- デザインコンセプト
- 担当:成瀬友梨・猪熊純/成瀬・猪熊建築設計事務所
地域づくりとしての建築
東日本大震災において甚大な被害を受けた陸前高田市にコミュニティカフェ「りくカフェ」をつくり、被災した地域地元のみなさんと一緒に運営を続けているプロジェクトである。
震災後間もなく、高台にプレハブを建設し診療を再開した医師や歯科医、その家族らと東京大学・首都大学東京の研究メンバーらがチームを発足し、敷地全体が地域の憩いの場となることを目指して計画を進めた。まずは早さを重視して2012年1月に仮設のカフェをオープン。3年間の活動によって市内外から人が訪れ、月に数回イベントを行ったり、生協の移動販売車が立ち寄ったりするような地域の拠点として成長した。
一方で敷地が復興道路の計画地にあたること、仮設建築物で使用期限があること、トイレやコンロがなく設備が不十分なことから、今回それらを改善し、面積を倍にして建て替えを行った。
設計者である私たちの「りくカフェ」における役割は多岐に渡る。全体計画の策定やカフェの設計に留まらず、ファンディングも行い、運営にも関わっている。
昨年の10月5日にオープンを迎えた本設は、昼間のランチなどを中心に多くの人で賑わい好調な滑り出しだ。今年度からは、介護予防事業も受託し、活動の範囲を広げている。地域のコミュニティ作りでは観光やIターンによる他地域からの収益獲得が注目を浴びるが、全ての地域に汎用性のある「豊かに地域を縮小する合理性」もまた重要だ。介護予防事業との組み合わせは、その一つの解決になると信じている。
所在地 | 岩手県陸前高田市高田町字鳴石22-9 |
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設計 | 成瀬・猪熊建築設計事務所 |
施工 | 吉田建設 |
敷地面積 | 239.95m2 |
建築面積 | 83.46m2 |
延床面積 | 70.87m2 |
階数 | 地上1階 |
構造 | 木造 |
工期 | 2014年4月〜9月 |
撮影 | 西川公朗 |