ROBOTS

Haruko Sasakawa solo exhibition

ROBOTS

笹川治子は、この社会で起こる出来事に対し批評的な視点を持ち、それらを物でトレースすることによって可視化する。現象を様々な局面に置き直し、脱力させたように表現することでリアリティーを表出する試みをしている。

今年の3月、アートフェア東京での個展「AD」で笹川は、平面と立体による参加型インスタレーションを発表した。近年、戦争画をテーマに掲げている笹川は、過去の戦争画について研究する中で、独自の視点から未来の戦争画を想像した。例えば戦争画はアドバタイズメントとしてよりポップなものへ近づいていくと仮定した。平面作品にはモデルの人物が一見楽しくピクニックをしているように見える画が描かれ、一方ではその画に描かれている状況を現実の物体に置き換えたセットが組まれている。展示ブースはアミューズメントパークの撮影スタジオ風に仕立てられ、そこで多くの鑑賞者が楽しいピクニックを演じ記念撮影を行った。しかし楽しいピクニックという空想の世界は、ややもすれば気づかぬうちに現実の戦争へ導かれるきっかけになるかもしれないことを作品は示唆している。

空想と現実の境界は笹川が制作活動の初期から持ち続けているテーマだ。2009年に初めて発表した、「うつろ戦士」。通常頑強で勇ましく表現されるロボットを透明のビニールという柔らかい素材に変換したこの作品は、その後、2011年のグループ展「floating view “郊外”からうまれるアート」(トーキョーワンダーサイト本郷)で再び登場している。薄い膜で象られたロボットは空想と現実を曖昧にし、虚構に対する認識の有様を意識させる。また、コンピューターグラフィックスで作成したロボットをビニールの立体物に置き換えて、川に流した様子を写真に撮った作品「ポリゴン氏」(2009)も、空想の世界のロボットを現実に引き出す試みである。

本展では、「うつろ戦士」を中心に作品を再構成した展示を行う。アニメやゲームなどで頻繁に登場してきたロボット達は、科学技術の進歩により実際に現実世界でも誕生し、私たちの身近なものになりつつある。空想が現実になるような今だからこそ、笹川治子によるロボット達は新たな何かを物語ってくれるかもしれない。

開催期間 2015/05/08(金)~2015/05/24(日)
※イベント会期は終了しました
時間 11:00~19:00
休館日 会期中無休
入場料 無料
参加アーティスト 笹川治子
会場
  • Yoshimi Arts
  • 大阪府大阪市西区江戸堀1-8-24 若狭ビル3F
会場電話番号 06-6443-0080
会場URL http://www.yoshimiarts.com/
詳細URL http://www.yoshimiarts.com/exhibition/20150508_Haruko_Sasakawa_solo_exhibition-ROBOTS.html