世界のトレンドを知り、最速でビジネスにつなげる「アンビエンテ 2025」開催レポート(2)

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世界のトレンドを知り、最速でビジネスにつなげる「アンビエンテ 2025」開催レポート(2)

■光井花

テキスタイルデザイナーの光井花さんは、若手デザイナーを支援する「Talents」ブースにて出展。2024年6月に東京で開催された見本市のインテリアライフスタイルで「YOUNG DESIGNER AWARD」を受賞し、その副賞として今回招待された。

日本各地に受け継がれてきたテキスタイルを再解釈し、現代のライフスタイルに合わせて再提案する製品のデザイン、開発をおこなう光井さん。会場では、新作の久留米絣(くるめがすり)の技法を駆使して製織された生地やバッグ、い草のラグ、「YOUNG DESIGNER AWARD」を受賞した錯覚の久留米絣シリーズなどを展示した。

「アンビエンテは規模感がとても大きく、日本の数十倍ものスケールで展示会がおこなわれていました。会場が1カ所に集約されているので何日もかけてじっくりとみてくださる来場者も多く、じっくり話ができ、ビジネスへ繋がりやすい雰囲気を感じました」と話す、光井さん。設営についても以下のようにコメントしてくれた。

「アンビエンテのtalentsは招待出展の方も多く、運営の方々が細心の注意を払ってさまざまな什器、備品を準備されていることに感激しました。搬入の朝に担当者の方々がご挨拶に訪れ、自己紹介や会期の説明などをしてくださいました。

会場内の床に敷かれている絨毯のシワにまで注意を払ってくださり、少しでもシワが寄っていたらすぐに直していたのが印象に残っています。海外展示会は2度目だったのですが、このようにすべてがきちんとオーガナイズされている展示会ははじめてだったので、とても展示がしやすく、準備に集中することができました」。

■BAR JAPAN STYLE/メッセフランクフルトジャパン株式会社

日本独自のデザインやものづくりを発信する出展プロジェクト「JAPAN STYLE」を運営する、メッセフランクフルト ジャパンもブースを出展。家具ブランド「Time & Style」がデザインしたブースでは、日本酒と日本茶をふるまっており、来場者、出展者ともに憩いの体験型スペースにもなっていた。

また、同社はアンビエンテの主催者であるメッセフランクフルトの日本窓口であることもあり、ブースには会期中、日本の出展者や今後アンビエンテの出展を検討されている視察を目的とした来場者も多く立ち寄られ、ミーティングポイントとしても機能しており、日本からの参加者にとって安心感があった。

同プロジェクトを担当するアンビエンテ セールスマネジャーの川津陽子さんは、「今回で15回目のアンビエンテ出展となるJAPAN STYLEでしたが、初日から各出展者のブースでは活発な商談やネットワーキングが見られました。

弊社ブースにも連日、ドイツのみならずさまざまな国・地域からのバイヤー、メディアの方々にお立ち寄りいただきましたが、以前より来日歴のある方々が多く、改めてインバウンド需要の増加や日本独自のものづくりやデザインへの関心度の高さを改めて実感しました」と、コメントした。

■NORI NORI PROJECT/株式会社 乗富鉄工所

1948年に福岡で創業した、鉄工所からはじまった「NORI NORI PROJECT」は、日常を楽しくするプロダクトを提供することを目指している。製作を担当するのは町工場の職人たちで、彼らは鉄でできるものなら何でもつくる「メタルクリエイター」と呼ばれ、その技術力と創意工夫がプロジェクトの核心になっている。

ステンレスメッシュを使っていることで、炎を遮らず、薪の香りや直火の香ばしさを楽しめる。「JAPAN STYLE」企画ブースでの出展となった

会場では、キャンプ好きの社員が考えたステンレスメッシュを使った焚火台や、アップダウングリル、メッシュ式フライパンなどが展示された。今回の出展の感想についてCEOの乗冨賢蔵さんは以下のように話す。

「アンビエンテは昨年に続き2度目の出店でしたが、昨年以上に多くのバイヤーの方に興味を持っていただくことができました。欧州中心にさまざまな国の方からデザインや機能性に高い評価をいただき、自信になりました」。

■tsuboe

新潟県燕市で明治40年に創業した金属加工メーカー「tsuboe」。江戸時代から伝わる伝統技法「本目立て」を専用の機械で再現し、117年にわたり磨き続けた技術を活かして高品質な製品を製造し、国内外で販売している。

展示では、1枚の紙をめくったような形状が特徴の「irogamiブランド」の、おろし金や箸、箸置きが並んだ。華やかな彩りとやさしい光沢が来場者の目を留めていた。

「irogami ひとひらのおろし金」のパッケージが「WorldStar Packaging Awards 2025」を受賞

燕三条地場産業振興センターのブースとして、12社で共同出展していた今回。代表取締役社長の笠原伸司さんは3回目の出展について、「いろいろな国の人が来場するので、多くの国に対するマーケティングができるのがアンビエンテのいいところだと思います。海外の方と日本の方で人気の色が違い、日本の方からはモノトーンが好まれ、海外の方からはビビッドな色が好まれるという意見も得られました。

