やりたいことに飛び込んで知った「つくること」の楽しさ。ICSカレッジオブアーツ夜間部で学ぶ、デザインに活きる「考える力」

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やりたいことに飛び込んで知った「つくること」の楽しさ。ICSカレッジオブアーツ夜間部で学ぶ、デザインに活きる「考える力」

第一線で活躍する建築家・デザイナーの講師陣のもと、実践的な学びを通してデザイン・ものづくりの力を身につけることができる「ICSカレッジオブアーツ(以下、ICS)」。1963年創立の同校は、インテリア・建築・家具の専門学校として、幅広い知識を学びながら専門性の高い制作力・提案力を養うための5つの学科が設けられている。

中でも「インテリアアーキテクチュア&デザイン科Ⅱ部(夜間部)」は、学業や仕事を続けながら、建築、インテリア、家具のデザインをゼロから学ぶことのできるコースだ。夜間2年制で、授業は週3日。ICSの教育プログラムを凝縮したカリキュラムにより、時間を有効に使って、デザイナーとしての知識、技術、そして表現力が養われる。実践力を育む本コースの学びとはどういうものなのか、卒業生の中山智貴さんと村上友理さんにお話をうかがった。

働きながら、デザイン・ものづくりを幅広く学ぶ

──まずは、おふたりの現在のお仕事について教えていただけますか。

中山:僕は、東急Re・デザインという会社に勤務しています。東急グループのオフィスやホテルの設計施工、戸建てやマンションのリフォームなどの事業をしている会社で、僕はオフィスをメインに内装設計と営業を一貫してやっています。

<strong>中山智貴</strong> 2012年4月、大学卒業後にICSに入学。2014年に同校を卒業後、株式会社東急Re・デザインに入社。おもにホテル・オフィスの内装設計および営業業務に携わっている。

中山智貴 2012年4月、大学卒業後にICSに入学。2014年に同校を卒業後、株式会社東急Re・デザインに入社。おもにホテル・オフィスの内装設計および営業業務に携わっている。

村上:私が勤める横堀建築設計事務所は、住宅や店舗の設計およびインテリアデザイン、マンションのデザイン監修などを手がけています。そのなかで私は、インテリアに関わるコーディネート業務に携わっています。

<strong>村上友理</strong> 2005年大学卒業。2019年ICSカレッジオブアーツ インテリアアーキテクチュア&amp;デザイン科Ⅱ部卒業後、横堀建築設計事務所へ入所。

村上友理 2005年大学卒業。2019年ICSカレッジオブアーツ インテリアアーキテクチュア&デザイン科Ⅱ部卒業後、横堀建築設計事務所へ入所。

──ICSに入学された経緯についてお聞かせください。

中山:僕は2012年、大学卒業後にICSに入学しました。大学では電気工学を学んでいたのですが、将来のことを考えるようになって、「このまま就職するのはなんか違うな」と思うようになったんです。そんなとき、幼稚園の頃に、建て替えていた自宅の建設現場を見るのが毎日楽しみだったことを思い出しまして。そういった建築の仕事に携われるといいなと思い、建築を学べる学校を探していて、ICSを見つけました。

村上:私は会社勤めを経て、2017年にICSに入学しました。私も大学時代は、まったく違うジャンルの福祉学部を専攻して、福祉やコミュニティデザインについて学んでいました。卒業後は化学メーカーに就職したのですが、10年ほど勤めた頃に、自分が本当にやりたいことをやろうと思うようになったんです。それで、興味のあった空間デザインについて学び直そうと、ICSに入学しました。

──夜間部である本学科を選んだ理由を教えてください。

中山:僕の場合は、学費を抑えたかったので、仕事をしながら学べる夜間制の学校を探していました。ICSを選んだのは、ホームページを見て、デザインという分野で幅広く学べそうだなと思ったからです。また、学校見学をしたときの印象もよかったので、一発で決めた感じでしたね。

村上:私も当初から、働きながら学べる夜間の学校を考えていました。ほかの専門学校や大学院も検討したのですが、授業が18時から始まるところが多く、仕事との両立がネックになっていました。でもICSでは、もし平日の授業に出られないときは、土曜日に振り替えることができたので、それもいいなと思ったんです。あと、学校見学のときに工房があるのを見て、「本当に家具をつくっているんだ!」と急に憧れが芽生えて(笑)。建築・インテリアデザインだけではなく、家具づくりを目指している人がいたり、色々な人たちが集まっているところも魅力でした。

