あけましておめでとうございます!JDN編集部より新年のご挨拶

あけましておめでとうございます!JDN編集部より新年のご挨拶

あけましておめでとうございます!本年も「JDN」をよろしくお願いします!

いつも「JDN」をご覧いただき、まことにありがとうございます。今年は「つくる・使う・考える人のデザイン情報サイト」として1月10日にリニューアルし、昨年以上に充実した情報を発信していけたらと考えています!

株式会社JDNの2017年の年賀状は、少し風代わりというか趣向をこらしたものをつくりました。せっかくなので、JDN読者のみなさまにも紹介させていただきたいと思います。

株式会社JDNの2017年の年賀状

株式会社JDNの2017年の年賀状

このデザインをご覧になって、すぐにピンときた方は察しはイイ!そうなんです、「迎春」の“迎”の文字が路線図になっているんです!なぜ、このようなデザインになったかというと、私たちJDNの所在地にその理由があります。

“東京都台東区上野5丁目3番4号”

はじめてお会いする方と名刺交換をした際、そこに刷られた住所を見て「上野に事務所があるんですね」と言われることが度々あります。それは事実なのですが、実は最寄り駅は東京メトロ銀座線の「末広町」駅で、その次に近いのがJR・東京メトロ日比谷線の「秋葉原」駅、続いてJR「御徒町」駅、都営大江戸線「上野御徒町」駅、東京メトロ千代田線の「湯島」駅……とさまざまな路線からアクセスが良い、そして上野駅からあまり近くないという立地にあります。私たちがどこから情報発信をしているか改めて知っていただけたら、そんな思いを込めました。

今年の年賀状をデザインしてくださったのは、グラフィックデザイナー目線で、鉄道のサインシステム・文字・デザインの情報を発信する、もじ鉄のための鉄道と文字のウェブマガジン「もじ急行」の石川祐基さん。「東京都台東区上野」という場所に少なからずアイデンティティを感じている、私たちの考えを汲んでくださるのにはぴったりな方だと思いました。

やや手前味噌な記事になりますが、この年賀状のデザインコンセプト、そして石川さんの「もじ急行」の活動についてもうかがいました。

年賀状のデザインコンセプト

石川祐基さん(以下、石川さん):まずはあまり見たことがないような年賀状がつくれたらいいなと思っていました。住所から最寄り駅を間違われやすいというお話をうかがっていたので、会社のインフォメーションをそのままデザインにしようと思いました。個人的に文字をいじってイラストに変えるのが好きなので、路線図というか地図を文字にしようと考えました。

石川祐基さん

石川祐基さん

「謹賀新年」とか「賀正」とか使えそうなキーワードをイメージしながら、グーグルマップを眺めていたら、東西に総武線、南北には山手線、銀座線、日比谷線が走っていて、ちょっと西に行くと千代田線、あの辺りの台東区や千代田区はちょうど碁盤の目のようになっているので、「あ、これ迎だ!迎に使える!」と思いました。英字の「Happy New Year」とかをいじった方が、デザインしやすいと思うんですけど、個人的には日本語をいじった方が好きというかおもしろいと感じます。

小さい頃から白地図が大好きで、それに自分で道路を書き足していったり、ごちゃごちゃしている街を自分で区画整理しちゃったりするのが趣味で、だいたいこの辺の道路はこういう風になっているとか頭に入っています。父親が電化製品好きで、小さい頃から週末の度に秋葉原に連れて行かれ、あの辺りに通いつめていたのでイメージもしやすかったです。

もじ鉄のための鉄道と文字のウェブマガジン「もじ急行」って?

石川:「もじ急行」は完全に趣味です(笑)。2016年の5月25日にスタートしたので、まだ半年ちょっとですね。僕は生まれが阿佐ヶ谷で、近くを丸ノ内線が走っていて、昔の真っ赤な丸ノ内線のデザインがすごく好きだったんです。そこから鉄道とデザインみたいなものに興味が移っていって、点字ブロックの置き方とか、それこそ吊革の形とか。

鉄道好きであり文字好きでもあるグラフィックデザイナーの石川祐基さんが、「鉄道と文字・サインシステム」の魅力について愛を込めて、時に専門的に、時にまったく関係のない話を挟みながら、ただひたすら研究をして行くウェブマガジン「もじ急行」

鉄道好きであり文字好きでもあるグラフィックデザイナーの石川祐基さんが、「鉄道と文字・サインシステム」の魅力について愛を込めて、時に専門的に、時にまったく関係のない話を挟みながら、ただひたすら研究をして行くウェブマガジン「もじ急行」

高校生の頃から、9年くらい駅員のアルバイトをしていたんですけど、お客さんのいない時間帯に駅に立っていると見るものがなくなってしまい、駅の看板とかをジーっと眺めていました。そうしたら、同じデザインなのに文字の形が若干違うこととかが気になりだして、そこから文字にも興味を持って、お金を貯めて「MORISAWA PASSPORT」(フォント製品)を買ったんです。まず、最初に新ゴという書体を打ってみて、「あー同じ文字だ!」って興奮して、そこから駅名標っていう駅の看板のデザインを再現して楽しんでたんですよ。昔からこういうことをやりたかったので、やっと念願叶ってという感じですね。

文字の使い方が好きな鉄道会社

石川:いちばん好きなのは京浜急行です。駅の入口の看板の書体がオリジナルでつくられたものなんですよ。ちょっと斜めになってるやつ。いま現代でオリジナルの書体を使っている駅名看板はほとんどないですね。ただ、新しいデザインに切り替わってきている段階なので、そうすると新ゴになっちゃってて、「あーもったいないなあ……」って思いますね(笑)。新ゴも好きですが。

あとは京阪電車ですね。文字もそうですけど、統一感。トータルのデザインとかを徹底しているので、こだわっているんだなと思います。いままではずっとバラバラだったんですけど、新しい路線ができたのをきっかけにCIから全部変えて統一したみたいですね。

自称・デザイン界で唯一、京急の社歌「人間が好きだから」を歌える男・石川さんが、ただひたすら京急に愛を捧げる濃密な特集「えきもじの見索」

自称・デザイン界で唯一、京急の社歌「人間が好きだから」を歌える男・石川さんが、ただひたすら京急に愛を捧げる濃密な特集「えきもじの見索」

文字の形自体への興味は、きっかけは看板ですけど、なんでここまで興味を持ったのかは、フワっとしててあんまりよくわからないんです(笑)。個人的にはシステム化された、サインシステムとしてのスタイルガイドとかちゃんとしているのが好きなので、この駅にしかないサイン・文字、というよりも全体の統一美を気にしてしまうタイプです。だからちょっとズレてると「直したい!」って思っちゃう(笑)。

「もじ急行」の今後

石川:完成するかわからないですけど、日本全国の各鉄道会社の駅名標をすべて写真に撮ってきて、フォント勢力図みたいなものをつくりたいですね。関西ではこんな書体がよく使われていて、関東だと別の書体がよく使われてみたいな……インフォグラフィクスで全部まとめたら見えてくるものがあるのかなって。誰のためにもならないんですけど、ただやりたいっていう(笑)。

もじ急行|もじ鉄のための鉄道と文字のウェブマガジン
http://mojikyu.com/