沖真秀による個展「Let’s Go Potato Friends」が、VOILLDで開催される。

イラストレーション、グラフィック、ペインティング、オブジェなど、さまざまな手法で作品を創作し続ける沖真秀。一見、キャッチーで可愛らしい作品群も、見れば見るほどその奥に切なさや哀愁が感じられ、見る者を不思議な感覚に陥らせる静かな狂気を持っている。その独特な世界観はミュージシャンを始めとする多くのクリエイターからも支持を得ており、人々を魅了し続けている。

沖真秀は、メディアを問わずにさまざまな温度感の作品を大胆に作り続けながら、常に新たな表現に挑戦している。制作される作品群は、感情的で突拍子もないようなものに見えながら、独特のタッチで描かれる緩やかな線や形は、彼の記憶という糸で巧妙に繋がっており、繊細な表情を隠し持っている。それらは可笑しくふざけているようで、反抗的でいて、どこか悲しい。まるで彼自身の生い立ちや頭の中を覗いているかのような、沖真秀という宇宙に私たちを迷い込ませるのである。制作を進めるたびに自己のルーツを見つめ直しながらも、新境地へと進み続けている。

今回の個展に向けて、日々抱え増える苦悩や、それを忘れたい衝動、しかし両方を捨てきれないもどかしさが、人々が持つひとつの「弱さ」になっていると考え、それらの感情といかに共存していくかということが、作品を作る上でも彼の課題となっていた。弱みを見せることは手の内を明かすような事でありながら、あえて弱点を明かしたとき、そのひねくれた感情に対し共感するのか呆れるのか、あるいは希望を見出すのか。人々がどのような思いを抱くのかを、一見曖昧なようで強い精神のもと制作された作品群を通して、実験的に試そうとしているのである。

【関連イベント】
●オープニングレセプション
日時：10月14日（金）　18:00～21:00