中山:わかります。僕も学びたいのは建築でしたが、設計の技術だけではなくて、「そもそも、ものづくりとは何か」というところから考えたいと思っていました。それには、ICSがぴったりだなと思ったんです。

制作実習を通して知る「つくること」の楽しさ

──本学科の1年次では、製図やCAD、色彩などの基礎技術を習得しながら、空間や家具デザインの課題が出されるそうですね。印象に残っている授業について教えてください。

中山:最初の課題「デザインアンテナ」はよく覚えています。好きな建築家やデザイナーの作品について調べたうえで、自分のフィルターを通した作品をつくろうという課題で、僕は建築家の藤森照信さんの作品から着想を得た、植物と一体化するような造形作品をつくりました。紙粘土や針金でつくった工作レベルのものでしたが、先生たちから「なにそれ」と否定されるようなこともなく(笑)、「おもしろいね」「こんな風にしてみたら」とアドバイスを受けながら制作できて、すごく楽しかった記憶があります。

村上:私のときの最初の課題は「あかりの造形」でした。「祝福」をテーマに自分でコンセプトを決めて実際に照明をつくるというもので、私は「国際女性デー」をモチーフに、イタリアで男性から女性に贈られるというミモザの花をイメージした「ミモザライト」をつくりました。照明をつくるなんてはじめての経験だったので、完成したときはすごく嬉しかったですね。また、クラスメイトたちが、色々な視点からさまざまな作品をつくっているのもおもしろくて、グッと授業に引き込まれていきました。

村上さんの課題作品「ミモザライト」

村上さんの課題作品「ミモザライト」

ほかにも1年次は、実際に自由が丘にある店舗を自分の提案したいお店にデザインし直すという「ファサードの提案」などの課題があり、図面を描いたり、模型をつくったりもするようになりました。

中山:僕も同じ課題をしました。実際にある店や土地から空間を考えようという課題なので、その場所に行って、周辺環境の現地調査もしましたね。

──1年次から、かなり実践的な課題に取り組んでいるのですね。

中山:「とりあえず手を動かしてやってみよう」みたいな感じでしたよね。

村上:そうそう。最初は図面の描き方もわからなかったのですが、先生に見てもらい、「ここは太線がいいね」など指導を受けてやり直しているうちに、なんとなく図面らしくなっていきました。私の代は、クラスの人数も10人ちょっとと少なかったので、その分、先生との距離も近かったように思います。

村上さん、中山さん

──新しい分野にチャレンジするにあたって、不安はありませんでしたか?

中山:最初は不安でした。ただ、僕のときは、クラスメイトに建築やインテリアに携わっていた人があまりいなかったんです。みんな「よーい、ドン!」ではじまり、お互いに相談しながら、一緒にステップアップしていった感じでした。それに、行き詰まったときはいつでも先生に相談できたので、不安はいつのまにか消えていました。やってみれば、なんとかなりますよね。

村上:そうなんですよね。あと、1年次からバンバン課題が出るので、「それどころじゃない」というのもありますね(笑)。

熱い講師陣の指導のもと、課題解決のための提案力を養う

──2年次では、専門知識を活用しつつ課題に取り組み、即戦力となる提案力を身につけていきます。

村上:2年次になると、1年次より少し計画の規模が大きくなって、複合商業施設の「アパレルショップ+カフェ」や、2階建ての「4人家族の住まい」などの課題に取り組みました。1年次は設計だけで手一杯でしたが、2年次では使用する素材や家具についてもより考えられるようになりました。

中山:「4人家族の住まい」の課題では、家族構成や仕事、趣味などを自分で想定して、住空間を考えていきました。そうして、クライアントのライフスタイルから思考をめぐらせ、掘り下げて回答を出すというステップは、今の仕事にもつながっているように思います。

──後半には、集大成としての卒業制作もあります。おふたりはどんな作品をつくられたのですか?

