庖丁工房 タダフサ
家庭用の刃物やプロ用の刃物、蕎麦切り庖丁を多く製造するタダフサ。プロダクトデザイナーの柴田文江さんがデザインを手がけた「パン切り庖丁」が人気で、ブランドロゴを見れば知っていると気付く人も多いかもしれない。
写真がなくて残念だが、現在入社4年目の星野達也さんはなんと工場の祭典の第1回目に参加したことがきっかけとなって働くことになったそう。「昔はキッチン用品のデザインをしていたのですが、つくるほうに興味があって。工場の祭典で中の様子を見学でき、入るきっかけをもらいました」という星野さん。現在はベテランの職人だけでなく、若い職人も多く働いているそうだ。若いパワーにも圧倒されるが、2代目の忠一郎さんが作業を行う場面では、来場者から感嘆の声があがっていた。
三条特殊鋳工所
金属を型に流し込んで製品をつくる鋳造(ちゅうぞう)の技術を見学できたのは、世界一軽いホーロー鍋を製造する、三条特殊鋳工所。1961年に創業し、「サントク」の愛称で機械部品などさまざまな鋳物製品を製造している。2014年から自社商品「UNILLOY」の発売を開始した。
撮影NGの工程もあったので全部はお届けできないが、金属を流し込むシーンでは来場者のほぼ全員が驚きの声とともに写真を撮影していた。
ヤマダガレージ
めったにできない自動車の塗装体験を行っていたヤマダガレージ。事故などで破損した自動車のへこみや変形した部分を復元してから、自動車と同じ色の塗料を調合して塗装し、きれいな状態に直している。新車のような色を再現するために、職人は空気中のほこりを抑えた塗装ブース内で作業している。
岡村葡萄園
新潟県=ブドウというイメージはあまりないが、すごくおいしいブドウに出会ってしまった。ウィンクやシャインマスカット、バイオレットキングなど岡村葡萄園が育てるブドウの種類は数多くある。そのなかでも、生産者の岡村直道さんがおすすめしてくれた「ウィンク」は、はじめて聞いた名前だったが、皮のだぶつきがないくらい中身がパンパンにつまっている贅沢感のある一粒だった。
燕三条駅観光物産センター 燕三条Wing
燕三条駅の改札を出てすぐの場所にある、情報発信拠点。燕三条の観光情報と、優れたデザイン性と高い品質を誇る燕三条産品の展示販売を行っている。駅にこんなに立派な発信スポットがあることはめったにない。町や市をあげてのバックアップ体制を感じた。
三条スパイス研究所
まちの交流の場である公共施設「ステージえんがわ」に併設された、三条スパイス研究所。東京の押上にある「スパイスカフェ」の伊藤一誠シェフ監修のもと、「スパイス=異なるものをミックスして新しい何かを生み出すこと」という考え方に沿って、街や暮らしを再編集していくことを目指している食堂だ。ここにしかない独自のスパイス料理の提供を通して、訪れる人たちと共に「暮らしの調合」について学ぼうとしている。
工場の祭典の影の立役者である、三条市経済部商工課主任の渋谷一真さんはイベントについて、「第1回目の開催のときは、私たちがお願いして参加してもらった企業もありました。でも年々、参加企業側が“もっと良くしたい”という気持ちが強くなり、来場者にわかりやすいように工程図をつくったり、作業の音で説明が聞こえづらくないようにイヤホンを通して説明をしたりしています。工場の祭典のキービジュアルである蛍光色のストライプTシャツも、最初は『こんなの派手すぎて恥ずかしい…』と言っていた方もいましたが、最近ではイベントがない普通の時に着用している方もいます(笑)。だんだんみんなポジティブに、参加する理由も積極的になってきていて、地域としての“おもてなし力”が上がってきていると実感しています」と、まったく淀みなくイベントについての率直な感想を話してくれた。
難しい点について伺うと、「初年度は各場所への回り方に苦労しました。そこで2回目からはバスツアーを組んで来場者がより回りやすいようにしました。次の第2回の改善点は、宿泊客が少なかったこと。そこで3回目の開催時には夜にイベントやレセプションを設定したりして、2日くらいかけてじっくり回ってもらえるようにしました。そして今回の4回目にはメーカーだけでなく、農家の方やショップの方にも参加してもらい、もっと燕三条のちがう一面を見てもらうことにしたんです」と、話す。すでに工場の祭典は数々のイベントとくらべても「大成功」と言っていいと思うが、現状に決して甘んじず、つねに来場者はもちろん、地域の人たちのことも考えてより良いイベントになるよう考えている姿勢に感銘を受けた。来年も、新陳代謝と成長を続けるこのイベントに期待したい。
工場の祭典
http://kouba-fes.jp/
- 1
- 2