戦後日本を代表する建築家、丹下健三の没後10年の節目に開催する本展は、処女作「広島平和会館原爆記念陳列館」（1953年）のプロジェクト開始から初期代表作のひとつ「香川県庁舎」（1958年）完成までの10年間（1949～59年）に焦点を当て、丹下自らが撮影した35mmフィルムのコンタクトシートを通してその初期像を紹介する。

日本の再生を担う建築家のひとりとしてデビューした丹下健三は初の外遊を果たし、「世界のKenzo Tange」になっていったこの10年間、自らカメラを携えて撮影を行い膨大な数の写真を遺した。
写真には自身の作品のみならず、桂離宮・龍安寺をはじめとする伝統建築やル・コルビュジェ作品、外遊中に交流した海外の建築家たちの姿も含まれ、この時代の活動の克明な証言集となっている。
現物としては本展が初公開となる70余点に及ぶコンタクトシートには、所々に自身によるトリミング指示の赤線が引かれ、若き丹下がどのように建築と対峙したのか、建築家の思索と葛藤の痕跡を生々しく伝えている。

またこの展覧会に併せ、丹下の没後10年の命日に当たる2015年3月22日に記念シンポジウムを開催する。ゲストキュレーターである豊川斎赫をモデレーターに迎え、本展監修者である岸和郎ほか、建築家、歴史家の方々に出演いただき、丹下健三の作品とその建築家像について多角的に検証していただく。

【関連イベント】
●シンポジウム「丹下健三没10年『今、何故、丹下なのか』を問う」
日時：2015年3月22日（日）14:00～17:30（予定）※開場13:00
会場：建築会館ホール
定員：350人
※事前申込制