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<JDN> <REPORT> <ヘルシンキ最前線>
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  第2回


ナイト・イン・ヘルシンキ


ヘルシンキ在住のプロダクトデザイナー・梅田弘樹氏がお届けする「ヘルシンキ最前線」。第2回目はフィンランドのミュージックシーンをご紹介します。

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「森と湖の国」「情報産業の国」などと、健康で優等生的な印象が先行するこの国にも、もちろんいわゆるポップカルチャーは存在する。このところ、いくつかのCDがヨーロッパでヒットし、活気づくポップミュージック産業が、国内景気を支える一助になっている、というようなことを先日テレビのニュースで紹介していた。参考までにメジャーどころを列挙すると、ドイツチャートにナンバーワンシングルを放ったロックバンド「HIM」(ヴォーカルのヴィッレ某はフィンランドのティーン(女子)のセックスシンボル、と「City」誌英語版にあった)、テクノの「Darude」、ヒップホップの「Bomfunk MC」など。
今回は、「PSYCHOTROPIC ZONE 〜psychedelic music club」というイベントの報告をする。グラフィックデザイナーのカズコさん(日本人)が誘ってくれたもので、彼女はこちらでミュージシャンのCDジャケットやイベントのフライヤーなども手掛けており、参加するバンドのメンバーである友人からチケットをもらったとのこと。普段日本では紹介されることの少ないであろう、そんなフィンランドのポップカルチャーの一端を紹介できれば、というか、雰囲気だけでも伝われば幸いです。ではいってみましょう。

■フィンランドのポップカルチャー
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場所は、ヘルシンキダウンタウンの真ん中にある多目的イベントホールGLORIA(写真1)。近くのネパール料理屋で腹ごしらえを済ませた我々は、午後10時半、会場へ乗り込む。最初のバンドDark Sunの演奏が始まっていた(写真2,3)。キーボードの音作りがやや「サイケ調」かと感じる他は、割合普通のハードロック。ルックスもストレートのロングヘアとTシャツ+ジーンズという、トラディショナルなハードロック風。1バンド目ということで、オーディエンスのノリもまだ低調。皆遠巻きに、あるいは立ち、あるいは座り、ビールなどを飲みつつおとなしく聴いていて(写真4)、舞台直下付近にはぽっかりと空間が…。だが、中にはバンドの名前が入ったTシャツを着たコアなファンと思しき連中も散見される。



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次に出てきたのはKuusumun Profeetta(写真5)。ギターデュオ、ベース、ドラムといった基本構成プラスヴァイオリン(時にパーカッション)、サックス(時にマンドリン)といったアコースティックな音作りがこのバンドの特徴。ロバート・ワイアットを思い出させる、音程の危ういか細いヴォーカル(ギター兼)は、個性的ともいえる。抑え目の楽曲の割には、客の反応が良い(写真6)。ヴォーカリストの靴もお洒落だった(写真7)。ここで気付いたが、女の子たちの間ではまとめ髪がトレンドのようだ(写真8)。


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3番手のSpacious Mindはスウェーデンのバンドだそうだ(写真9,10)。そのためか、ギタリストの一人は背がひょろっと高く、見かけ的にはアピール強。音楽は、いうなれば「リヴァーブ、エコー、ディレイをかけまくったレスポールのボトルネックと、生ドラムとディストーションベースの単調なリズムによる、抑制の効いた内省的インストゥルメンタル」。その音楽性の故か、招待バンドだからか、客の反応はいたって静か(写真11)。演ってる方は最高に気分よさそうだ。その気持ちは分かる。クスリでキメていれば聴いている方も良いのだろうが、フィンランドではもちろんご法度です。照明の演出が出演バンド中一番凝っていたようにも思うが、これはバンドの力量とは関係ない。ベーシストは裸足だった(写真12)。演奏後にカズコさんにこういうのはなんというジャンルの音楽かと訊いたら、「アンビエントハウス」との由。これがそうか。


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トリはCircle(写真13,14)。出演バンド中最も音がデカイ。オーディエンスもやっと盛り上がる(写真15-17)。ファンも多そうだ。延々と繰り返される硬く激しい音作りのリズムパターン(これも生ドラムと生ベース。シークエンサーやループがないのは本日の特徴であった)に、恍惚としたギタリスト2人のノイズと、エフェクターで目いっぱい歪ませたヴォーカルによるアジテーションが絡む。時にパーカッション、時にキーボード奏者となり、客への媚びを一切拒否しつつ義務のように叫び弾き叩くメインヴォーカリスト(実はKuusumun...のヴォーカルと同じ人)のキャラ作りもカッコいい(写真18)。でもこの手の音楽を聴いていつも不満に感じるのは、このリズムの単調さ。それこそがテクノなのだということなのだろうが、80年代で止まっているプログレじじいとしては、リズムセクションは(変拍子とまでは言うまい、踊れないからね)せめて16小節に一度でいいからオカズを入れたくならないのか、と思ってしまうが、これはムーブメントに乗りそこなったオヤジのたわごとなんだろうな、やっぱり。

全般的に、期待していたヴィジュアル面は今ひとつだった。ポスター(写真撮るのを忘れていました)も非常にあっさりした作りだったし。突飛なファッションの人も少なかった。これがフィンランドらしさか。そして印象に残ったのはこの健全さ。ドラッグはおろか、アルコールでの泥酔者すらいない。クロークに預けたコートをお行儀良く列の順番を待って取り返し、強風のため実温度マイナス5度よりかなり寒く感じる外気で頭を冷やしつつ、三々五々街へと散って行く若者たち。


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■日本への関心も
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ところで、ある種の若者の間では日本のポップカルチャーに対する関心も盛り上がっている。フィンランド人と日本人を両親に持つ若者たちがメインになって運営する団体「NIBAI」(「ハーフ」じゃなくて「二倍」)が主催する、ジャパニーズポップカルチャー紹介イベント「IKE IKE(イケイケ)」が、来る2月9日、同じGLORIAで開かれる。キモノファッションショー・ポップヴァージョン、Jポップカヴァーバンドの演奏などの他、日本からリップスライムが参加する予定。ファンの人はオーロラツアーに絡めて見に来てみては…と思ったけどちょっと間に合わないかな?