編集部の「そういえば、」―ヤマハ発動機×船場、共創で輝くバイクの伝統技術

編集部の「そういえば、」―ヤマハ発動機×船場、共創で輝くバイクの伝統技術

そういえば、2月17日にヤマハ発動機株式会社の共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab(リジェラボ)」にうかがいました。同社と株式会社船場のタッグにより生み出された、バイク部品を使った家具の新作発表会を見に行くためです。

「リジェラボ」は横浜のみなとみらいにあります。ヤマハ発動機が、「自然・人間性・コミュニティをより良い状態へ再生(Regenerative)すること」を目指して2024年にオープンしました。船場は同施設の家具の企画デザイン・設計・施工からワークの企画展示・ロゴやサインデザインまで、空間のトータルプロデュースも担当しています。

両社が家具を制作するのは今回が2回目。第1弾では、ヤマハ発動機の事業活動のなかで生まれるさまざまな廃棄物を使って、テーブルや収納家具、展示什器などが作られました。

ヤマハ発動機のプール事業撤退により、廃棄される予定だった「プール」を展示什器に活用したもの。プールの底を展示の壁面として再生

水色の壁には、プールの階段部分や排水口が残されている

プールの裏側は座れるスペースに

そして、今回第2弾として発表されたのが、モーターサイクル事業の「バイク」をテーマに、その製造技術から発想して生まれた「鍛造テーブル」「塗装テーブル」「ギアチェーン照明」です。

鍛造テーブル。鍛造で製作されるバイクの内部部品を透明度の高いレジンに封入、5層構造で流し込んでいる。いくつかの部品は表面にレジンがかかっておらず、金属の質感を残している

ギアチェーン照明。土台部分には本物のエンジンの機構が組み込まれており、ハンドルを回すとピストンが往復、その動きに合わせてLEDが点灯する仕組み。シェード部分はバイクに貼られるカラーシートの廃材を組み合わせたもので、骨組みには塗装したバイクの部品を乾かす際に使われるハンガーを使用

塗装テーブル(SRシリーズモデル)。ヤマハ発動機でも数少ない職人がもつ高度な塗装技術「サンバースト塗装」を施している。名車SR400をオマージュしたデザインは、タンク部分のドロップ型をモチーフに黄金比を取り入れたもの

サンバースト塗装の見事なグラデーション。職人もテーブルの平面に塗装を施すのは初めての挑戦だったという

そして、発表会場の端に置かれたドリンクコーナーでも、ヤマハ発動機の職人の技が光るアイテムがこっそりお披露目されていました。

ちょうど握りやすい形状の金属部品で、栓抜きとしても使いやすい

こちらは、職人さんが「個人的な趣味」で作ったものだそう。一見すると何の変哲もない金属の部品ですが、内側に栓抜きが仕込まれています。

内側の栓抜きを外した状態

金属部品は2つのパーツを2本のボルトで締める構造となっています。2つのパーツはもともと1つの部品だったものを一度冷却し、衝撃を与えることできれいに割られています。その断面を再び合わせると、寸分の隙間もなくはまり、境目がわからないほど。

側面を見ると、ぴったり合っている様子がわかる

この部品はバイクの内部にあるもので、1秒間に100回以上も振動するため、2つのパーツの間にほんのわずかでも隙間があってはならないそう。人命を支える重要なパーツで、ヤマハ発動機が誇る技術のひとつです。この技術を少しでも知ってほしいという思いで、職人さん自ら試行錯誤を重ね、「栓抜き」として生まれ変わらせたのだと教えてくださいました。

そうした職人さんの熱い思いも含め、今回お邪魔した発表会ではヤマハ発動機の技術にかける誇りと伝統、そしてそれを魅力的な家具や什器に変えてみせる船場のデザイン力を感じることができました。

(萩原あとり)