女子美術大学・女子美術大学短期大学部 Webサイト

女子美の「今」と「温度感」を伝える

女子美術大学、通称・女子美のWebサイトが7月25日にリニューアルオープンしました。

来訪者がトップページにアクセスして最初に出会うメッセージは「こんにちは、女子美です。」。受験生に大学生活をよりリアルに想像してもらえるよう、女子美の“今”や“温度感”を伝えることを意識したというサイトについて、日本デザインセンター オンスクリーン制作室を中心としたプロジェクトチームのみなさんに、リニューアルにあたってのポイントなどをお聞きしました。

■プロジェクトの背景・課題

2020年に創立120周年を迎える女子美術大学・女子美術大学短期大学部。「女性のための美術大学」という特色をより活かし、かつ国内外へ広く情報発信していく活動の一端を担うべく、Webサイトのリニューアルプロジェクトがはじまりました。

大学側のおもな課題は「他大学と差別化できるような、大学の顔つきがWebサイトで表現できていない」ということと、「整理されていない情報が混在しており、来訪者にとって必要な情報が埋もれてしまっている」という2点。

また、リニューアル前のサイトが2012年につくられたこともあり、閲覧環境の変化への対応や、蓄積された情報の整理も必要でした。これらの課題を受け、今後のブランディングの先鞭となる「女子美の顔つき」をどこに表現するのか、またWebサイトのおもな来訪者である受験生がいつ・どのように利用するのかの2つに重点を置き、調査と設計を行う必要があると考えました。

■コンセプト

アンケートやアクセスログ分析などの定量調査に加え、在学生へのヒアリング(定性調査)を行い、受験生の気持ちの変化をコンセプトダイアグラムで作成していきました。その中で浮かび上がってきたのは、「受験生は大学に通う生徒の中に自分の将来像を探している」こと、そして「“女子大” ”美大”といった枠組みでは表現しきれない多彩さ」。これらの気付きをもとに「女子美の温度感を伝える」ことをプロジェクトのコンセプトに据えました。

■制作手法・特徴

Webサイトの対象者である受験生に「女子美の温度感」を伝えるため、ナビゲーションとサイト構造の両面から情報設計の見直しを実施。以前のサイトは大学目線での分類に基づいたラベルで誘導を行っていましたが、今回はコンセプトダイアグラムで導き出した、受験生が美大受験を意識し、女子美を受けるまでの流れに沿うよう、分類ラベルを「女子美と出会う」「女子美がわかる」「女子美にふれる」「女子美を受ける」とし、それぞれの分類に合うコンテンツをサイト構造に関わらず整理し、メニュー化しました。

また、ビジュアル表現に関しては、美術大学特有の1枚の強いビジュアルによる訴求をやめ、変化を受け入れながら大学の「今」を表現し続けられるアートディレクションを採用。「Studentsʼ Voice」は、実際の女子美生たちの声と姿をもとに構成された、「ことばと写真、グラデーションの組み合わせ」がすべてのページにランダムで表示され、多彩でエネルギッシュな女子美をあらわしています。

この「Studentsʼ Voice」がサイトのトーンを担保しつつ、さらにレイアウトや写真表現などにも細かく配慮することで、受験生がスマートフォンで普段触れている世界と地続きの感覚でサイトを利用できるよう意識しています。

コンテンツにおいては、学生・教授のインタビュー記事を作成しました。女子美にいる人々の生の声を伝えることで、受験生に大学生活をよりリアルに想像してもらえるようにしています。受験生にとって「自分に合う大学かどうか」は大学選びの大きなポイントであり、その大きな参考になる記事コンテンツは、今後も積極的に拡充していきます。

本プロジェクトでは、期間が長期にわたることと、関係者が多いことから、プロジェクトの前提となる調査結果とその考察、クライアントの戦略、利用者の声を踏まえて検討した理想像を丁寧に共有し、学内関係者の理解を得て、プロジェクトメンバー一体となってゴールを目指すことを特に意識しました。

スタッフ

クライアント:女子美術大学

クリエイティブディレクター/関口裕(日本デザインセンター)
プロジェクトマネージャー/山道正明(フリーランス)
ウェブディレクター/土屋綾子(フリーランス)
アートディレクター/横田泰斗(日本デザインセンター)
コピーライター/秋山智憲、佐藤優海(日本デザインセンター)
フロントエンドエンジニア/林洋介(HAUS)
テクニカルディレクター/廣橋徹次(フリーランス)
フォトグラファー/岡庭璃子(日本デザインセンター)
イラストレーター/岡崎由佳(日本デザインセンター)
プロデューサー/稲垣美智子(日本デザインセンター)