出雲大社埼玉分院ブランディング

現代的な手法を使いつつも、歴史の流れを感じさせるデザイン

埼玉県朝霞市にあり、地域の方から「朝霞の出雲大社」「埼玉の出雲さん」などの愛称で親しまれている出雲大社埼玉分院。設立35周年の節目を迎えるにあたり、御社殿の建て替えが計画された同院ですが、2020年元日に出雲大社朝霞教会から出雲大社埼玉分院へ昇格することに伴い、リブランディング計画が行われました。

本プロジェクトには、クリエイティブディレクターにmethodの山田遊さん、アートディレクター/デザイナーには6Dの木住野彰悟さんが参加しました。リブランディングをする上で大切にしたことや実際の手法などについて、木住野さんにお話をお聞きしました。

■プロジェクトの背景・コンセプト

出雲大社は、数千年の歴史をもつ日本最古の神社の1つで、日本の神々が集まる出雲の地に象徴的に建つ神社です。本プロジェクトでは分院として、その長い歴史と神の集まる地を表現するため、現代的デザインを感じさせないように、出雲大社の神紋である「二重亀甲剣花菱」を構成する亀甲紋の六角形と、出雲の雲を掛け合わせた模様をデザインしました。

出雲大社埼玉分院 絵馬。

出雲大社埼玉分院 絵馬。「二重亀甲剣花菱」を構成する亀甲紋の六角形と出雲の雲を掛け合わせた模様が描かれています

■手法・特徴

さまざまなアプリケーションもこの模様をベースに制作しました。凧に模様と一緒に入れた紋は、紋が伝統的に持つ意味を考えて制作しました。亀、松、鶴は、長生きや長く続くという意味で、桜は門出などを意味しています。御朱印帳やおみくじには、出雲大社にゆかりのある絵柄をデザインしました。

出雲大社埼玉分院 凧

出雲大社埼玉分院 凧

出雲大社埼玉分院 御朱印帳

出雲大社埼玉分院 御朱印帳

日本の寺社仏閣でブランディングをしているところはまだ多くありません。“お宮”という立ち位置もあり、あまり人の手が介入した姿を前面に押し出すのは好ましくないというイメージが残っていると思いますが、整える必要性は感じています。

そんな中で今回のプロジェクトで最も重要だったのは、ブランディングという現代的な手法でプロジェクトを進めつつも、現代のデザイン性が全面に出過ぎないように、昔からの流れを踏襲し、歴史の流れの延長ででき上がったもののようにデザインすることだったと思っています。出雲大社埼玉分院からも、「出雲の伝統を現代に受け継ぎ、調和のとれたデザインに仕上げていただきました。後世まで引き継げる不変的なものであると満足しています」という嬉しい感想をいただきました。

スタッフ

クリエイティブディレクター:山田遊(method)
アートディレクター/デザイナー:木住野彰悟(6D)
デザイナー:田上望(6D)
イラストレーター:谷口広樹
書:寺島響水
凧制作:須藤凧屋
撮影:藤本伸吾(sinca)