身につけたい

新しい素材や色、形によって生活に彩りを添えてくれるモノ

1/35

世界にひとつの、珊瑚のかけらから生まれるアクセサリー

長崎県・五島列島の福江島にある小さな港町、富江町ははかつて珊瑚漁が盛んだった町だ。その富江町にある私設図書館「さんごさん」と、ジュエリーブランド「MMAA」による共同プロジェクト「1/35」は、若い世代にも珊瑚や五島の魅力を知ってもらいたいという想いからスタートした企画だ。

宝石珊瑚は、世界中でお守りや宝飾品として珍重されてきた長い歴史がある。日本では明治時代に珊瑚漁がはじまり、五島の富江町では質の良い珊瑚が獲れるばかりでなく、宝石珊瑚を通常より深く彫る「五島彫り」という伝統工芸技術で有名だ。しかし、明治時代初期から続いた乱獲のために五島近海の珊瑚の産出量は減少し、現在は漁業規制がかかっている。富江町では、最盛期に50軒以上あった珊瑚店が今では3、4軒と少なくなっている。また、宝石珊瑚のみならず珊瑚礁も温暖化の影響を受け、地球全体で大規模に死滅している。

そんな歴史や文化の中で、「ちょっと使えないかもな。」とそっと横に置かれてきた珊瑚のかけら。「1/35」は、加工の過程で使えなくなった、端材と呼ぶにはもったいない魅力的なかけらが手に入る時にのみ、35個ずつジュエリーを製作する変則的なシリーズだ。また、精密に珊瑚の型をとり、金属を流し込むことで、端材と呼ばれた珊瑚の魅力を再構築した「1/35 Permanent」も表情がちがう美しいシリーズも新しくラインナップ。

「珊瑚のかけらは加工する際にうまれた“端材”として市場には出回らないものですが、1年で数ミリと言われる宝石珊瑚の成長速度を想像すると、海のロマンを感じずにはいられませんでした」と、話すさんごさんの大来さん。また、MMAAの前田真理子さんは、「五島の職人や、珊瑚漁師たちの生活を繋いできた珊瑚という「生物」そのものが、いま危機にあります。宝飾品としては価値がなくなった「端材」を使って、再び装身具をつくり、海の中で生きていた頃の形と、素晴らしい職人たちの作業の痕跡が同居していることを知ってもらいたい」と、話す。

背景にある思いをくみ取り、身につけたいジュエリーだ。

【次回の1/35の発表】
1/35 exhibition
会期:2018年4月28日(土)~5月22日(火)
会場:トモダチノ家(大阪府大阪市中央区北浜1丁目1-23-2F)
時間:11:00~19:00(土日祝は、18:00まで)
定休日:水曜日

デザイン:MMAA/前田真理子

日本大学芸術学部卒業。2014年より「MMAA」をスタート。アクリル、石、シルバーをおもな素材として、コンセプト設計やリサーチを大切にする制作方法で活動している。

共同:さんごさん

2016年8月に五島列島福江島の富江町に私設図書館としてオープン。その後1年間で、大学教授や漫画家、芸人などの著名人から、地元の主婦、おじいちゃん・おばあちゃんまで、100名を超える幅広い人たちの「人生の3冊」が集まる。国内外の雑誌やwebメディア、テレビ番組などに取り上げられているほか、ミッドタウンで開催された「地域×デザイン展」にも出展。2017年からはコーヒースタンド「CORAL COFFEE」を併設するほか、島内外の仲間たちと取り組む実験が複数進行中。

1/35

種類 ピアス、イヤリング、ネックレス、ブローチ
価格 17,000~35,000円

※販売は、珊瑚のかけらが手に入る時期のみ(詳細は公式サイトを参照)