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“忘れられた日本”を発見する、文化創造の試み「奥能登国際芸術祭2017」

“忘れられた日本”を発見する、文化創造の試み「奥能登国際芸術祭2017」
夏から秋にかけて全国各地で開催されるアートフェステイバル。それぞれの地域の個性や歴史などにフォーカスして、その場でしか体験できないものとなっています。もちろん、そこにはアートだからこそできる表現や批評性という軸がしっかりとあります。各芸術祭のテーマや注目のアーティストなど、見どころや魅力をごくごくかんたんにご紹介します!やはり、実際に足を運んで楽しむのがいちばんです。ENJOY! ART FESTIVAL!
奥能登国際芸術祭とは?

今年初開催となる「奥能登国際芸術祭2017」の舞台となるのは、最涯(さいはて)の地「奥能登珠洲」。2017年9月3日から10月22日までの50日間にわたって繰り広げられる。

実行委員長は泉谷満寿裕さん(珠洲市長)、総合ディレクターは北川フラムさん(アートディレクター)に加え、クリエイティブディレクターには浅葉克己さん(アートディレクター)、コミュニケーションディレクターに福田敏也さん(広告・WEBプランナー)を迎えました。公式写真は石川直樹さん(写真家)が担当しています。

Photo: Naoki Ishikawa

Photo: Naoki Ishikawa

能登半島の最先端に位置し、三方を海に囲まれた珠洲(すず)市。北からの寒流と南からの暖流が交わる場所。荒々しい岩礁海岸の外海と、波穏やかな砂浜の内海という2つの海をもつ、美しい自然景観が自慢のまち。黒瓦と板壁の家が軒を連ね、日本の原風景を感じさせる町並みが今も残っています。

古くから海と陸の交流が盛んに行われ、特異な文化が育まれてきた珠洲は、日本文化の源流とでもいうべき昔ながらの暮らしや風習、つまり“忘れられた日本”がいまでも残っています。連日のように「キリコ祭り」が行われ、奥能登がもっとも活気づく秋に開催される「奥能登国際芸術祭2017」は、伝統文化と最先端の美術が混じり合い、国内外の参加アーティストと奥能登珠洲に眠るポテンシャルを掘り起こす、文化を創造する試みとなりそうです。

キリコ祭り

キリコ祭り

テーマ

「最涯の芸術祭、美術の最先端」と銘打った奥能登国際芸術祭は、その土地・生活・人々の魅力を再発見するアーティストたちが参加し、珠洲の人、地域外からのサポーターを含め、大勢でつくりあげる、今までにない新しい芸術祭を目指しているそうです。

以下、総合ディレクターの北川フラムさんからのメッセージを紹介します。

“珠洲は今までの価値観では日本列島のさいはての土地です。しかし日本各地の生活文化が集積し、そのあらわれである祭りはキリコ、曳山やヨバレの風習として今も残る日本文化の源流が湧き出ずる場所でもあります。それは今の時代、逆に希望のありかとしての特異点になるものです。
(中略)
外浦から内浦にかけて展開されるアートは、奥能登の岬めぐりの新しい道しるべとなり、列島と大陸の関係を含めた環日本海のこれからのあり方を示唆してくれることでしょう。旅の道中に味わう海と山の食材をふんだんに使った伝統的な料理、海からの神の依り代ともいわれるキリコの乱舞、珠洲焼、揚げ浜式の塩田、能登瓦などは、まさに日本文化の基層へと私たちを誘います。

地球環境の悪化と資本主義の倫理性が問われ、日本列島の成立と未来を考えなくてはならない現在こそ、珠洲の持っている日本文化の原型、忘れられた日本が意味深いものになるでしょう。伝統的な文化と最先端の美術が響きあう芸術祭をつくりあげましょう。”
※公式サイトより抜粋

能登のシンボルとして有名な奇岩「見附島」

能登のシンボルとして有名な奇岩「見附島」

注目のアーティスト/プログラム

その土地・生活・人々の魅力を再発見するアーティストたちが参加していることから、タイトルからして興味深いものが多いです。いくつか例を挙げてみましょう。

石川直樹/混浴宇宙宝湯
EAT&ART TARO/さいはての「キャバレー準備中」
キジマ真紀/海と山のスズびらき
さわひらき/魚話
塩田千春/時を運ぶ船
ひびのこづえ/スズズカ

さわひらき 作品ドローイング

さわひらき 作品ドローイング

ひびのこづえ photo:Naoki Ishikawa

ひびのこづえ photo:Naoki Ishikawa

塩田千春 作品ドローイング

塩田千春 作品ドローイング

などなど……どんな内容の作品なのか気になりませんか?……なりますね!?参加アーティストは11の国と地域から39組。決してアクセスが良いとはいえませんが、「最涯の芸術祭」をぜひ体感してみてください!

開催概要
名称:奥能登国際芸術祭2017
会期:2017年9月3日(日)〜10月22日(日)
会場:石川県珠洲市全域
詳細URL:http://oku-noto.jp/