KOFFEE MAMEYA

“バリスタの価値を最大限に発揮できる店”をつくり上げた空間

デザインコンセプト
担当:林洋介/14sd/Fourteen stones design

建物の老朽化のため惜しまれつつ閉店した「OMOTESANDO KOFFEE(表参道コーヒー)」が、同じ場所に新業態「KOFFEE MAMEYA(コーヒー マメヤ)」をオープンした。この店は豆の専門店であり、おいしいコーヒーを提供するのはもちろん、次の段階として自宅で飲むコーヒーの質を上げたいというオーナーの想いから生まれた。

コンセプトは、「コーヒーを客へと届ける媒介者であるバリスタの価値を最大限に発揮できる店」。提供されるサービスは、バリスタが世界中から厳選した産地とロースターによる豆を常時15~20種類用意し、客の好みを丁寧にヒアリングしながら最適な豆を紹介するというもの。豆だけでなく、その背景にある生産者やロースターのカルチャーも伝えていく。

こうしたバリスタのプレゼンテーションを表現する装置として、ビジュアル・アイデンティティであるキューブ型カウンターをつくり、バック棚一面には、焙煎の具合を視覚的に表現する豆のパッケージをグラデーション状に並べた。また、バック棚のカウンターには、豆が1杯分ずつ試験管に入っており、整然と納められている。

客側のカウンターの天板にあるガラス製ショーケースには、その日に扱うすべての豆を陳列。なおショーケースとメニューのフォーマットは、同じデザインとしている。購入した豆にはカードが入っており、バリスタが客の所有する器具をヒアリングしながら最適な淹れ方を伝えるレシピを書き添える。さらに客は、購入した豆の記録をカルテに残しておくことができ、バック棚にはカルテケースが用意されている。

こうした一つひとつのサービスやオペレーションのあり方を、オーナーとクリエイティブディレクターと共に徹底的に詰めていきながら最適なデザインを決めていくことで、店のあるべき姿をつくり上げていった。この場所からまた日本のコーヒーカルチャーがひとつ更新されていくことだろう。

インテリアデザイン 林洋介/14sd/Fourteen stones design
クリエイティブディレクション 加藤智啓/EDING:POST
施工 株式会社TANK
所在地 東京都渋谷区神宮前4-15-3
主要用途 物販、カフェ
床面積 36.13m2
開業日 2017年1月27日
撮影 神宮巨樹