天板を乗せるとデスクに、重ねるとシェルフに、板を渡せばベンチになるなど、アイデア次第でプロダクトそのものだけではなく空間も変化させるアイテムだ。
FOR
新潟県燕市で、1978年創業の武田金型製作所から生まれたブランド「mgn」。工場が注目される中で原点に立ち返り、表現したいことを見つめ直してリブランディング。同社がもつ高精度の金型技術にエレガントでファッショナブルな世界をつなぎ、人々の心に共感を生むファッションブランド「FOR」として再スタート。第1弾は技術を活かした、スリムで精巧な金属製のカードケース。
PAPIER TIGRE
2011年にパリで誕生した、コンテンポラリーなステーショナリーブランド「PAPIER TIGRE(パピエ ティグル)」。カラフルで独創的なグラフィックが特徴で、おもに紙を素材とした、毎日の暮らしの中で楽しく活躍するプロダクトを展開している。本展では、新作の手帳などオリジナルコレクションのほか、日本のものづくりとコラボレーションした新作プロダクトを発表予定。
SEKISAKA
福井県鯖江市で1701年に創業し、漆器業を営んできた関坂漆器。おもに学校給食や機内食、医療機関などで使用する業務用向けのプラスチック製食器の企画、製造を行っている。2017年に国内外のデザイナーとの協働で商品開発を行うプロダクトブランド「SEKISAKA」をスタート。鯖江市の漆器産業の製造技術を新たな視点で再解釈し、活用することで、現代のライフスタイルを向上させる新しい製品づくりを目指す。
WOOL AND THE GANG
創業272年のフランスの老舗手芸糸メーカー「ディー・エム・シー」。刺繍糸のほか、ハンドメイド素材や関連製品を全世界で発売している。今回はグループ企業である、英国発のDIYニットブランド「WOOL AND THE GANG」の製品を展開。コレクションブランド出身のデザイナーが生み出すニットアイテムキットは、これまでの手づくりの概念を覆す、クールでハイクオリティな仕上がり。
注目の初出展者
KORAI
東京とシンガポールに拠点を持ち、日本の工芸品を海外展開する株式会社HULS。世界の都市で暮らす人々のための日本工芸ブランド「KORAI」を発表。プロダクトデザイナーの辰野しずかが、日本の「夏の涼」をコンセプトに、国内のさまざまなメーカーと1年以上の歳月をかけてつくり上げてきた。第1弾のコレクションは、京都の竹細工、佐賀のビードロガラス、有田の磁器、富山のガラス作家によるアートピースからなる、清涼感溢れるティーセットを提案(出展ゾーン:JAPAN STYLE)。
ぷんぷく堂
千葉県市川市で、夕方17時から開店する小さい文具店「ぷんぷく堂」。手のひらサイズの軽量用箋挟「ミニッパチ」、竹100%でつくった竹紙大学ノートを発表。写真は、2017年に「第26回・日本文具大賞・優秀賞」を受賞した「あなたの道具箱」。長く大事に使って欲しいという想いが込められており、50年持つと言われる硬質紙を用いて職人が1つずつ手づくりしている(出展ゾーン:ACCENT)。
MASSPRODUCTIONS
ILT初参加となる、インテリアショップ「LIVING MOTIF」から、シンプルでスタイリッシュなスウェーデンの家具ブランド「MASSPRODUCTIONS」が出展。同ブランドは家具のコンサルタント業で経験を積んだ2人のデザイナーが立ち上げ、 設計はもちろん、資材調達や製造工程などすべてのプロセスにデザイナーが関わることで実現した、無駄のない構造美と優れた機能性のある家具がラインナップ(出展ゾーン:NORDIC LIFESTYLE)。
a ka ri
岐阜県多治見で陶芸を学んだデザイナー・佐藤朱理による、磁器土を素材としたコンテンポラリージュエリーブランド。言葉を組み合わせ、詩を紡ぐように、シンプルなモチーフをつないで構成することで形の新たな魅力を引き出し、身に着けることで完成する美しさを目指している(出展ゾーン:- JEWELRY – selected by gallery deux poissons)。
タケヤリ
1888年創業、帆布の産地・倉敷で最も長い歴史をもつ、帆布に特化した老舗機屋。機屋(はたや)にとって核になる織機は新旧の織機を完備しており、難しいとされる極厚の帆布や、合成繊維の帆布など用途によってつくり分け、独特の風合いを生み出している。アパレルだけでなく、インテリア、産業資材まで製造。創業130周年を迎える今年、新たな取り組みとしてJapan creativeと気鋭のデザイナーの3社によるコラボで新しいインテリア商材を発表。旧式織機によって最新のデザインをつくり上げる(出展ゾーン:MOVEMENT)。
また、会期中には、未来のインテリア・デザイン業界を担う若手に贈られる「Young Designer Award」と、出展している全ブースの中から優れた1社に贈られる、「Best Buyer’s Choice」も選ばれる。なかでも「Young Designer Award」の受賞者には、同見本市の母体のひとつである、世界最大級の国際消費財専門見本市「アンビエンテ」に招待されるという特典があり、ここから海外への展開を築いた受賞者も少なくない。
今回紹介したものはごく一部で、ほかにもさまざまな製品やキーパーソンがそろう3日間となる。また、期間中はTHE CONRAN SHOP、FreshService、CIBONEのバイヤーの対談企画など、毎日トークイベントも行われるのでチェックしてほしい。前述の山田遊さんのコメントにあるように、もし気になっているブランドがあるなら、ふらっと立ち寄って話をしてみるといい。少しのきっかけが、新しいつながりや展開のきっかけになるかもしれない。もちろん、バイヤー以外の方も参加できるので、気軽に来場予定を立ててみてはいかがだろうか?
▼見本市来場事前登録
https://www2.mmfcservice.com/ilt2018/ja/regist/index.htm
※5月6日までに下記のリンク先から来場登録した方には、入場がスムーズになる「来場者バッジ」が見本市開催前までに送付される(5月7日以降に登録の場合は、登録受付完了画面、または完了通知メールをプリントアウトして持参)。
会期:5月30日(水)~6月1日(金)
開催時間:10:00~18:00(最終日は16:30まで)
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)西1・2・3・4ホール+アトリウム
主催:メッセフランクフルト ジャパン株式会社
入場料:2,000円(※招待状持参者およびWeb来場事前登録者は無料)
http://www.interior-lifestyle.com/