くらすわの森

広大な森を活用した空間で「すこやかさ」を体験できる施設

豊かな自然が広がる敷地に回廊建築が目を引くこの施設は、長野県駒ヶ根市にある「くらすわの森」。「すこやかなくらし」を理念に養命酒製造株式会社が取り組む新事業「くらすわ」を、森の中で体験できる施設です。

設計を手がけたのは、株式会社丹青社と建築デザイン事務所のTAAO。その背景や特徴、コンセプトなどをうかがいました。

■背景

400年を超え、生活者に“すこやかさ”を提供してきた養命酒製造が取り組む新事業「くらすわ」。そのくらすわのブランド理念を、広大な森で過ごすことで体験できる施設が『くらすわの森』である。

1972年駒ケ根工場創設時から大事に育ててきた森を再活用し、日常的に自然に触れることで、人々が皆、本来持っている理性・感性・体力を取り戻し、“すこやかさ”を実感するための空間づくりを目指した。

くらすわの森

また、ゲストに“すこやかさ”を伝えていくこと使命とするスタッフ自らが“すこやかさ”を実感かつ体現できるように、心身を整えながら働ける新しいオフィスも新装した。

くらすわの森 オフィス

■コンセプト

新設した建築は4棟、リノベーション1棟。全天候で森の四季を感じながら散策できる直径80mの屋内回廊「Forest Ring」、20年前に創業地の長野県・中川村から移築された壱ノ蔵を「くらすわ駒ケ根店」としてリノベーション、最後に創業地に残されていた弐ノ蔵を移築しレストランとして活用。

Forest Ring

Forest Ring

自然の中で大いに知性を養ってもらうための「森のライブラリー」は木造2階建ての高床式の小屋、そして新しい働き方を実践できるオフィスは、インフォメーションと組み合わせてセンターハウス棟に配した。

本施設は、養命酒製造がゲストとの共創を通じて、次の100年を生き抜くブランドの土台を築き、ゆっくりと成長させていく大事なビジネス基盤となることを目指している。

■課題となった点、手法、特徴

寒冷地かつ交通手段が少ない立地における集客の手段として、四季の森を劇場化できる屋内回廊建築を検討した。落葉から積雪、春の啓蟄を迎えるまでのしんしんとした静かな森もゲストに楽しんでいただける工夫を施した。

また、今まで踏み入ることができなかった西から北の森への目的を持った入口建築として、鳥の目の高さで森を感じ、独特な読書体験が楽しめるライブラリーを用意した。

鳥の目の高さを体感できる「森のライブラリー」

鳥の目の高さを体感できる「森のライブラリー」

創業地からの蔵の移築は、養命酒製造の長い歴史を次の100年に生かすことを、南アルプスを一望できる高床式オフィスは、スタッフ自ら日々の働き方の中ですこやかさを実感し、ゲストへのサービスに生かすことを意図している。

申請上の課題かつサステナブルなプロセスを最適化するため、工事上必要な重機の可動域を詳細に検討することで、森の伐採面積を最小限に抑えつつ、本施設を完成することができた。

くらすわの森

所在地 長野県駒ケ根市赤穂16410
設計 株式会社丹青社、TAAO
施工 株式会社丹青社、株式会社ヤマウラ
構造 鉄骨造・木造
敷地面積 155000㎡
竣工日(開業日) 2024年10月3日
撮影 株式会社 ナカサアンドパートナーズ