少し朝晩肌寒くなってきて秋が深まってきたことを感じますね。まだ緊急事態宣言が続いているなかではありますが、今月はアートや工芸まわりの企画を中心に、編集部おすすめのイベントを5つご紹介します!
北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2021
富山、石川、福井の北陸3県を舞台にした「北陸工芸の祭典 GO FOR KOGEI 2021」が、9月10日から10月24日まで開催されています。イベントのテーマは「工芸の時代、新しい日常」。
工芸が盛んな土地がたくさんある北陸。富山、石川、福井の三県には23品目の国指定の伝統的工芸品が存在し(2021年1月15日現在)、質の高い工芸が生産されています。主要な場所には美術館や大学、研究所、共同工房が設置され、専門的な視点から工芸の研究や制作が行われています。
本イベントでは、7つの工芸祭や数十箇所の工房の紹介を通して、つくり手と産地が織り成す北陸の工芸の力を伝えます。また、日本の工芸に新たな視点をもたらす2つの大型の企画展を開催し、北陸の工芸にとどまらず、日本全国の工芸の最新の動向を発信します。
企画展のひとつでは、原研哉さんや皆川明さんなどがディレクターとなって、伝統工芸を担う職⼈や工芸作家とチームを結成。「こんなものがあったらいいな」と思う⽣活道具を提案しているそうです。
第24回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展
アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル「文化庁メディア芸術祭」。「第24回文化庁メディア芸術祭」の受賞作品展が、日本科学未来館を中心にいくつかの会場で9月23日から10月3日まで開催されます。
24回目の開催となる今回は、世界103の国と地域から応募された3,693作品の中から、4部門それぞれで大賞、優秀賞、ソーシャル・インパクト賞、新人賞、U-18賞が選出されました。また、フェスティバル・プラットフォーム賞として、世界34の国と地域から応募された114作品の中から受賞作品を選出。あわせてメディア芸術分野に貢献のあった方へ功労賞が贈呈されました。受賞作品展では、多様な表現形態を含む受賞作品と、功労賞受賞者の功績を一堂に展示します。
また、会期中は関連イベントとして、「アート部門大賞『縛られたプロメテウス』トークセッション」や「分身ロボット『OriHime』とめぐる受賞作品展鑑賞」など、リアルとオンライン双方でさまざまなイベントを実施するようなのでこちらもお見逃しなく!
場所:日本科学未来館
サテライト会場:CINEMA Chupki TABATA、パナソニックセンター東京 他
https://j-mediaarts.jp/festival/
奥能登国際芸術祭 2020+
日本列島のほぼ中央、日本海に突き出た能登半島の先端に位置する石川県・珠洲市。「奥能登国際芸術祭」は、今なお美しい里山里海の自然が保たれているこの地を舞台にした芸術祭です。
2017年に第1回が開催されましたが、2020年秋に開催が予定されていた「第2回奥能登国際芸術祭」が新型コロナウィルスの影響により延期。会期を新たに9月4日から10月24日に設定し、「奥能登国際芸術祭2020+」として開催されます。
今回は、16の国と地域から53組のアーティストによる最涯と最先端が響き合う作品を展示。なお、JDNでは第1回開催時の様子のレポートを公開しているので、参加予定の方は参考にぜひご覧ください。KAWS TOKYO FIRST
ニューヨーク・ブルックリンを拠点とする稀代のアーティスト、KAWS(カウズ)の大型展覧会「KAWS TOKYO FIRST」が東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで10月11日まで開催しています。
展覧会名の「KAWS TOKYO FIRST」は、2001年に渋谷パルコで開催されたKAWSの日本初個展と同じタイトルが付けられており、2001年から20年を経たいま、創作と進化の軌跡をたどりつつ「原点回帰」という想いが込められています。
グラフィティや絵画、グラフィックデザイン、産業デザインはもちろん、ユニクロやア・ベイシング・エイプなどの著名ファッションブランドやディオールをはじめとした有名ブランドデザイナーとのプロダクトコラボレーションなど、アートジャンルの垣根を越えて活躍の場を広げるKAWS。特に、ポップカルチャーのアニメーション作品からインスピレーションを受け、目の箇所に×印を施した色彩豊かなキャラクター作品の数々は、KAWSの代名詞となっています。
会場では150点を超える作品を展示し、コマーシャルアートとファインアート双方の領域を網羅するKAWSの視覚的アプローチに迫ります。また、制作初期の作品から最新作までの絵画や彫像、プロダクトなどを通して、そのユニークな芸術制作の軌跡や美術史的意義をたどります。なお、入館者数を制限するために全日日時指定制でのチケット販売になっているため、公式サイトをご確認ください。
フィリップ・ワイズベッカー作品展「PHILIPPE WEISBECKER / in sight」
東京・目黒のGALLERY CLASKAにて、2018年に開催した「WORKS IN PROGRESS」以来3年ぶりとなるフィリップ・ワイズベッカーさんの個展「PHILIPPE WEISBECKER / in sight」が9月4日から10月3日まで開催中。
本展では新作を中心に、氏のさまざまな作風を見ることができます。見どころのひとつは、2020年東京オリンピックの公式ポスターにも採用された作品の原画やその習作。オリンピックスタジアムをシンプルな線で鳥瞰で捉えた視線から描かれた大きな作品です。
そのほかDMのイメージにも使われている、バックパックのシリーズやプラスティックのカゴ、虫叩きなど身近な日用品を描いた作品や、金具などをモチーフにした立体作品が展示されます。
場所:GALLERY CLASKA
https://www.claska.com/gallery/philippe-weisbecker-in-sight/
木々が緑から黄や赤に移り変わるこの時期。新型コロナウィルス感染症の影響でまだまだ旅行や遠出が難しいですが、身近な場所での美術鑑賞やアートイベントの参加を計画してみてもいいかもしれません。来月もおすすめイベントをご紹介するのでお楽しみに!
タイトルデザイン:宮岡瑞樹 構成:石田織座(JDN)