私たちの社会はさまざまな事象で取り囲まれているが、それらを数値化するとそこにはまず、「データ」という存在が現れてくる。そのデータを単なる数値の羅列ではなく、ビジュアルとして、またグラフィックとして表現することで、データの背景に隠された意味や構造が即座に屹立することに気づく。

私たちの生活を取り巻くデータの中でも、膨大な量のデータ＝ビッグデータは、その全貌を把握することが難しく、可視化が全体の構造を捉える手段として重要な役割を担う。

本展では、アスリートのモーションデータから経済データ、Twitterのデータなど、さまざまなデータの可視化に取り組んでいる。各作品では、地域経済の活性化や増え続ける訪日外国人の周遊といった多くの課題に対して、データとデザインが発揮しうる役割が紹介されていく。

この企画は2017年度、日本デザインコミッティーのメンバーに名を連ねた、田川欣哉による初めての企画展だ。田川は、コミッティーのメンバーの中では初めてのデザイン分野である、「デザインエンジニア」という肩書きを持つクリエイターである。これまでとは異なる視点から計画された同展をぜひご覧いただきたい。