普段街で目にするものがプラモデルのランナー(パーツが付いた枠組み)に変身するプロジェクト「静岡市プラモデル化計画」。プラモデルの出荷額の約8割を占める、静岡市の地域創生プロジェクトです。
同プロジェクトのクリエイティブディレクターを務めたdeaの畑中翔太さんに、プロジェクトの背景や特徴についてコメントをいただきました。
■背景、課題
静岡県静岡市は、TAMIYA、AOSHIMA、Hasegawaをはじめとする国内トップのプラモデル企業が本社・工場を構え、1年に生産される約8割ものプラモデルが市内で生産されています。市内では、海外を含め多くの熱狂的なプラモデルファンが集まる、国内最大級のプラモデル展示会・静岡ホビーショーも毎年開催されています。
この「プラモデル」という独自の地域資産を使い、「模型の世界首都」という静岡市の魅力をいかに日本や世界にPRし、町を盛り上げていくかが課題となりました。
■コンセプト
コンセプトに掲げたのは、「静岡の町の景色をプラモデルに変えていく」。町にある郵便ポストや案内看板、そして公衆電話など、私たちが普段よく目にする公共物を組み立て前のランナーに分解したモニュメント(プラモニュメント)をつくり、町の中に点在させていきました。
静岡市の地域資産であるプラモデルを、おもちゃ・ホビーの枠を超えた“観光装置”として展開していく地域創生プロモーションです。
■手法、特徴
制作においてこだわったのは、昨日まで町の中にあったものがまるでプラモデルに生まれ変わったような“ワクワク感”をつくり出すことでした。プラモデルファンではない人でも、一度見てみたくなるようなデザインを設計。
設置されたプラモニュメントは、すべて実際に使用が可能なことも特徴です。郵便ポストには手紙などを投函でき、公衆電話では通話をすることができる。
また、プラモニュメントにする対象物は大きくも小さくもせずそのままのサイズ、1/1スケールで制作しました。投函や通話するときにも、人が利用しやすい高さに設定しながらそれぞれのパーツをレイアウトしています。
プラモニュメント制作は、プラモデル技術者による監修を受けて設計。パーツとパーツの繋ぎ目の部分や裏側のタグ表示まで、徹底してディテールにもこだわりました。プラモデルファンの間でも「さすが静岡市」と好評を得ています。
- スタッフ
クリエイティブディレクター :畑中翔太(dea)
アートディレクター:永井貴浩(博報堂ケトル)
デザイナー:松尾憲宏(magnet-design)
プランナー:奥祐一朗(博報堂プロダクツ)、丸川貴史(AOI Pro.)
プロデューサー:林田尚翁(静岡博報堂)、菅野洋平(静岡博報堂)、磯部京子(静岡博報堂)
静岡市プラモデル化計画
http://www.shizuoka.hakuhodo.co.jp/pla-model-project/