生誕百年記念 井上有一

生誕百年記念 井上有一

戦後の日本現代美術を代表する井上有一の、生誕百年を記念する大回顧展が金沢21世紀美術館で開催される。

井上有一(1916-1985)は、戦後まもなく世界的に高い評価を得た数少ない日本の現代の書家である。有一は紙と墨からなる「書」を現代芸術の文脈の中で、個人の表現物として開花させた。本展では、初期から晩年までの200点を越える代表作によって井上有一芸術の核心に迫る。

出品作品は、1955年、抽象表現主義と呼応した抽象書「作品」シリーズ、1957年、サンパウロ・ビエンナーレ国際展に出品した初期の代表作《愚徹》、ボンドや凍らせた墨など、素材と描法に工夫を凝らした《好》《母》《風》などの60年代、思想と生き様の一致した《貧》などの70年代、また70年代末から80年代へと晩年に向かい豊かな世界を形成した《鳥》《月》《刎》《鷹》などが並ぶ。

一字書だけでなく、他の代表的なスタイルの作品も展覧される。戦争の悲惨さを自らの体験によって作品化した《東京大空襲》《噫横川國民學校》などの多文字書、語りながら書いた「言葉書」シリーズの《草野心平詩 蛙誕生祭》《宮沢賢治童話 よだかの星》などのコンテや鉛筆、木炭による書、死に向き合って制作された《宮沢賢治童話 なめとこ山の熊》、臨書《顔氏家廟碑》《上》、また絶筆ともいえる《心》。有一が生涯こだわった型破りで自由な書の世界を、生涯にわたって制作した作品群の紹介を通じ、回顧展形式で紹介する。

【関連イベント】
●連続オープニング・レクチャー
日程:2016年1月9日(土)
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
料金:無料
定員:各回とも先着50名(予約不要)

Session 1
「井上有一を語る:書は万人の芸術である」
時間:13:30~14:45(開場13:15)
講師:海上雅臣(美術批評家)

Session 2
「井上有一作品の魅力を読み解く―オブジェ、キャラクター、オノマトペ―」
時間:15:00~16:15
講師:栗本高行(多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員、美術評論家)

●芳賀徹×海上雅臣 井上有一生誕百年記念対談
日時:2016年2月13日(土) 14:30~16:00(開場14:15)
講師:芳賀 徹(東京大学名誉教授、京都造形芸術大学名誉学長、静岡県立美術館館長)、海上雅臣(美術批評家)
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
料金:無料
定員:先着50名(予約不要)

開催期間 2016/01/02(土)~2016/03/21(月)
※イベント会期は終了しました
時間 10:00~18:00(金・土は20:00まで)
休館日 月曜日(ただし2016年1/11、3/21は開場)、2016年1/12
入場料 一般1,000円/大学生800円/小中高生400円/65歳以上の方800円
参加アーティスト 井上有一
会場
  • 金沢21世紀美術館
  • 展示室7~12、14
  • 石川県金沢市広坂1-2-1
会場電話番号 076-220-2800
会場URL http://www.kanazawa21.jp/