シルクロード特別企画展「素心伝心」

クローン文化財 失われた刻の再生

シルクロード特別企画展「素心伝心」

文化財は唯一無二の存在であり、その真正性は本来、複製が不可能だ。その一方で、文化財の複製の歴史は古く、文化財の記憶をより広く長く継承したいという思いは、普遍的・根源的なものであるといえる。東京藝術大学では、劣化が進行しつつある、または永遠に失われてしまった文化財の本来の姿を現代に甦らせ、未来に継承していくための試みとして、文化財をクローンとして復元する特許技術が開発された。

絹の道、シルクロードは仏教の道でもある。インドで生まれた仏教は、シルクロードを通ってギリシア・ローマ、イランなどの文化と融合し、グローバルな文化様式が育まれ、さらに中国において大きな変容を遂げ、東アジア仏教美術の古典様式が形成された。シルクロード各地の文化財は、それぞれに関係性をもちながら多文化・多様性を体現しており、極めて今日的な意義を有しているといえるだろう。

しかし、シルクロードの文化財は現在、さまざまな危機に面している。2001年に爆破されたバーミヤン東大仏天井壁画、流出後に第二次大戦の戦火で失われたキジル石窟航海者窟壁画、保存のため一般公開が困難な敦煌莫高窟第57窟、模写作業中に焼損した法隆寺金堂壁画など、再現する作品はいずれも唯一無二の歴史的・芸術的価値が認められながら、惜しくも失われていたり、実物を鑑賞することが難しい作品ばかりだ。

本展では、クローン文化財の制作にあたっては、オリジナルの精細な画像データを取得し、三次元計測や科学分析を行って、空間・形状・素材・質感・色を忠実に再現する。また、クローン文化財に加えて、生涯にわたりシルクロードを歩き、撮り続けた並河万里の写真や、本展のために現地で撮影した映像、臨場感のある音など、五感でシルクロードの世界を体感することができる。

開催期間 2017/09/23(土)~2017/10/26(木)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~17:00(金曜日は20:00まで/いずれも入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、10/9は開館)
入場料 一般1,000円/高校・大学生800円/中学生以下は無料/障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料
会場
  • 東京藝術大学大学美術館
  • 本館 展示室3、4
  • 東京都台東区上野公園12-8
お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
会場URL http://www.geidai.ac.jp/museum/
詳細URL http://sosin-densin.com/