中山:僕は、卒業制作は美術館をつくろうと決めていたのですが、どこにつくるかという敷地の設定に迷っていたんです。そのときに、改めていろいろと考えていく中で思ったのは、「課題解決をする」ことがデザインの力だということです。ただ建物を建てるのではなくて、廃業して利用目的がなくなってしまった施設を再生させることであったり、そういったことこそがデザイン力だと思ったんですね。

そこで、まちのなかで何が問題になっているかを考えていたときに目についたのがガソリンスタンドでした。当時、廃業するガソリンスタンドが全国的に増えていたんですね。こうした建物を再生しようと考えて、自転車であちこち探して「ここだ」という場所を見つけ、コンセプトにも反映させました。

村上:私は、ICSのサテライト校を、目黒川沿いにつくるという提案をしました。夜間はICS夜間部の授業を行う学校ですが、昼間は一般の人が仕事や会議に使えるワーキングスペースとなる建物です。4層を吹き抜けでつなぎ、大部分をガラス張りにして外から中の様子が見えるようにしました。

村上さんの卒業制作

村上さんの卒業制作

制作の出発点は、ICS夜間部をもっと盛り上げたいと思ったのと、色々なライフスタイルの人が働きながら学べる場所があったらいいなと思ったからです。私自身、卒業後に学校と関わりがなくなってしまうのは寂しいと思っていたので、たまに卒業生が訪れて先生と会ったり、学生と卒業生がコミュニケーションをとれたりする空間になるといいなと考えました。そうやって、こういう場所があったらいいなと自分でも思うことを提案にまとめていったので、とてもやりやすかったですね。

──ICSは、第一線で活躍する建築家やデザイナーが、非常勤講師として教鞭をとっていることも特徴です。先生方の印象はいかがでしたか。

中山:「こんなところまで考えなきゃいけないんだ」みたいなところを指摘されるので、日々視野が広がるような発見の連続でしたね。

村上:先生方は学生だからと手を抜かず、真剣に向き合ってくださるんです。なので私は、課題発表のときは「これは仕事で、先生方はクライアントだ」と思って、しっかり準備して臨むよう努めました。ただ、みなさん熱い方ばかりなので、ときには厳しい言葉を投げかけられることもありました。やっぱり、自分が生み出したものに対して評価を受けると、けっこうダメージはありますね……。そういうときは、常勤の担任の先生がフォローしてくださるのもありがたかったです。

村上さん、中山さん

──常勤の担任の先生は、非常勤の先生のサブとして、授業のサポートをしてくださるそうですね。

中山:困っていると声をかけてくださったり、授業でわからなかったところを丁寧に教えてくださったり。なんでも話せる雰囲気で、すごく助けられました。

村上:担任の先生がいたから続けられたという学生は、とても多いと思います。細かいところまで付き添って教えていただけて、わからないことがあった場合も付き合っていただけるので。そういったサポートに助けていただいた部分は大きいですね。

卒業後の仕事に活きる「考える力」

──ICSは充実したキャリアサポートも特徴です。おふたりは在学中のアルバイトや就職活動の際に相談されたりしましたか?

中山:在学中は、アルバイトの紹介をよくしてもらいました。僕は、クラスメイトの紹介でデザイン事務所でアルバイトをしていたのですが、単発のものがあると行ったりしてました。

村上:私の場合、就職先を中途採用の枠で探さないといけないのに実務経験がなかったので、どうすればいいだろうと悩んでいたんです。それで担任の先生に相談して、「こういうところがあるよ」と教えてもらったりしました。

──実際に、現在のお仕事に就くまでの経緯についてお聞かせください。

中山:卒業後は、ICSで講師に来ていた方の建築設計事務所に入所したのですが、一年ほどで事務所の運営体制が変わり、辞めることになって。それで、ハウスメーカーの東急ホームズにアルバイトで入ったところ、いろいろ案件を任せてもらえるようになり、東急ホームズから事業移管して設立された東急Re・デザインに中途採用で入社しました。今年、6年目になります。

村上:私は、ICSに入学すると同時に定時で終わる事務の仕事に転職しました。2年次に、ICSの講師でもある横堀先生の設計事務所に声をかけていただき、ICS卒業後に入所して今3年目になります。

──お仕事をする中で、本校での学びがどのように生きていると感じますか?

