日本の強み、それは独自の文化、工芸、デザイン感覚
消費財と呼ばれる、私たちが生活の中で購入する様々な商品。その最新デザインが集まる世界最大級の国際消費財見本市がAmbiente(以下、アンビエンテ)だ。キッチンやテーブルウェアの「Dining」、ギフトやファッション・ジュエリーの「Giving」、インテリア関連の「Living」と大きく3つのエリアで構成され、その展示面積は東京ビッグサイト全て(東・西・南館)の約3倍という巨大さ。2019年は、2月8日から12日までドイツ・フランクフルト市で開催された。
その規模は92か国・地域から4451の出展があり、来場者は166カ国・地域から13万6千人、昨年より微増した。来場者上位はドイツ、イタリア、中国、フランスと例年と変わらず、昨年に続き韓国が10位にランクインしている。増加が目立つのはブラジルなどの南アメリカ諸国、アジアではタイ、インドなど。
日本はといえば、品質の良い商品の供給者としての認知が定着している。主催者によるテーマ展示「trends」には今年も数多くの日本ブランドが選ばれていた。
今回、「Living」と「Giving」エリアを対象とした報道関係者向けに見所を紹介するツアーに2回参加したのだが、その訪問先の約半分は日本のブースだった。ツアーを率いたのはHansjerg Maier-Aichen教授、1983年にデザインブランドAUTHENTICSを創立したデザイナーでもあり、数多くのデザイン賞を受賞している。教授は独自の文化を保ちながら西洋化した日本に、しかも工芸が残っていることに大きな期待を寄せている。
教授がブースを訪れて、日本の工芸や工芸的な製造方法、デザイナーとのコラボレーション等について言及するたびに、同行する30名ほどのジャーナリストの口から「Japan」「Japanese」とつぶやきが漏れカメラのシャッターが切られる。教授の説明を聞き彼ら彼女らの反応を見て、日本の可能性を改めて認識するとともに、海外からの大きな期待を感じることができた。
報道関係者ツアーで注目されたブースより
miyama
ツアーで「日本の繊細な技術と外部デザイン活用の好例」と紹介された『miyama』の取っ手が付いたお皿『TOTTE-PLATE』。デザインはnendo。写真左がHansjerg Maier-Aichen教授。
伝統的工芸品産業振興協会DENSAN
今年も「trends」に5社11点が選出されツアー訪問先にもなった『DENSAN』、日本の工芸の存在感は増加している印象だ。選出の一つ山形鋳物の鉄瓶・紋コレクション『瓢』は、『鋳心ノ工房』の増田尚紀さんによるもの。
Japan Style
日本の高感度ブランドが集まるエリア『Japan Style』。ツアーでも「必見の場所」と紹介されていた。そこからテーブルウェアの3ブランドを紹介する。
「trends」に選出されたブースより
ceramic japan
温度で色が変わるインクを使用した水差しとカップ『Ukiiro』、冷水を入れると柄の色が濃い青に変化する。 デザインは福定良佑さん。
hibi
マッチのように擦って着火するお香、アンビエンテ初出展ながら「trends」に選出された。神戸マッチとお香製造の大発の共同事業で、プロデュースは神戸のTRUNK DESIGN。
h concept
アンビエンテ、そして「trends」の常連。今年は珪藻土の『soil』と宇野公二さんデザインの『Tape+Tape』が選出されていた。
NECKTIE design office
「talents」でアンビエンテ初参加、しかも展示した4商品全てが「trends」に選出された。日本でも大人気の『ティーバッグホルダー・シロクマ』は、こちらでも大注目。
以上、広大なアンビエンテ会場から、一部ではあるが日本ブランドを紹介した。
日本ブランドを世界にプレゼンテーションする大舞台であるアンビエンテ。改装中であったホール6が再オープンし、来年はさらに巨大になる。また、これまで8カ国続いたパートナー・カントリーが今年で終了し“新たに期待されるデザインについてのプログラム”が始まることがアナウンスされている。
来場者の期待、舞台の進歩に応え続けられるような日本ブランドの活躍が、これからも楽しみだ。
山崎 泰(JDN)