断面の美しさを求めたオリジナル合板を開発し、独自の表情をもつ家具を生み出してきたブランド「フランジプライウッド」。
2025年6月に発表された「MARU」と「TOME」は、合板という素材そのものの美しさを見せることを前提に設計されたテーブルとスツールです。本記事では、そのコンセプトや特徴などをデザイナーであり職人の上田剛央さんにうかがいました。
■背景・コンセプト
これまで数多くの家具をオリジナル合板でつくり、素材の可能性を探りながら、用途や使い勝手に合わせた構成と加工方法を選んできました。本シリーズでは改めて「合板」そのものに焦点をあて、削ぎ落とすのでも、飾り立てるのでもなく、素材の質感や断面、厚みをそのまま見せることを前提に設計しました。

「MARU」と「TOME」は、板材のみの最小限の要素だけで組み上げた、ミニマルなテーブルとスツールのシリーズ。オリジナルの合板には、ラワンベニヤやOSB、ランバーといった構造材として広く流通している汎用素材を用いています。一般的な素材を意図的に積層することで、結果として既存のカテゴリーには収まらない、独自性を備えた新たなマテリアルが生まれました。

■「MARU」の特徴
正円と長方形。ごく基本的な形状のみで構成されたテーブルとスツールです。接合部を見せない設計により、形の純度と素材の質感を際立たせています。脚を天板から少し出すことで安定性が増し、合板の断面をより強調しました。


表面材にはシナで統一したタイプのほかに、バッカーやメラミンといった工業的な素材を使用したバリエーションも展開しており、用途や空間に応じた選択が可能です。
■「TOME」の特徴
家具づくりでよく使われる「トメ組み」に焦点をあてたテーブルとスツールです。45度で突き合わされた接合が、オリジナル合板の層のラインを際立たせています。4枚の板材のみで構成されており、そのほかの組み方にも合板ならではの面白い表情がみられ、構造そのものがデザインとなっています。

スツールは置き方を変えることで、ローテーブルとしても使用可能。また表と裏で色の異なる面により、見る角度によって印象が変わります。
■デザイナー/職人の上田さんのコメント
ブランド立ち上げ当初からオリジナル合板で家具をつくり、来年で20年の節目を迎えます。この機会に私たちは原点に立ち返り、自分たちにしか生み出せない合板とは何かを改めて問い直しました。本シリーズでは板厚を増すことで、素材としての存在感を追求しました。
ブランド:フランジプライウッド
フランジプライウッドの家具はオリジナル合板をつくり出すところからはじまりました。反りや歪みが少ないといった特性を持つ反面、デザイン性は軽視されてきた「合板」に着目し、断面の美しさを求めたオリジナル合板を開発。
ウォールナットやチーク、オークといった樹種から、下地材として使われる素材まで積層することで、独自の表情をつくり出しています。基本的に木に着色せず、樹種が持つ自然な色合いを活かして作られるオリジナル合板が断面から見せるユニークな表情が、シンプルな家具に個性を与えます。
MARU
サイズ | MARU TABLE:Φ800×H720mm/MARU STOOL:Φ330×H440mm |
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バリエーション | シナ/バッカー×メラミン |
素材 | original plywood |
価格(税抜) | MARU TABLE:200,000円/MARU STOOL:60,000円 |
TOME
サイズ | TOME TABLE:W1000×D600×H720mm/TOME STOOL:W330×D330×H440mm |
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バリエーション | シナ/バッカー×メラミン |
素材 | original plywood |
価格(税抜) | TOME TABLE:220,000円/TOME STOOL:70,000円 |