人と自然の関わりを美術から浮かび上がらす、「大地の芸術祭」フォトレポート(アジア芸術村・津南エリア)

人と自然の関わりを美術から浮かび上がらす、「大地の芸術祭」フォトレポート(アジア芸術村・津南エリア)
2000年から3年に1度開催され、現在では世界最大級の国際芸術祭となった、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(以下、大地の芸術祭)」。日本有数の豪雪地として厳しい自然環境と向き合い、大きな自然災害に見舞われながらも、それを乗り越えてきた越後妻有の人々の暮らし、そして現代アートが溶け込む里山の風景は、訪れた多くの人たちや参加作家たちを魅了してきた。過去5回の芸術祭によって蓄積されてきた約200点のアート作品に加え、第6回となる今回は地域の資源や課題により根ざした新作・イベントなど約180点が展開される。

真夏の夜の夢/原倫太郎+原游 、平石博一(2015)

真夏の夜の夢/原倫太郎+原游 、平石博一(2015)

「大地の芸術祭」は約760km²の広大な里山を10のエリアに分けて展示。全作品を回ろうとすると1~2日では到底足りない(1週間前後が目安といわれている)。 今回は下記の5エリアに絞って新作を中心に紹介したい。

キナーレ・十日町市街地周辺エリア
うぶすな・下条飛渡エリア
絵本と木の実・十日町南エリア
農舞台・松代中央エリア
・アジア芸術村・津南エリア

アジア芸術村・津南エリア

大地の芸術祭津南総合案内所を起点に、巨大な砂防ダム、拡大するアジア芸術村、新たに登場した演劇の拠点となる越後妻有「上郷クローブ座」など、バラエティに富むエリア。

土石流のモニュメント/磯辺行久(2015)

土石流のモニュメント/磯辺行久

土石流のモニュメント/磯辺行久

長野県北部地震で起きた土石流跡につくられた、辰ノ口のセル式砂防ダム。鋼製の円柱の中には流された土砂が詰められている。高さ3mの黄色いポール約230本を設置し、土石流の痕跡を表現。この土地と自然の闘いを表す土木の「記念碑」的な作品。

真夏の夜の夢/原倫太郎+原游 、平石博一(2015)

かつて旅館だった建物を使って様々な作品を展示。18世紀にヨーロッパで流行したファンタスマゴリアと、江戸期に夏の夜の娯楽だった走馬灯という技法で動く影による幻想的な空間を演出する。

真夏の夜の夢(ファンタスマゴリア)

真夏の夜の夢(ファンタスマゴリア)

真夏の夜の夢(ファンタスマゴリア)

真夏の夜の夢(ファンタスマゴリア)

いくつものモビールに光を投影し、さまざまなモチーチや人々の生活が走馬灯で表現。かつて宴会場であったと思われる広いスペースに展示されている。

真夏の夜の夢(真夏の雪玉)

真夏の夜の夢(真夏の雪玉)

釣り糸のようなものに廊下に張り巡らされ、滑らかに、そして静かに白い球が行き来する。

真夏の夜の夢(猫が見ている)

真夏の夜の夢(猫が見ている)

和室の壁一面に巨大な猫の顔。瞳の部分は鏡になっていて、目線に合わせた座布団に座ると、猫の瞳に自分の姿が映る。

Light book – 北越雪譜/松尾高弘(2015)

Light book – 北越雪譜/松尾高弘

Light book – 北越雪譜/松尾高弘

豪雪地の生活や雪の怖さを伝える 、江戸時代のベストセラー鈴木牧之による「北越雪譜」。同書から越後妻有にまつわる文章とさし絵を抜粋し、本から図柄が浮かび上がる仕掛けのメディアアート作品。

▼ほかのエリアのフォトレポート
キナーレ・十日町市街地周辺エリア
うぶすな・下条飛渡エリア
絵本と木の実・十日町南エリア
農舞台・松代中央エリア

「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」
会場:越後妻有地域(新潟県十日町市・津南町)760k㎡
会期:2015年7月26日(日)~9月13日(日)
http://www.echigo-tsumari.jp/