成田国際空港第3ターミナル(LCC専用ターミナル)、デザインを手がけたPARTYの伊藤直樹氏インタビュー(1)

成田国際空港第3ターミナル(LCC専用ターミナル)、デザインを手がけたPARTYの伊藤直樹氏インタビュー(1)

2015年4月8日にLCC(Low Cost Carrier)専用としてオープンした成田国際空港第3ターミナル。ローコストを徹底的に追求し「経済合理性」をデザインすることで、これまでの空港とは全く異なるイメージの空間ができあがっている。空間デザイン、クリエイティブコンセプト等の開発を担当したPARTYの伊藤直樹氏にお話を伺った。

成田国際空港第3ターミナル、青いトラックが目に鮮やか

成田国際空港第3ターミナル、青いトラックが目に鮮やか

PARTYといえば、デジタルを活用したキャンペーン、アプリケーション開発などで知られる日本を代表するクリエイティブラボ。最近ではアプリ「TOYOTOWN: しずかったー」も大きな話題となった。率いるのはクリエイティブディレクターの伊藤直樹氏。学生時代にインターネットと出会ったことからネットと映像の世界に飛び込み、広告会社でナイキ、グーグル、SONY、無印良品等のクリエイティブディレクションを手がけてきた。

空間デザインとPARTY、意外な組み合わせに感じる両者だが、そもそものきっかけは何だったのだろうか。

「PARTYを作ったのが2011年で、『広告で培ったコミュニケーションとデジタルを掛け合わせて、広告のみならず、空間やプロダクトも手がけたい』と掲げていました。Iot(Internet of Things、モノのインターネット)という言葉は普及していませんでしたが、モノや空間にコミュニケーションが血流のように浸透する時代が来るから、そういうお手伝いをしたい、と標榜していたのです。それで日建設計さんがお声をかけてくださったのだと思います。2012年のことです。当時、経済産業省のクールジャパンにも関わっていて『空港は外国から来た方が日本に接する最初の顔なので何とかしたいよね』と話題になっていたので、空港についての意識はその頃から生まれていました」

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カウンターへのトラックの収まり

カウンターへのトラックの収まり

「日建設計さんからは『空港はサイン計画が重要です。コミュニケーションが軸になっている建築空間を一緒に作りませんか』とおっしゃって頂きました。とても意気に感じて、ほぼ即答して始まりました。PARTYがデジタルテクノロジーを使ったデザインをしているので、おそらくそれを想定してオファー頂いたと思うのですが、プロジェクトが始まってみると予算がとても少ないことが分かりました。内照式の看板すら導入できない。動く歩道も導入できない。そうした状況では、デジタルを使ったサインやインスタレーションは不可能です。頭を抱えました(苦笑)」

ソファは無印良品

ソファは無印良品

フードコート

フードコート

無機質なクールさが漂う

無機質なクールさが漂う