ユーザーが必要とする情報を汲み取って届ける!アカツキ流ゲームUIデザインのつくり方-株式会社アカツキ(1)

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ユーザーが必要とする情報を汲み取って届ける!アカツキ流ゲームUIデザインのつくり方-株式会社アカツキ(1)
多様なバックグラウンドをもった「個」が集まる組織に焦点を当て、企業としての独自のカラーの打ち出し方や、新しい体験をつくるデザイン手法などを3回にわたって紹介していく連載「強い組織のつくりかた」。モバイルゲーム事業を主軸に、2010年の創業から右肩上がりの成長を続ける株式会社アカツキ(以下、アカツキ)の強さを2回にわたり展開してきたが、3回目は、【デザイン】という切り口からアカツキの強さに迫っていく。「UI(ユーザー・インターフェース)デザイン」という言葉が珍しくなくなった昨今。アカツキのゲーム制作を支える4名のデザイナー陣に、モバイルゲームに必要とされるUIデザインのあり方やゲームデザインの方法論、仕事への向き合い方などを聞いた。
世界観と情報整理のバランスが重要

――ここ数年で「UIデザイン」という言葉が広く浸透するようになりました。みなさんはゲームにおけるUIデザインのあり方をどのように考えていますか?

熊谷敦博さん(以下、熊谷): UI/UXデザイナーは、ディレクターが考えた仕様をいかにうまく伝えられるかという側面も大きいと思うのですが、僕はユーザーにどういう体験をしてほしいかにフォーカスしてデザインを考えることが多いです。例えば、いちばん感情の振れ幅を大きくしたいポイントはどこか、ポジティブな感情を最大化するにはどういう演出が効果的かなど、体験や感情に訴えかけるための設計を心がけています。

スマホって多様な年齢の人が1日に1回以上触るほど日常的なものですよね。デバイスをひとり1台は所持しているのにも関わらず、コンソール(コンシューマーゲーム)より購入する障壁が高いのがモバイルゲームだと思っています。ゆえに無料で遊べるものが溢れる。「無料だからやる」という場合が多い中でどう続けてもらうかは、インターフェースを含めた体験提供でどれだけ人の心をつかめるかに尽きると思っています。

株式会社アカツキ UI/UX クリエイティブディレクター 熊谷敦博さん

株式会社アカツキ UI/UX クリエイティブディレクター 熊谷敦博さん

加藤駿介さん(以下、加藤):僕はアカツキに入社して8か月ほどですが、ボタン配置などの設計を含めた世界観を構築するのがゲームUIの特徴であり、難しさでもあると実感しています。実際に、世界観やデザインに寄りすぎたものをつくると、「もう少しわかりやすく」とプロジェクトリーダーにアドバイスを受けることがあります。いままでは広告代理店でグッズ制作などに携わってきたこともあり、ゲームUIは未知の領域なので日々勉強ですね。

株式会社アカツキ デザイナー 加藤駿介さん

株式会社アカツキ デザイナー 加藤駿介さん

石田菜摘さん(以下、石田):私はアカツキに入社して1年ちょっとですが、当初はゲームではなく『Wowful(ワオフル)』というWebサービスのUIデザインを担当していました。その時は遷移のしやすさや、どうすればユーザーがストレスなくサービスを利用できるかを重視していました。いまはゲームUIを担当していますが、ゲームになるとキャラクターや世界観が出てきます。例えば、人気のあるIPものならファンが見た時に「わかってる!」と思ってもらえるような、世界観を崩さない表現が大事な要素のひとつかなと思っています。

――確かに「これじゃない」感はいちばん避けたいところですよね。ファンがいるものの世界観をより深く理解するためにリサーチなどは重ねるんですか?

石田:そうですね。漫画やアニメ、他社から出ているゲームなどには日頃から触れるようにしています。ユーザーの声もTwitterなどで拾いますし、幅広い分野でチェックするようにしています。

株式会社アカツキ デザイナー 石田菜摘さん

株式会社アカツキ デザイナー 石田菜摘さん

矢部由季子(以下、矢部):ほかのメンバーと共通する部分もありますが、ゲームUIは情報の見やすさやわかりやすさはもちろん、キャラクターや背景などのイラストなどのボリュームも大きいので、UIがそこと共に一体となった世界観というものが重要になってきます。もちろん情報が整理されていることは前提として、ユーザーがゲーム画面を見た時に、きちんと世界観への没入を促してあげられることが重要かなと思っています。それは一つひとつのアニメーションの表現だったり、UIパーツの色だったりすると思うんですが、情報整理とそうしたゲームアニメーションもすべてひっくるめて「ゲームUI」だと考えています。

コンセプトづくりでのこだわり

――ゲームUIには「世界観を伝える」「ユーザーが使いやすく」という大きく2つの命題があるんですね。コンセプトはどのように形づくられるのでしょうか。

熊谷:アカツキの文化には「Whyから考える」というものづくりの思想があります。「世の中にどのような価値を提供するのか」「ユーザーにどんな体験を届けたいのか」をベースにコンセプトを発展させて、その想いをビジュアル化していきます。

矢部:コンセプトは開発から運用フェーズまで一貫して必要になってくるので、最初の組み立てが肝心です。コンセプトがしっかりしていると制作物もブレないので、誰が見てもわかりやすいコンセプト資料をつくるのも重要な要素ですね。

株式会社アカツキ デザイナー 矢部由季子さん

株式会社アカツキ デザイナー 矢部由季子さん

――コンセプトを形にしていく際に、みなさんが気を使われていることは?

加藤:僕はとあるプロジェクトの企画段階に携わっているのですがディレクターが提示した企画に対して、例えばこういうエフェクトを入れたらこの企画のおもしろさがより際立つなど、どうすればデザインからその企画をより補強できるかに気を使ってやっています。

矢部:私は運用タイトルの機能改修のUIデザインを担当していますが、まずディレクターからこういう改修をやりたいというリクエストがきます。その時に、なぜやるのかという目的について積極的に一緒に話合うようにしています。それが明確でないとデザインも考えにくいですし、何を解決すればゴールになるのかわからないまま進んでいくことになるので。ディレクターが考えてくれたことを軸に、こうしたほうがより良くなるんじゃないかというデザイナーとしての視点は、提案ベースとしてもつように心がけています。

石田:現在、矢部と同じタイトルのゲームを制作しています。私は運用チームでバナーなどの画像制作を行っていますが、それもゲームUIの大事な要素だと思うので、バナーひとつを制作するにしても、ユーザーが思う世界観の認識にズレがないかは注意しています。ユーザーに届くデザインをし続けられるように、常に自分の中での目標も置き、日々技術向上に向き合っています。

――アカツキはコンバート組を積極的に迎え入れる風土があると思いますが、学びの機会は多いですか?

加藤:未経験で自信のないことでも「やってみなよ」って任せてくれますし、そのバックアップはしっかりしてくれる。そういう文化は本当にしっかりあると思います。

熊谷:アカツキは未経験の領域への初手はかなり早い方なので、そこはポジティブですね。変化を成長だと思って臆せず突き進んでくれた方が色々任せやすいですし、組織としても強いと思います。後輩に任せることで、その分新たな領域にチャレンジできたりもするので、頼れる若手がいるのはすごくいいことだと思います。

株式会社アカツキ

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