北米やヨーロッパ市場を意識して開発したirogamiですが、韓国などアジア圏のバイヤーのみなさまにも高評価をいただき、嬉しい誤算となりました。世界のバイヤーの方と直接お話しできる、アンビエンテならではの発見です」。

■like it/ライクイット株式会社

ブランド名にもあるように「like it=これが好き」をキャッチコピーに生まれた生活用品ブランド。1932年に樹脂を使ったものづくりからはじまり、樹脂の加工性や軽さに着目してデザインを取り入れた生活用品を製造。使う人や使う場所に配慮し、長く使えるデザインにこだわった製品を、日本だけでなく北米や欧州、アジアの国々で展開している。

出展は22回目だというlike it。代表取締役社長の吉川和希さんは今回の出展に対して、以下のようにコメントした。

「毎年、新製品発表をアンビエンテでおこなっており、今年も世界中のバイヤーから反響を得ることができました。特にリサイクル材を使った日本製の高機能製品への注目度が高く、世界の市場ではグローバルイシューへ適応した製品が求められているのだと再認識しました。また例年より新製品を出している企業が多く、市場に新しい変化が起こりそうな予兆を感じる展示会でした」。

最新のアート用品が並ぶ見本市「クリエイティブワールド」

クリエイティブワールドは、ホビーやクラフト、アート用品がそろう国際専門見本市。出展者によるワークショップやトレンドプレゼンテーションも充実していることが特徴で、新製品にふれて体験できるビジネスプラットフォームとなっている。

■月光荘

2025年で創業108年を迎える、銀座の老舗の画材店「月光荘」が初出展。美術系の大学や専門学校、クリエイティブ界隈にファンが多く、日本では月光荘のトレードマークであるホルンのマークがついたバッグを持っている方も多く見かける。

見本市自体が初出展だという月光荘は今回、新たに開発した新商品「GUNOE(グノエ)」を中心に紹介していた。「GUNOE」は、水彩絵の具をスティックタイプにしたもので、旅先やちょっとした出先などで気軽に水彩画を楽しめる商品だ。

パレットは取り外し自由になっているのもポイント

月光荘・主人の日比康造さんに話をうかがうと、「クリエイティブワールドは本当に画材が好きな人や、しっかり商談に来てる人も多く、ビジネスに直結しやすいなと感じています。『GUNOE』は試作品の段階ではありますが、まだ絵を描いてない人たちにいきなり本格的に絵の具を使ってもらうというのはハードルが高いので、まず持ち歩いてるだけでも様になるプロダクトをと思い、開発しました。

驚くべきはいくつかの国のディストリビューターは、月光荘の存在だけでなく、月のはなれや工場喫茶のファルベの様子をオンラインでずっと追いかけてくださっていて、月光荘グループの取り組みをびっくりするくらい良く知っていたこと。世界中からアクセスできるインターネット時代のすごさを、改めて実感した次第です。

総じて月光荘の哲学やデザイン性に大きな価値を感じてくれていて、私たちがお客さまと共に日本の地で100年以上に渡って培ってきた美意識が、世界でも求められていることを肌で感じることのできた貴重な機会となりました」。

華やかな装飾品が集結する見本市「クリスマスワールド」

クリスマスマーケットで有名なドイツでおこなうにふさわしい「クリスマスワールド」は、クリスマスを中心に季節のイベントや結婚式、誕生日などのお祝いに欠かせない装飾と、フローリスト用品が集まる見本市。

同時に開催された3見本市のなかで最もブースの造作が豪華絢爛で、クリスマスなどのイベントに対する高揚感をあらわすような出展者が多かった。「DECORATION UNLIMITED PRECIOUS MOMENTS」と題された展示では、クリスマスワールドに出展した企業の商品がひとつのブースに並び、トレンドが一目でわかるようになっていた。

以上、3つの見本市を簡単にレポートしたが、取材をおこなった中で主催者の細やかな気遣いを感じたポイントを補足的に紹介する。

まず、広大な会場の取材となると歩きすぎで足裏が痛くなることがあるが、通路の床ほとんどにじゅうたんが敷かれていたため、合計3万歩以上歩いても足は痛くならず、ありがたいと感じた。そしてホールごとに複数のカフェが設置されているため、休憩場所やミーティングスペースとして使えるのもうれしいポイント。また、会場はかなり暖かい室温になっているが、各所にクロークがあるためコートを預けられる点もありがたかった。

今回取材をおこなった中で多くの出展者が話していたのは、ほかの国際見本市と比較してもグローバルな来場者が多く、さまざまな国の方にたくさんの意見をもらえ、マーケティングにつながること。そして商談をベースに訪れる方が多いため、すぐビジネスに直結するということ。

次回は2026年の2月に予定されているアンビエンテ。トレンドの発信地、ビジネスが生まれる場所として次回開催も期待したい。

■アンビエンテ 公式サイト
https://www.jp.messefrankfurt.com/tokyo/ja/events/consumer-goods-outgoing/Ambiente.html
■メッセフランクフルト ジャパン株式会社 海外見本市チーム
Tel:03-3262-8444  Email:info@overseas-fairs.com