快適で良質な毎日の生活を支えるため、街全体をデザインする基礎となる土木。土木は道路や鉄道などの交通網、携帯電話やインターネットなどの通信技術、上下水道、災害に対する備えなど、私たちの日常生活に必要不可欠な存在だ。「土」と「木」で表す土木は、私たちの生活環境そのものであり、また英語ではCivil Engineeringと表現されるように「市民のための技術」なのだ。

現在の日常生活の土台は、古来の伝統技術、近代における研究と技術の発展など、多くの努力と工夫が積み重なって形成されている。しかし、私たちの毎日の暮らしは土木とつながっているにもかかわらず、それを実感する機会は多くはない。また、多様な環境と対峙しながら生活の基礎を築くことも、土木の重要な側面である。

これらのことを改めて見つめ、再発見と実感を通して、より良い未来を考えるきっかけとなるよう、21_21 DESIGN SIGHT企画展「土木展」を開催。本展の展覧会ディレクターには、全国の駅舎や橋梁の設計、景観やまちづくりなどのデザインを手がけ、土木と建築分野に精通する西村浩を迎える。また、土木のエキスパートたちによる展覧会企画チームと、参加作家のデザイナーやアーティストがリサーチを行い、幅広く多くの方により深く土木を知っていただく作品が展示される。