
森に住むキツネは、夜空にかがやくたったひとつの星がともだち。ある日、その星がいなくなり、さみしくてたまらないキツネは、勇気をだして星を探しに出かけます。さよならがはじまりになる、心温まるストーリー。贈り物にぴったりな、布貼り装丁の美しい絵本です。
こちらは、老舗出版社の装丁デザイナーとして活躍する著者が手がけた、はじめての絵本。ウィリアム・モリスを彷彿とさせる色彩と絵柄が美しく、装丁の美しさも卓越しているこの作品は、2015年にイギリスで刊行されました。ひとりぼっちの臆病なキツネが、唯一のともだちである星を探すために勇気をだして一歩踏み出す、シンプルで奥深いストーリーで、世界中の幅広い世代に響いています。イギリスの大手書店チェーン・ウォーターストーンの年間ベスト書籍に選ばれたほか、数々のデザイン賞を受賞し、現在世界10カ国で翻訳されています。
※こちらの書籍は特色印刷のため、中面の画像と実際の色が異なります。ご留意ください。
村上妃佐子(編集者)おすすめコメント
はじめてこの本を見たとき、圧倒的な本の佇まい、美しさに胸が震えました。「本」というものは、内容はもちろんですが、“本そのもの”の佇まいからもつくり手の意図が伝わってきます。
イギリスの「モダンデザインの父」とよばれるデザイナー、ウィリアム・モリスと、詩人ウィリアム・ブレイクへの憧れが、著者コラリーさん自身の感性と響きあい、イラスト、デザイン、造本とすべてにこだわりぬいた1冊の本になっています。表紙を手にとる瞬間から、ページをめくる喜びが溢れてきます。
ストーリーはとてもシンプル。だからこそ、読者それぞれが自分の体験と重ね合わせ、いろんな節目において味わうことができる内容です。イギリスでは「児童書」としてきちんと受け入れられていることも、この本を翻訳出版する上でとても大切にしたい要素でした。美しいものは、読者を選ぶものではありません。子ども向け、大人向けなどと区分けするのではなく、直感的に惹かれる気持ちを大事にしてほしいと思います。
中のイラストは美しいだけではなく、ユーモアや遊び心も含まれています。コラリーさんも、日本語版の出版をとても喜んでくださいました。使用する本文用紙、表紙の素材、レイアウトにいたるまで事前にご自身で確認され、修正したほうがよくなる場合には協力的に対応してくださいました。原書の雰囲気を大切にしつつ、より伝わるように訳文、デザインともにこだわりました。日々の暮らしのなかで、何度もこの本を開いていただけたら嬉しいです。
発行 | アノニマ・スタジオ |
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作・絵 | コラリー・ビックフォード=スミス |
訳 | スミス幸子 |
デザイン | 岡本洋平+島田美雪(岡本デザイン室) |
編集 | 村上妃佐子 |
仕様 | B5変型、上製、布貼り、ビニールカバーつき、64ページ |
価格 | 2,800円(税別) |
ISBN | 978-4-87758-770-3 |