昨年の手応えを確信に変えて、いよいよ第2フェーズに突入
二本栁:このプロジェクトは、1年、2年で結果がわかるようなところを目指しているのではなく、自分たちのライフワークとして、もっと長いスパンで考えるべきだと思っていて。だから、「これから先の数十年に向けて何をすればいいのか?」を吟味する上でも、この1年はいちばん大切な時間だったと捉えています。
JBFを立ち上げたときから、この活動への思いは明確だったけれど、実を言うと「本当に必要かな?」と迷うこともありました。けれどもいまは、自信をもって「この取り組みは、やっぱり必要だ!」と言い切れるようになりましたね。
堀田:僕もそうですね。去年、ヒカリエで1回目のイベントをやって、その後も、デザインイベントを何回かやって……。そのときの空気感は今までにない高揚したものだったと思います。「JBFで何かをつかもう」という野心をもった方がたくさん集まってくれて、このコミュニティは素晴らしいなと痛感しました。
目指すのは、使い勝手の良いOSのようなプラットフォーム
堀田:この1年は、ふたりで走りながら、その方向性を模索して整理するための時期だったと思っています。そして、導き出した明確な答えは、JBFはジャパンブランドを推進するためのオープンプラットフォームだということ。
例えるなら、AppleのMac OSだったり、Windowsだったり。アプリ開発者が、JBFのOS上に「こういうアプリをつくって、こういうことをやってみたい」と言ったら、「こういう動きをするんだったら、それを利用して、こういうこともできるよね?」「じゃあ、このアプリを改良しよう」……と、自然発生的にアプリが使いやすくなって、種類も増えていく。そういうふうに、JBFというOSを上手く活用してもらって、ジャパンブランドの活動をどんどん広げてもらうのが僕たちの目指すべき姿なんじゃないかと考えています。
僕らJBFのOSをインストールしてもらえる場所が増えていけば、それだけ使える機会も増えていく――。そうすると、さらに便利なOSになっていくと思います。
2017年3月、未来に向けて動き出す。その先にある課題とは?
二本栁:僕はとにかく、3月に開催する「JAPAN BRAND FESTIVAL 2017」では、昨年のイベントが一過性のものじゃないことをきちんと伝えたいと思っています。トークセッションの内容もほぼ決まっているけれど、これから当日まで、打ち合わせの連続です(笑)。
同時に、JBFの活動のアーカイブスをしっかりと残していくのも、今後の大きな課題。「なくなったら切ない」と漠然と思ってきた気持ちを、形にしなければと考えています。
これからは確実に人口が減少して、超高齢社会がやってくるのは目に見えていますよね。そのときに、次の世代の人たちが何を選択するのかで、未来の日本の方向性は決まってきます。だからこそ、若い世代にバトンを渡せる土壌をつくっていきたいんです。20代の頃にはまったく考えなかったんですけどね……。
インターネット、携帯電話、スマートフォンが、なくても不自由がなかった時代と、あったから便利になった時代。その両方をいちばん多感な時期に過ごしたのは、僕らの世代なんですよね。
だから、前の世代と次の世代を、本質的にわかりながらきちんとつないでいくことができるのは、僕らぐらいしかいないんじゃないか。僕たちがちゃんと次の世代につながないと、ジャパンブランドの未来は途絶えてしまうんじゃないかって。使命感があるのかないのかよくわからないですけど(笑)。
よりディープなスピンオフイベントも、3方向で計画中
二本栁:タッチポイントを増やすことにもチャレンジします。年1回の大きなイベントのほかにも、3つの企画を並走させようかと考えています。
ひとつめが、コンセプトに共感して集まってきたメンバーたちのトークセッション。これは、参加した人たちが、もっとコアに、共通の興味をもつ人たちとのネットワークをつくることができるというプラットフォームになります。
ふたつめは、学びのほうにグッと視点を寄せたプラットフォーム。自分たちが、「この人から深く話を聞きたい」と思っている方をお招きして、語っていただくという企画です。
これらふたつイベントは東京で開催しますが、3つめの企画は地方での活動です。弘前、京都、福岡、金沢の4箇所で、各地域とJBFが連動して進めていくプラットフォームを準備しています。
堀田:僕らJBFのOSをインストールしてもらえる場所が増えていけば、さらに便利なOSになっていくと思います。今後は、このOSで動くアプリをつくってくれる人たちとどういう関係性を築いていくのがベストなのか。この辺をもっと整理して、3月のイベントで発表するつもりです。
▼二本栁さんのお気に入り:日本酒
正直、選べなかったので……敢えてこれ(日本酒)を持参しました。もともと、日本酒が大好きで、いろんな酒蔵をめぐるツアーを自分で企画しているほどなんですよ。日本酒は、日本の文化の原点のひとつだと思っています。日本酒を通じて、酒器を知り、ガラス工芸にもつながった。みんなで飲み合えば、その土地の人とも仲良くなれますし。日本酒に出会わなかったら、いまの仕事をしていないと言い切れます。
▼堀田さんのお気に入り:御猪口 3種
なんと奇遇な!僕も日本酒が好きなので、酒器を選びました。いろんな職人さんに出会って、気に入ったぐい飲みを見つけると、その場で買うようにしています。堀口切子の江戸切子は、生まれて初めて「伝統工芸品を自分のお金で買った」思い出の品。ほか、熊谷聡商店の京焼のものと、原惣右エ門工房のブロンズ製のものを持ってきました。ほかにもいくつか持っていて、お酒の種類や気分に合わせて使い分けています。
取材・文:佐藤理子(Playce) 撮影:小川拓洋
JAPAN BRAND FESTIVAL 2017
会期:2017年3月1日(水)~3月5日(日) 11:00~20:00
会場:渋谷ヒカリエ 8 / COURT、CUBE、aiiima1、aiiima2、aiiima3
http://jbfes.com/
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