味わいたい

心を動かす色使いや味、デザインで私たちを魅了するお菓子

OYAOYA

規格外の野菜と農家を助ける、乾燥野菜ブランド

カラフルな色合いと素朴な野菜のイラストが目を引く、乾燥野菜ブランド「OYAOYA」のパッケージ。見た目からも美味しさが伝わってくるデザインは、それまでの乾燥野菜のイメージを変え、若い世代にも届くようつくられました。

パッケージのほか、原料に規格外の野菜を使っていることもOYAOYAの特徴。それらを規格品と同様に商品化・販売するには製造過程でのハードルがあります。見た目だけでなく、そうした課題も解決するデザインの工夫について、アートディレクションやパッケージデザインを担当したポーラーデザインの畔柳尭史さんにコメントをいただきました。

■背景・コンセプト

曲がってしまったキュウリやひび割れてしまったニンジンなど、「規格外」として一般の店舗に並ばない野菜があります。それらは味や栄養価において規格品と同等であるにも関わらず、廃棄または格安で加工されています。

OYAOYAは、規格外を含む野菜を農家から適正な価格で買い取り、乾燥野菜として販売します。デザインの命題は、乾燥野菜のおいしさを消費者へ伝えること。特に、これまで乾燥野菜を手に取らなかった若い世代にその価値を伝えて買ってもらうこと、百貨店の催事やセレクトショップでの販売など新たな販売チャネルを開拓することを目指しました。

その達成には、実物の見た目では伝わりにくい乾燥野菜の価値をビジュアライズすることが課題となりました。通常、生野菜はほとんど包装が施されず、消費者は見た目で味や鮮度を判別して購入します。一方で乾燥野菜は水分が抜けて縮み、色は濃くなり、くすんでいます。乾燥させることでうまみが増し、保存しやすくなっていますが、見た目からその価値を感じるのが難しいのです。

「OYAOYA」商品画像

そこで、覚えやすいキャッチーなネーミングをはじめ、乾燥野菜の価値を一目見て感じられるよう、乾燥野菜の多彩な形や色をモチーフにした版画風のビジュアルをキーに、パッケージデザインと販売プロモーションを計画しました。パッケージのラベルは、陳列時の群としての魅力と、個々の乾燥野菜の味を彷彿とさせるマッチングを両立させたことがポイントです。

「OYAOYA」商品画像

■特徴

気候や収穫状況によって余剰となる野菜が異なることを踏まえ、超小ロットでも商品として販売できるよう、パッケージは兼用のチャックシール袋と紙のカラーラベル、および野菜ごとの表示シールで構成しています。

表示シールはラベルの固定も兼ねており、容易に組み立てることができます。カバーラベルに施されたメインビジュアルは、乾燥野菜の形をデフォルメした図を配置し、その不揃いな様子を強調するようズレやかすれの生じるリソグラフを用いて印刷しています。また、商品ごとに多様な色柄が現れるよう印刷色と割付を工夫し、A3サイズ弱ほどの一枚の版から6タイプのラベルが生まれる仕組みです。

「OYAOYA」商品画像

■クリエイティブディレクター・畔柳尭史さんのコメント

OYAOYA のネーミング、アートディレクション、ロゴデザイン、パッケージデザイン、ポスターデザイン、商品コピーディレクション、SNS・パンフレット用写真撮影をおこないました。商品の発売以降、多くの反響をいただいており、「キャンプでの料理にぴったり」「少量ずつ使えるので一人分の自炊に便利」など、特に若い世代の方に届けられたことをうれしく思っています。

このブランドが成長することは、京都の農家さんの収益になることはもちろん、日本の食料自給率向上や環境保護にも良い影響があるはずで、デザインの意義を感じます。今後も、家庭での日常料理に使える大袋タイプや特別な日のギフトタイプなど、さらに多様なシーンへOYAOYAを展開したいと考えます。

ブランド:OYAOYA

京都府北部で収穫された野菜、特にこれまで廃棄または格安で加工されていた規格外野菜を中心に農家さんから適正な価格で買い取り、魅力的な乾燥野菜としてパッケージすることで食品ロスと地域農業存続の課題に向き合うブランドです。いろんなものに「お」をつけて呼ぶ京都らしさをエッセンスに、「八百屋」と「お野菜」からOYAOYAと名付けました。ブランドロゴは、畝(うね)で芽吹く野菜の種子を表現しています。

内容 ドライトマト、乾燥玉ねぎ、乾燥きゅうり、乾燥京くれない、乾燥伏見唐辛子、乾燥かぼちゃ、乾燥にんじん ほか