<イラストレーションの未来像>講座、第2回目は安斉肇氏です。
安斉氏の友人であるイラストレーターの高橋キンタロー氏が、「急に呼び出された(笑)」と言いつつゲストとして参加します。対談も交えて、作品や仕事のエピソードなどを語りました。
「仕事を始めてだんだん軌道に乗ってくるまでを、短くスライドにまとめてみました。とりあえずそれを見てみましょうか」。
イラストレーションの仕事として初めて本格的に手がけたファーブル昆虫記の装丁画から、ボブ・ディランのポスターデザインまで。イラストレーションのみならず、レコードやCDジャケットのデザインが幾十も映し出されます。
「横尾忠則さんや和田誠さんのように、グラフィックデザインとイラストレーションの両方をやっている人にあこがれてデザインの世界に入った」と当時を振り返ります。
仕事にまつわるエピソード
発想から笑い話、失敗話、どんどん出てきます。ときに高橋氏が合いの手を入れつつ、氏のトークは途絶えることがなく、会場は盛り上がります。
バンド「ユニコーン」のツアー・パンフレット
「表紙をジグソーパズルにしたら面白いと思って作ったら、(お客さんも)まさか本当に出来るとは思ってなかったらしくて感激の手紙まで来ました。『感動しました』とか、『私だけの秘密です』とか訳わからない手紙も(笑)。ただ問題は、一度ばらばらにすると二度と開けないことなんですよね」。
ボブ・ディランのポスター
みうらじゅん氏が描いたキャラクターを安斉氏がデザイン。「絵を小さく使いたいと(みうら氏に)言ったら『いやだ』と言うので、かわりに字を大きくしました。会場は、文字の‘プヒ〜、プヒ〜’だらけになって」。
「『ディランが来るというのに、こんなの見せられない』って、血相変えたスタッフの人にはがされてしまいました」。
コンピュータで作るデザインの面白さは?
最後に紹介した作品は、90年代初期のものでした。「最近のデザインはコンピュータを通してやっているので、ある種のデジタル感が出てしまうというか、何かフィルターが一つ入ってるような気がして。今まで見せたものとはどうも仕上がりが違うんですよね」と安斉氏は言います。
「コンピュータを使うと、完成が見えてしまって、完成に向かって進めていくというのがあって。きっと人間って作業そのものが面白いはずなんですよ。作業に夢中になって、そこで偶然できるものって、けっこういい」。
高橋氏がその言葉にうなずき、続けます。
「慣れてしまうことの危うさ。それ自体をコンピュータが持っているということですよね。(コンピュータは作品を)あるレベルまで勝手に持っていってくれるから。でも結局、CGやってて面白いことやる人は何やっても面白いですよ」。
「イラストレーションやってるときっといいことがあります。かならず見てくれている人がいます。がんばってください」と安斉氏。さいごに受講生にエールをおくり講座を終えました。
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安斉肇氏
桑沢デザイン研究所を卒業後、麹谷・入江デザイン室、SMSレコードを経てフリーに。
1994年より「JAL太平洋楽園計画・リゾッチャ」、95年「AAA奇跡の地球エイズキャンペーン」、98年「FMレディオ湘南」のキャラクターをデザイン。 98年第3回みうらじゅん賞受賞。 個展は、86年「6 DAYS」、98年「haroldT; T-Shirts Expo 98」など。 著書に絵本「タビダチくんがいく」「ラブ,ラブ,ラブ!」などがある。

安斉氏と高橋氏
高橋キンタロー氏
多摩美術大学卒業後、フリーに。広告、 エディトリアルの他にもアニメーション、キャラクター製作、CD-ROM監修などの分野でも活躍。

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