建築を通してジュエリーを考える、「PLAY JEWELLERY – WEAR ARCHITECTURE」が1月30日まで

建築を通してジュエリーを考える、「PLAY JEWELLERY – WEAR ARCHITECTURE」が1月30日まで

東京・渋谷のギャラリー、(PLACE)by methodにて「PLAY JEWELLERY – WEAR ARCHITECTURE 建築を通してジュエリーを考える」が開催されている。

本展は、2015年の12月末まで庭園美術館で開催された「オットー・クンツリ」展のサテライトプログラムの一環だ。建築家の永山祐子氏と中村竜治氏が、ジュエリーと建築との関係をテーマとして展開している。

横尾忠則氏の美術館「豊島横尾館」を設計した永山氏と、「空気のような舞台」(新国立劇場オペラ「ル・グラン・マカーブル」舞台美術)を手がけた中村氏。積極的にアートとのぶつかり合いを試みている両者が、身体とジュエリーとの関係を空間とインスタレーションに置き換え、展示を試みている。

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撮影:今井慎太郎

装飾と現象 / 永山祐子

永山氏は、展示空間の壁に光の「ブローチ」を出現させた。幾何学図形の丸、三角、四角の3つの光が壁に投影され、染み出すようにふんわりと現れては消えていく。一見ただの光のようだが、近付いてよく見ると壁には文様が隠されている。文様はアーティストの松下徹氏が施したステンシルで、繊細な光のブローチはゆっくりと現れ、消えていく。

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撮影:今井慎太郎

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永山氏は、「“装飾”をテーマとし、自分が作ってきた建築を見返した時に浮かんだことが“現象”でした。装飾がなくとも建物は機能として成立しますが、あることで建築も新しい見え方、意味、コミュニケーションが生まれます。装飾を現象として作ることでそこに時間と空間、見る人を含んだ可変性が生まれます。ジュエリーも同じように考えられ、それが身体上であるかないかということだと思います」と、話す。

装飾と物差し / 中村竜治

中村氏は自身の作品を「円をモチーフにした、空間を測る物差しのようなもの」と話す。10mのカーボンの丸棒を直径約3.2mの正円のリング状に丸め、床と天井の間に挟んでいる。リングはリング自身のしなりと反発力で自立しており、固定や接着は一切していない。3つあるリングは、それぞれギャラリーの凸凹した天井高に応じ、異なる楕円の形に変化している。

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撮影:今井慎太郎

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中村氏は、「建築とジュエリー、両者が共通して持っている装飾性に注目しました。建物に施される装飾の多くは、空間や部材の寸法と関係しており、そこから割り出される単位によって装飾の寸法や形が決定されています。ある意味、建物の大きさを表現する物差しのようなものだと言えます。展示では建物のための装飾と、人のための装飾の中間的な存在を考えました」と、話す。人の首に合わせてネックレスが違う弧を描くように、中村氏の作品も空間に合わせた特有の弧を描いている。

ひとことでは表しづらい展示だが、両者の解釈と表現が絶妙に合わさり、独特の雰囲気をまとった空間になっている。会期は1月30日までなのでお早めに。

PLAY JEWELLERY – WEAR ARCHITECTURE 建築を通してジュエリーを考える
会期:2015年12月12日(土)~ 1月30日(土)
時間:12:00~19:00
会場:(PLACE) by method(東京都渋谷区東1-3-1 カミニート14号)