きらめくベルベットの布地に豪華な毛皮で襟飾りが施されたコート、最高の職人の手で刺されたビーズ刺繍のケープ、チュール地をふんだんに用いてボリュームたっぷりに仕上げられたイブニングドレス、銀糸で複雑に織り込まれた薔薇モティーフが華やかなパンプス。国内屈指のモードコレクションを収蔵する島根県立石見美術館の麗しいモード作品の数々を、この秋、東京で一堂に紹介する。

20世紀は、ファッションがめまぐるしく変化した時代であった。社会のありようがモードを変革し、また逆に衣服の形が女性のライフスタイルに直接働きかける場合もあった。そうした動向は同時代のインテリアにもみることが出来る。

本展は、ベルエポック、ジャズエイジ、世界恐慌と大戦をへてミッドセンチュリーを過ぎるまでの20世紀ファッションの流れを、同時代の主要なインテリアと共に概観する試みである。暮らしを総合芸術の舞台ととらえ、人々の生活に欠かすことのできない造形である、衣服と住居、その移ろいをご覧いただきたい。