編集部の「そういえば、」―台湾・迪化街のカルチャーツアー

そういえば、昨年12月、「台湾デザインウィーク」の取材で台湾を訪れていた際、台湾デザイン研究院主催の3泊4日のメディアツアーに参加し、台北のデザイン・カルチャースポットを巡りました。
今回はそのツアーで訪問したなかから、人気観光地でもある「迪化街(ディーホアジエ)」の街歩きの様子をご紹介したいと思います。台湾の街並みや雰囲気を感じたい!という方にも楽しんでいただけるよう、写真を多めにご紹介します!

迪化街のメインストリート
取材チームを乗せたツアーバスがやってきたのは、台北市のなかでも歴史ある問屋街「迪化街」。乾物や漢方薬、繊維の卸小売市場として約100年にわたる歴史をもつこのエリアには、日本統治時代(1895~1945年)に建てられた建物がいまも生活に溶け込んでいます。
まるで昔にタイムスリップしたかのような景観ですが、リノベーションされた現代的なショップやカフェも多く点在し、街歩きスポットとして人気の理由がわかります。
大通りから一本外れた道を進むと、「減簡(JainJain)」というテキスタイルブランドのお店に到着しました。

「減簡(JainJain)」外観
こちらのテキスタイルは、街を観察して見つけた“痕跡”が抽象化され、デザインに落とし込まれています。モチーフとなるのは、連なった家々の壁面やトタン屋根、野良犬と人との交流の様子など。台湾の何気ない暮らしが描き出されたテキスタイル雑貨の数々は、日本へのお土産にもぴったりです。
ポーチやハンカチなどのお土産を物色したあとは、再び大通りに出て街をぶらぶら。この周辺は雑多に商店が密集していて、目移りしてしまいます。見慣れない食品のお店や裁縫用のパーツのお店、竹製の雑貨がそろうお店などなど……。
7分ほど街を歩き、到着したのは1890年創業の台湾茶専門店「有記名茶(WANGTEA)」。
店内奥に進むと伝統的なお茶の製造方法を伝えるスペースがあり、五代目店主自らが詳しく説明してくださいました。ショップでは焙煎度や発酵度などによって、緑茶から紅茶、鉄観音茶まで細かく分けられた多くの種類の台湾茶を扱っています。
また、隣接するカフェ「WANGTEA LAB」は同店の新ブランドで、配合や焙煎、淹れ方にもこだわった多彩な風味の台湾茶を楽しむことができます。取材班も街歩きのお供に一杯いただくことに。
店内を見渡すと、記号のような模様が内装に多用されていました。これはお茶に関する言葉の文字をもとにデザインされたもので、ショッピングバッグや紙コップなどにも使われていました。

足元にも記号のような意匠

同様の意匠を店内階段の手すりにも発見
カフェの中央にはバーカウンターが設置され、明るく気軽に立ち寄れる空間です。100年を超える老舗の「有記名茶(WANGTEA)」と、現代的なスタイルの「WANGTEA LAB」で、台湾茶の奥深い世界を楽しむことができました。
その後も、独特なロゴが特徴的な老舗石けんブランド「大春煉皂(DACHUN SOAP)」や、デニムをリサイクルして洋服づくりをおこなうアパレルブランド「Story Wear」の新店舗を訪問。

大春煉皂(DACHUN SOAP)の店舗外観

店内には人の顔をモチーフにしたロゴマークが描かれた、年季の入った柱時計が。ブランドの歴史を感じる
「大春煉皂(DACHUN SOAP)」は1923年に日本人の井上権七によって創業しました。その後、台湾でキャンドルと石鹸の製造販売を専門としていた李水図氏が事業を引き継ぎ、現在まで続いています。

モザイク調の店内の壁は、よく見ると大量の石けんが敷き詰められている
環境への負担が少ない成分を用い、肌質ごとに商品をそろえるなど人にも自然にもやさしい石けんづくりをおこなう同社。実際に使用してみると、肌あたりの柔らかさや香り高さに驚きます。お土産にもぜひおすすめしたいアイテムです。
最後に訪れた「Story Wear」の新店舗「House of Story Wear」は、2024年12月にオープンしたばかり。台湾の繊維産業発祥の地の一つであるエリア「大稲埕」にある、築100年の建物をリノベーションしています。

「House of Story Wear」内観

店舗は2階建てで、デニム素材の洋服が所狭しと並ぶ
店内には「Story Wear」のみならず、世界中のサステナブルファッションブランドのアイテムを取りそろえていました。
以上でこの日のカルチャーツアーは終了。取材班はたくさんの手土産を持ち、ほくほくな気持ちで迪化街を後にしました。台湾取材ではほかにもデザイン関連のスポットを訪れているので、またの機会にご紹介できればと思います!
(萩原あとり)