■背景・コンセプト

岩澤硝子は、大正6年に東京で創業したガラスメーカーです。戦中には一時中断しましたが、戦後に現在の墨田区で再創業を開始。延べ100年以上にわたり、ガラス制作を続けてきました。

工場がある墨田区の地域ブランド「すみだモダン」の商品開発プロジェクトをきっかけに、デザイナーの大友学さんと出会い、さまざまなガラスのバリエーションを展開できる独自の製造力を背景に、「気取らない普段使いの硝子」というコンセプトのもとFUTATSUKIは誕生しました。

FUTATSUKIは“蓋”を備えることで、ただの器としてだけでなく、簡易的な保存容器としても使える拡張性を持つ食器です。通常の飲料はもちろん、お蕎麦の猪口やヨーグルトカップなど、多彩な使い方ができ、蓋は豆皿やソーサーとしても活躍します。

飽きのこないシンプルな形、シーンに応じて自在に使える機能性、好みに合わせて選べるバリエーションが組み合わさり、使う楽しさがあるガラス器です。

■特徴

本シリーズの特徴は、多様なバリエーションと成形方法にあります。このシリーズのために、ミント、スモーク、インディゴ、アイボリーの4種類のガラス生地を新たに調合して制作しました。いずれも落ち着いたトーンで日常の暮らしになじみ、普段使いしやすい色合いとなっています。

さらに、その生地を二層に重ね合わせたもの、ガラスチップを加えたもの、くもりガラスに仕上げたものなど、多様なバリエーションを展開し、食卓や日常のシーンのなかで選ぶ楽しさ、使う楽しさが生まれることを目指しています。

また、本シリーズはハンドメイドによる金型製法で制作されています。金型を用いることで基本的な形状は安定的に量産できますが、ガラスチップの散り方や2色のガラス層の重なり方、蓋の縁の広がり、徳利の注ぎ口の仕上がりなど、職人の手とガラスの“成り行きまかせ”が交わることで、その偶然性が一つひとつに個性を生み出しています。

同じ金型からの量産品でありながら、すべてが一点もののような存在感を持つガラス器になっています。

■岩澤硝子株式会社のコメント

今回の製品開発では、デザイナーの大友さんに岩澤硝子が長年培ってきた技術や、ハンドメイドならではの偶然性といった特性を深く理解していただき、それを活かしたデザインに仕上げてもらえました。その結果、長く愛用していただけるガラス器が完成したと感じています。

一見シンプルな器ですが、多彩なバリエーションが揃っているため、ぜひ複数をコレクションして日常で使い分け、ハンドメイドならではの表情や微妙な違いを楽しんでいただければ嬉しいです。