中山:どの課題もそうですが、大変だったのは、店のブランドや業態などの設定から自分で考えないといけないことでした。ただ与えられた課題をこなすのではなく、まずは「何を考えないといけないかを考える」ことが一番難しかったように思います。

中山さん

「何をつくるか」という完成形ももちろん大事ですが、先生やクラスメイトたちと対話を重ねるなかで、「何を考えなければいけないのか」を学べたことは、今の仕事に活かされていると思います。あと、自分の考えを伝えることが、恥ずかしくなくなったんですよね。思っていることをちゃんと言葉にして伝えられるって、デザインの仕事ではとても重要で。それは、ICSの授業で得られたことだと思います。

村上:私は当初、デザインとアートをひとくくりに考えていたところがありまして、「芸術家のようにはとてもなれない」と思っていました。でもICSでの学びを通じて、デザインするとは、「考える力」なのではないかと思うようになりました。課題を通して思考を繰り返し、図面にし、形にするという訓練を続けられたことで、今の仕事をする上での思考法が身につけられたと思います。それは独学では気づけなかったことなので、ICSで学んでよかったなと思います。

中山:やっぱり、自分で思い描いたものを形にできる仕事はおもしろいです。さらにそれをお客さんにも満足していただいて、お互いに「やったね」みたいな気分になるのは、なにより嬉しいですね。

変化の時代だからこそ「やりたいこと」にチャレンジを

──村上さんは会社勤務を経てキャリアチェンジされたわけですが、今振り返って思うことをお聞かせください。

村上:私は20代のとき、本当に自分がやりたいことがわからず、モヤモヤしていたんですね。でも今は「こういうことがやりたかったんだ」と実感できて、モヤモヤも晴れ、やっと落ち着いたように思います。

30代でICSに入ったことも、今ではよかったと思っています。1年次のとき、課題で店舗に庇を付けたところ、先生に褒めていただいたことがあったんですね。私は、雨の日に傘を閉じるスペースがないとイヤだったので庇をつけたのですが、学びはじめたばかりの人で、そこまで考える人は珍しいと言っていただきました。そんなふうに、「こうだったらいいな」という経験を反映した提案ができたのは、約10年の社会人経験があったからではないかと、今になって思います。

村上さん

──コロナ禍という変化の時代にあって、デザインや建築を学ぶことに迷いを感じている人もいるかもしれません。最後に、卒業生の視点からメッセージをいただけますか。

中山:僕の仕事はオフィスの設計なので、テレワークが推奨されるようになった今、会社に来る意義といった根本から考えないといけないなど、大きな変化を余儀なくされました。でも、ここで足踏みする必要はないと思っていて。恐らくここを乗り越えたとしても、その社会がずっと続くわけではなく、また同じような変化のときが訪れるでしょう。その状況をプラスに変えるヒントは、学ぶことにあると思うんですよね。だから、ぜひ飛び込んでみてほしいなと思います。

村上:私も、中山さんと同じで、先がわからない今だからこそ、やりたいことをやってほしいなと思います。ここで学んだ考え方やプロジェクトを進めていく力は、この業界に限らずどんなところでも、きっと役立つはずです。なので、学びたいと思っている方はぜひ挑戦してほしいなと思います。

村上さん、中山さん

文:矢部智子 写真:寺島由里佳 取材・編集:堀合俊博(JDN)

【関連情報】

ICSカレッジオブアーツおよびICSAA(ICS校友会)にて、在校生による卒業制作作品展「第54回卒業制作作品展」と、卒業生による作品展「バラバラなデザイン展 / a diversity of design」が同時開催されます。ふたつの展覧会を通して、在校生の作品と卒業生の作品が一望できる機会となります。

会期:2022/2/19(土)~2/21(月)
時間:10:00~17:00

会場:
◯「第54回卒業制作作品展」
専門学校ICSカレッジオブアーツ(東京都目黒区柿の木坂1-5-6)

◯「バラバラなデザイン展」
LEBEN STUDIO(東京都目黒区平町1-1-19)

ICSカレッジオブアーツ
https://www.ics.ac.jp/

ICSAA(ICS校友会)
https://www.icsaa.jp/