変わり続ける企業だからこそ、想像できない挑戦が待っている
――コミュニケーションデザイン領域を内製化する意義についてどのように考えていますか?
田渕:クリエイティブを外部パートナーに委託すると、そのパートナー会社の強みに偏った施策になるものです。例えば、映像を強みにもつ制作会社であれば当然動画がメインコンテンツの施策が主軸になります。しかし、目的を達成するための手段は何通りもあるわけで、その場その場で取捨選択をしながら最適なアウトプットを導き出すことが求められます。フラットな目線で必要な施策を選択するためにも、プロジェクトが社内で完結していることによるメリットは多いと思います。
清水:そもそもコミュニケーションデザインやブランディングって理解されづらい領域だと思っています。抽象的で、定量化しづらく、絶対の正解もないので。外から一定決まった範囲・プロセスで関わる方がはるかにやりやすい。ただ、本質的に企業や事業を成長させようと思うと、しっかり中に入り込んで、地道に知見とアウトプットを積み上げながら、変化のさざ波を立てられる人材が必要不可欠です。ちなみに最初は気づかれないぐらいの「さざ波」にするのが肝ですね(笑)。
「あれ?こんな所に波あったっけ?でも何か気持ちよさそうだし、ちょっと中に入ってみようかな」そんな風にまずは自然とまわりを巻き込める空気感をデザインすることが一番効果が高いと思います。
――Visionalでコミュニケーションデザインやブランドづくりをおこなう魅力について教えてください。
田渕:良い意味で変わり続けている組織だからこそ、味わえるやりがいがあることでしょうか。Visionalにはブランディングもマーケティングも発展途上の事業が数多くあります。だからこそ、新しいコミュニケーションを生み出せる余白が広がっている。それこそがVisionalで働く醍醐味だと思います。いろいろな事業のさまざまな場面で、過去にない切り口の施策を提案する機会に恵まれていて、日々ブランドづくりの面白さを実感しながら働いています。
それに、デザインと一口に言ってもビジュアルデザインだけではありません。デザインには、今回のテーマのコミュニケーション領域や、戦略や構造やプロセスなど、形のない課題を解決していくことも含まれています。だからこそ自己紹介をするとき、どんなデザインをしているのかを説明することにいつも悩んでしまいます(笑)。ただ、そういった目に見えない解をつくることに向き合うこともやりがいであり、難しさだと思っています。
清水:業務上、経営メンバーや事業責任者と会話する機会も多いのですが、その中でVisionalの人や事業が持つ強いエネルギーのようなものを感じます。そのエネルギーをどうやって最適化・最大化できるか、それこそがクリエイティブディレクターの腕の見せ所です。まだ言語化されていない想いや、表現できていない可能性を一つひとつ紐解きながら、人や事業が本来持っているエネルギーをできる限り遠くへ、長く、輝かすことが自身のミッションだと思っています。
三井:会社としての可能性の大きさももちろん、デザイナーのスキルアップという視点でもコミュニケーションデザイン部は魅力的な環境です。クリエイティブには論理的なものと情緒的なものの2種類あると考えていて、ことブランドづくりにおいては、この二つの両立が求められます。成果を出し続けるためには論理的な戦略性が必要になりますが、最終的に人の心を動かすためには非合理的な情緒の要素も重要です。
Visionalはその両面を重要視しているため、相反する二つのスキルを培うことができます。この難易度の高いチャレンジに取り組みたい方には、もってこいの環境だと思いますね。
コミュニケーションデザインの力で、世の中を前進させる組織へ
――最後に、個人または組織としての今後の展望を教えてください。
三井:「コミュニケーションデザインといえばVisional」というイメージを世の中のみなさんに持っていただくことが目標です。これまで私たちがやってきた定量評価を元にしたデザインプロセスは、さまざまなコミュニケーションに応用できると考えています。社内活動にとどまらず、世の中の組織や人の課題をコミュニケーションデザインの力で解決していく。そうしてデザインの定義を大きくしていくことで、自分たちの可能性はもっと広がると信じています。そのために、今後も事業への貢献とデザイン品質の両方を担保できるクリエイティブを追求し続けたいと思います。
田渕:誰が見てもサービスの人格が伝わる。そんなブランドを生み出すことが僕の目標です。「HRMOS」のコミュニケーションデザインを担当するようになり、ブランドの人格づくりから試行錯誤を重ねていますが、言語化できた人格を伝わる形で表現し、さらに効果を生むことは容易ではありません。時間はかかるかもしれませんが、サービスの人格やブランドのもつ世界観をしっかり伝えられるように、この先もデザインの可能性を探っていきたいです。
清水:好奇心と想像力を忘れず、困難があっても前向きに、やるからには価値あることを楽しく!ブランドづくりも自分自身も、日々やるべきことを愚直にやり続ける大切さを改めて感じています。あるべき論に縛られず、複雑なことをシンプルに、シンプルなことを魅力的に。その積み重ねがブランドになっていくと思うので、一つひとつ丁寧かつ大胆に向き合っていきたいです。
■Visional
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文:濱田あゆみ(ランニングホームラン) 撮影:中川良輔 取材・編集:石田織座(JDN)
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