Fulcrum

建築板金の技術をプロダクトへ展開した家具シリーズ

山口県柳井市で建築板金加工を行う有限会社森元による、板金加工の技術をプロダクトに落とし込んだ家具ブランド「Fulcrum(フルクラム)」。

家具デザイナーの池内宏行さんと共同し、生まれた家具コレクションの特徴などについて、有限会社森元の森元太輝陽さんにコメントをいただきました。

■背景・コンセプト

「Fulcrum」は、建築板金の主となる加工「折り」に焦点を当てたプロダクトを展開しているブランドです。長年培ってきた建築板金の技術にデザインの思考を取り入れることで、同じ素材、加工方法でありながら従来の板金のイメージとは違った印象を与えるプロダクトを制作しています。

「Fulcrum」は、直訳すると「支点、支柱」という意味を持っています。ブランド名には、板金加工を要とした商品を展開していき、ブランドを私たちの支点となるよう育てていくといった意味を込めました。私たちは技術にデザインの思考を加えることで、製造業における新たな可能性を見出すことを目指しています。

■Hi.series

ブランドのファーストコレクションである「Hi.series」は、stool、hi-stool、benchの3つを展開。折り加工を施した鋼板を座面の一部としており、座面上部に通る一本の金属ラインが、大きく面の落ちた木座面との調和を図り、コンセプトを表現する重要な構造になっています。また、鋼板は板金加工を施すことでより強度を持ち、家具としてさらにシンプルな構造を実現しました。

こうして生まれた「Hi.series」は、金属パーツと木部をボルトで固定することで組み立てが可能なノックダウン式を採用しています。

■Baguette shelf

ダイヤモンドなどの宝石に施される加工の名を冠した「Baguette shelf」は、直線基調で構成されたシェルフです。板金加工を施し、斜めに折り曲げられた天板は十分な強度を持ち、特徴的でありながら主張しすぎないシンプルなシルエットで置くものの魅力を引き立てます。

Baguette shelf

建築板金の技術・素材の特徴を最大限に使って生まれたシェルフは、天板の四方を2回折り曲げ、隅木(天板の下地となって支えるための斜材)を用いて脚と固定しています。薄い鉄板を使い、最小限のパーツで構成されたシェルフは簡素化されたミニマムな構造で簡単に組立てが可能です。

隅木

また、ジョイントパーツを用いることで連結が可能で、空間や使用シーンに合わせて棚数をカスタムすることもできます。鉄の持つ魅力を引き出した天板には美しい陰影が生まれ、シャープで軽やかな造形が印象的です。

 

なお、「Hi.series」「Baguette shelf」とも、使用している金属パーツと木部パーツはすべて自社生産のため、住宅や店舗・ホテルなどさまざまなシーンやコンセプトに合わせ、カラーや樹種・サイズの変更などコントラクト事業への対応も可能です。

■デザイナー・池内宏行さんのコメント

建築板金の「切る」「折る」といったローテクをいかに家具に落とし込むか。角が立った状態の鉄板をどのように収めるかが重要となり、細部から構築していきました。細部から組み立てることで、「Hi.series」「baguette shelf」は展開性に富んだデザインとなりました。

■有限会社森元・森元太輝陽さんのコメント

本来、技術は美しさを伴っているものだと考えており、「Fulcrum」はその美しさをプロダクトを通して伝えることに挑戦しています。今回のコレクションはデザイナーの意図とつくり手の技術、プライドがうまく合わさり、まさに“美しい”モノをつくることができたと思っています。

「Hi.series」は、熟考した座面の傾斜が心地の良い座り心地を実現し、独自に調色した銅色がアクセントとなり、凛とした佇まいで空間に彩りを与えてくれます。屋内外問わずさまざまな空間にマッチするだろうと自負しています。今後も板金屋のつくるプロダクトの魅力を発信していきたいと思います。

stool

サイズ w380×d240×h440mm
素材 オーク、スチール
価格(税込) 36,000円

hi-stool

サイズ w380×d250×h710mm
素材 オーク、スチール
価格(税込) 42,000円

bench

サイズ w950×d290×h440mm
素材 オーク、スチール
価格(税込) 54,000円

Baguette shelf

サイズ 棚数3:w674×d373×h770mm、棚数6:w1304×d373×h770mm
素材 オーク、スチール
価格(税込) 棚数3:34,000円、棚数6:64,000円 ※棚数3追加ごとに+30,000円