DAISY BALLOON「MOBILE」

孤立した僕達はどうして失われた共同体を求めてしまうのか。

DAISY BALLOON「MOBILE」

ホテルアンテルーム京都では、4月9日から5月8日まで、東京を拠点に活動する「DAISY BALLOON」による個展を開催する。

DAISY BALLOONは、世界を舞台に活躍するバルーンアーティストRie Hosokai(細貝里枝|1976年)とアートディレクター、グラフィックデザイナーのTakashi Kawada(河田孝志|同年)からなるアーティストユニット。2008年結成以来、「感覚と質」をテーマに掲げ、バルーンで構成された数々の作品を制作している。

『現代に生きる私たちが「問題なき問題」に直面していること。これが、本展におけるテーマの出発点。現代、特に先進国に生きる人の多くは、自由や平等、人権を確保され、生命体として満たされた状態にある。芸術を生み出すアーティストにとって、このような生命体としての苦悩がなく、身を以て「問題」を感じることが少ないという状況は、換言すれば、「問題なき問題」を抱える、ということになる。

一見、飽和しきった、出口なき問題に見えるこのテーマも、ゆっくり息を潜めて思索していくと、そこには狭められた個という孤独のかたちがぽっかり浮かび上がってくる。かつて孤独を含むさまざまな苦悩や悲しみは、大きな共同体に根付いた物語という共感装置によって昇華されてきたが、個を重視する現代に至り、私たちはそのコミュニティを失いつつある。もちろん、個として生きなければならなくなった人間は多くのものを得たが、同時に、昇華しきれない孤独を義務付けられた。もう、私たちは大きな共同体で自分の延長として他者を感じることはできないのだろうか。始まりはひとつであっても、一度分散したら戻ることがないビックバン以降の宇宙の膨張、そして、そこに散らばってしまった粒子のように、人は孤立し、分散していく運命にあるのか。

古き文化が守られ、失われた共同体がまだ残っている京都という地は、『MOBILE(モビール)』の作用がなされている数少ない都市だと言えるかもしれません。この『MOBILE』とは、バランスを保ちながら個体を繋げるストラクチャのことで、京都では、人々が個として分散せずに、コミュニティを形成しているように思えます。それを現代まで持続可能にしてきたのは、個の力がより巨大な都市という器にかしづき、都市もまた個に還元してきたからでしょう。失われた共同体の存在に気づき、自らが何をすべきかを考える。』(DAISY BALLOON)

開催期間 2016/04/09(土)~2016/05/08(日)
※イベント会期は終了しました
時間 12:00~19:00
休館日 無休
入場料 無料
参加アーティスト DAISY BALLOON
会場
  • ホテル アンテルーム 京都 | GALLERY9.5
  • 京都市南区東九条明田町7番
会場電話番号 075-681-5656
会場URL http://hotel-anteroom.com/
詳細URL http://hotel-anteroom.com/gallery/1415