デザイン情報サイト「JDN」は、インターネット黎明期の1997年にスタートして以来、四半世紀にわたりデザインに関する情報を発信してきました。読者のみなさま、これまで記事にご登場いただいたクリエイターのみなさまのおかげで2022年10月に創刊25周年を迎えました。
そこで、これまでにご登場いただいてきたクリエイターや企業のみなさまから、ご自身や「デザイン」の25年を振り返るコラムなど、メッセージをお寄せいただく特集「みんなで『わたしの“25”』」を公開します。今回は、WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所の中山裕之さん(PARTY)から、メッセージをいただきました。
同研究所は、『WIRED』日本版と、そのクリエイティヴディレクションをおこなうPARTYが協働するプロジェクト。JDNではさまざまなプロジェクトはもちろん、代表の伊藤直樹さんへのインタビュー、多様なワークスタイルを持つメンバーへのインタビューなど、PARTYの取り組みをご紹介してきました。
JDN創刊25周年、誠におめでとうございます。私からは次の25年を見据えて寄稿します。25年後の2047年、JDN、これを読まれたみなさん、そして私は何をしているのでしょうか。
25年後の未来について想像してみよう
「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」
これは、SF(サイエンス・フィクション)の父とも称される19世紀の作家ジュール・ヴェルヌ(よく知られているのは『海底二万マイル』や『80日間世界一周』)が語ったとされる言葉であり、WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所の立ち上げ当初からタグラインとして掲げている重要な言葉だ。この言葉に照らせば、人間が想像できなければ、その未来は実現することもない。とも言える(そもそも想像していないわけだから)。
SFプロトタイピングは、未来を想像・妄想・構想するのにナラティブの力を利用する。SF作家はまさにそのスペシャリストだ。実際、SFで描かれたことによって社会に実装されているモノも多く存在している。タブレットPC、ホログラム、動く歩道、コードレス家電、コーヒーメーカー、ウォーターベッド、強化外骨格、ジェットパック、電子書籍、ドローン、メタバース……。
WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所では、独自のフレームワークを日々研鑽し、誰もがSF的想像力を用いて、既成概念に囚われたり【フォアキャスト】的になりがちな考え方から脱却し、多角的な未来(複数形の未来)を想像する機会を提供している。そして、想像した未来を起点に【バックキャスト】のアプローチで考察することで「いま、これから何をすべきか」を見つけ出し、その未来の実現を手繰り寄せる。
25年後を想像してみよう。
一人ひとりが25年後について想像することによって、未来はどんどん拡張し、作り込まれていく。SFプロトタイピングには、それを推進する力があると信じている。
(もし、あなたが25年後を想像するのに難儀した場合は、ぜひWIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所にお問い合わせください)
WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所の最新情報
WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所は、NTT人間情報研究所との共同プロジェクトの一環として、「WIRED CONFERENCE 2022」でトークセッションとワークショップを開催。人間の内面や特徴までもデジタル化し、実在する人間と同じ知性や人格をデジタル空間に再現する「Another Me」というテクノロジーがもたらす未来についてSFプロトタイピングを実施した。
■自分の死後も、デジタル化された〈わたし〉を残したい? 「SF的想像力」で拡張された、Another Meがもたらす未来像
https://wired.jp/branded/2022/12/12/wired-conference-2022-ntt/