デザイン性と快適な操作性の融合、長時間作業でもストレスフリーを実現
――「PD3225U」の使用感はいかがでしたか? 実際に使ってみた感想もお聞かせください。
普段使っているモニターと比べて、レタッチ作業や色味の調整がより高精細にできると思いました。色の再現性がとても高い上に、目に優しいブルーライト軽減機能も備わっているので、長時間使っていてもストレスを感じることなく、快適に作業ができた印象です。
また、目的に応じてディスプレイの色味を自動調整してくれるカラーモードが充実しているため、使用シーンに応じて柔軟に切り替えられるのがとても便利ですね。
――長時間作業をしていると、目の負担も大きいですよね。「PD3225U」にはブルーライト軽減機能や、画面のちらつきを防ぐフリッカーフリー技術が搭載されています。実際に作業してみて、このようなアイケア機能はいかがでしたか?
個人的にブルーライト軽減機能は結構重要なポイントです。作業中、特に映像の色味を調整しているときは長時間ディスプレイを見続けなければいけないので、かなり目を酷使してしまうんですよね。仕事のパフォーマンスにも影響が出てしまうので、その負担が軽減されるのはとてもありがたいです。画面のちらつきも少なく、普段より目の疲労を感じません。
――「PD3225U」にはBenQ独自のコントローラーの「ホットキーパックG2」が同梱されています。普段は周辺機器をあまり使われないとのことでしたが、使ってみていかがでしたか?
操作感も使い勝手もとてもいいですね。普段モニターを使って作業するときは、画面の裏側にあるスイッチでディスプレイの輝度やコントラストなどを切り替えているのですが、作業中にモニターの裏側まで手を伸ばして、設定を切り替えければならないのが結構わずらわしくて……。
その点、ホットキーパックは手元で簡単に操作できて、ワンタッチでパパッと切り替えられるのがとても便利ですね。僕は複数のカラーモードを使い分けているので、自分でショートカットをカスタマイズして使っています。
色味へのこだわりが、デザインに微細な美しさを宿す
――先ほど、カラーモードを使われているとお話がありましたが、具体的にどのモードが良かったのでしょうか?
Mac独自の色域を再現できるという「M-bookモード」がすごく魅力的でした。普段MacBook Proで作業をしているので、僕の中で色味の基準になるのはMacの色域です。ただ、これはMac製品独自の色域なので、外部モニターに接続すると、MacBook Proのディスプレイと色の見え方が変わってしまうんです。外部モニターを使うときは手動で色味を調整していましたが、これが結構難しいんですよね。
その点、「M-bookモード」は MacBook Pro のディスプレイとの色差を自動的に抑えてくれます。モニターに接続するだけでMacBook Proの画面をそのまま大画面に置き換えたかのように色味を再現してくれるのが素晴らしいと思いました。セットアップなしでモニター間の色味の違いを解消できるのは、Macユーザーとしてとてもありがたい機能でしたね。
「DualView(デュアルビュー)」機能を使って、「M-bookモード」と「暗室モード」を1つのディスプレイに同時表示して比較しながら使うことも多いです。
例えばバーミキュラの案件では、動画や写真をアンダートーンにしているので、黒の質感の表現にはかなりこだわっています。ただ真っ黒にするのではなく、黒を浅めのトーンに調整しながら、全体のコントラストを抑えて落ち着いた印象を演出しています。

左が「M-bookモード」、右が「暗室モード」。「DualView(デュアルビュー)機能」では1台のディスプレイで2つの画面モードの同時表示が可能
こうした細かいニュアンスは「M-bookモード」だけでは視認しづらいのですが、「暗室モード」はアンダートーンのディテールがより鮮明になり、黒の色差がしっかり映るので、より繊細な表現ができますね。色味の最終的な微調整をしたいときに「PD3225U」のような色再現性が高いモニターがあると、デザイナーとしてはとてもうれしいです。
――お仕事において、色味は特に重視されるポイントですよね。小猿さんが普段、色味の調整をおこなうときにこだわっていることはありますか?
多くの人に同じ色味が伝わるよう心がけていますが、最終的にはユーザーが使用する端末やディスプレイに大きく依存してしまいます。そのため、広く普及しているApple製品、特にMacBook Proを基準に色味を調整することで、多くのユーザーにとって適切な色再現が可能になるよう努めています。
あと、色味の微妙なニュアンスには特にこだわりたいと思っています。例えば、RGB値は5%単位で細かく調整しています。先ほど黒の色表現についてお話しましたが、黒に赤みを少し加えるだけでも印象が大きく変わります。ぱっと見ではわからないくらいの微妙な調整ですが、青み寄りの黒にするとクールな印象、赤みを加えると温かみのある印象になります。その時々の案件に合わせて、どちらが適しているかを考えて使い分けています。
バーミキュラの案件では料理がテーマだったので、温かみを感じられる暖色寄りの黒を選びました。ただの黒ではなく、ニュートラルな黒を表現することで、より料理が引き立つ雰囲気を演出できたと思います。この「ただの単色にしない」という姿勢は、どんな案件でも意識しているポイントですね。

デザイナーモニターとセットで使用をおすすめしたい専用ソフトウェア「Palette Master Ultimate」。キャリブレーションにかかる時間を半分以下に短縮し、簡単操作でモニターの色精度を保証してくれる。PD3225UなどのPDシリーズでもソフトウェアキャリブレーション対応可能になった
ブランドの世界観を120%体現するクリエイティブの追求
――最後に、小猿さんがお仕事の際に心がけていることを教えてください。
もちろん、クリエイターとして大事にしたいことはいろいろあるのですが、ブランドの世界観をつくりあげていく上で最も重要なのはやっぱり「統一感」だと思っています。例えば、ロート製薬さんのプロジェクトでは、3DCGで表現した街のビジュアルやインタビュー記事で使用する写真、さらにはデザインやレイヤーの細部にいたるまで、全体が一貫した世界観になるように徹底的にこだわりました。
統一感を出すためには、撮影した動画や写真の仕上がりにもすごく気を使います。ただキレイな写真を撮ればいい、というわけにはいかないので、色味や質感がブランドの世界観と合っているか、確認しながら細かく調整します。ほんのちょっとのズレでも、それが積み重なるとブランド全体の印象がぼやけてしまうので、そこは妥協したくないんですよね。
ブランドの世界観を120%引き出して、その価値をもっと多くの人に届けることが僕の役割だと思っています。そのために、ブランドの魅力をどうやって引き出せるかを常に考えながら、一貫したクリエイティブを意識しています。ブランドの想いを最大限に表現するために全力で向き合う――こうしたビジネスブランディングに資するクリエイティブへの姿勢が、最終的にクライアントにもユーザーにも響く結果に繋がると信じています。
https://x.gd/XLjQG
■キャリブレーションやカラーマネジメントに最適な専用ソフトウェア「BenQ Palette Master Ultimate」がPDシリーズでも対応可能に!
https://www.benq.com/ja-jp/monitor/software/palette-master-ultimate.html
■BenQ
https://www.benq.com/ja-jp/index.html
取材:佐藤理子(Playce) 文:粟屋芽衣(Playce) 写真:加藤雄太 編集:石田織座(JDN)
- 1
- 2