渋谷区総合庁舎の解体を前にしたラストイベント「シブヤのタマゴ」。ノスタルジーはそこかしこに

渋谷区総合庁舎の解体を前にしたラストイベント「シブヤのタマゴ」。ノスタルジーはそこかしこに

渋谷区総合庁舎が50年の幕を下ろし、建て替えになることをご存知だろうか?

2011年の東日本大震災の後、区が行った耐震診断調査で基準値より低い結果が出たことから、隣接する渋谷公会堂と共に建て替えが決まったといういきさつだ。

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そんな再生の時を迎える渋谷区総合庁舎を舞台にした、デザインとアートの参加型イベント「シブヤのタマゴ」が10月25日~11月3日まで開催された。解体前に渋谷を愛する人々の参加の場として特別解放され、国内外の多様なクリエイターによる展示やフリーマーケット、ワークショップなどが行われた。出展者は全部で82組。今まで多くの人が働いていた執務室や議場、会議室などを会場にして、さまざまな表現が集まった。以下、イベントの様子を一部紹介する。

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【アート展示】渋谷駅の証人たち:渋谷駅に写りこんだ人物たちをポートレートにした作品(田村圭介+昭和女子大学環境デザイン学科田村研究室)

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【アート展示】渋谷駅変遷模型 縮尺1/4000:渋谷駅のたどってきた更新過程を25の模型で表した作品では、130年分の変化を見ることができる(田村圭介+昭和女子大学環境デザイン学科田村研究室)

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【アート展示】石ころのカチナ:石に触ると動く影があらわれるという作品(plaplax)

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【アート展示】壇上には誰もいないが、カメラのビジョンには演説をしている人がいるというインスタレーション(K-NARF)

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倉庫なども展示場所になっていた

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【文字フリマ】大集会室で開催されたのは「文字」にまつわるもののフリーマーケット

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【文字フリマ】書体からインスピレーションを受けたフレームデザインの眼鏡ブランド「TYPE」

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【文字フリマ】活版印刷の「活字」を販売するブースは特に大賑わい

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【ワークショップ ネスト】議場には毛糸が張り巡らされ、巣のようなアート空間に(宮元三恵)

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【アート展示】ケーキデコレーターの鈴木恵氏による総合庁舎ケーキ。会期初日に渋谷区長の長谷部氏が開会を記念して入刀した

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【土のうプロジェクト】土のうとともにデザインの可能性を広げる作品展「渋谷の土のう」。一部の人にしか関わりのない土のうの新しいあり方を模索する展示

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【土のうプロジェクト】3・5土のう:デザイナーの渋谷哲男氏による規格化・大量生産化に適した土のう

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【土のうプロジェクト】でっかい土のう(渋谷哲男)

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庁舎のそこかしこには、主のいなくなった哀愁がただよう

このイベントは、NPO法人「デザインニッポンの会」代表・原木繁利さんが発起人となり始まった。かつて道玄坂に養鶏所があった街の歴史や、割ってみないと中身が分からないことなどから「シブヤのタマゴ」と命名したという。

絵画や映像、インスタレーションにパフォーマンスなど、ラストイベントはまさにシブヤという街にふさわしい、とても自由で多様性のある表現がたくさん生まれた。イベントと会場の雰囲気が相まって、建物のそこかしこからは拭いきれないノスタルジーが漂い、訪れる人を楽しくも切ない気持ちにさせていたのが印象的だった。

シブヤのタマゴ
http://www.shibuyaeggs.com/