今年のグッドデザイン賞の受賞結果が9月29日に発表されました。応募数は民営化後最大の4,085件、受賞件数は1,229件でした。ここからベスト100が選出され、内6点が今年の大賞候補となっています。大賞は10月28日に発表される予定です。
今年の大賞候補ですが、これまでと比較して、さらに進化というか脱皮というか、時代の変化、デザインが果たす役割の広がりを感じさせるものでした。2016年度グッドデザイン大賞候補は以下の6件。
乾電池関連製品「MaBeee(マビー)」
ノバルス株式会社
トラクター「YT3シリーズ」
ヤンマー株式会社
賃貸共同住宅「ホシノタニ団地」
小田急電鉄株式会社+株式会社ブルースタジオ
本「東京防災」
株式会社電通+NOSIGNER株式会社ほか
ロボット・プログラミング学習キット「KOOV (TM)(クーブ)」
株式会社ソニー・グローバルエデュケーション+ソニー株式会社
世界地図図法「オーサグラフ世界地図」
慶応義塾大学 政策・メディア研究科 鳴川研究室+オーサグラフ株式会社
誤解を恐れずに言えばアイキャッチなものが少なく地味。パッと見の印象はあくまでも一要素に過ぎず、背景、内包された物語、それを含むシステムまでも取り込んだデザインが揃っており、それらを読解することで真価を理解できます。もちろん、これは今年に始まった話ではないのですが、今年の候補からは特にそうした傾向を強く感じます。
こうしたデザインが大賞候補になるのは、デザイン活用の洗練の表れであり、変わりつつある私たちの社会の反映なのだと思います。一方で、大量のビジュアル情報を瞬間的な分かりやすさを頼りに処理することに晒されている現代の人々が、これら大賞候補に対してどのような印象を持つのでしょうか。一般投票の結果も気になるところです。
昨年の大賞発表の時期にグッドデザイン賞の10年を振り返る記事を作成し「2015年の結果は2014年以前とは明確に異なる」と書きました。2016年の結果も、今なお私たちが大きな変革の途上にいることを意識させるものであると思います。
大賞候補を含む受賞結果は、グッドデザイン賞のwebで情報を見ることができますし、東京のGOOD DESIGN Marunouchiでは10月23日まで大賞候補が展示されていて投票もできます。ご覧になると、様々な感想を持たれるでしょう。これからの社会を考える気づきが得られるのではないかと思います。
2015年のグッドデザイン大賞、時代の変わり目を強く意識させる結果に
Good Design Award