
今日、私たちの暮らしのいたるところに、「雑貨」と呼ばれるモノが存在する。しかし、非常に身近であるはずの「雑貨」は、すぐ手の届くところにありながら、その定義は曖昧にして捉えどころがない。
そもそも、私たちが普段無意識に使っている「雑」という字には、「分類できないもの」「多様に入り混じったもの」という意味がある。その中でも「雑貨」というカテゴリーが生まれた背景には、時代の節目節目に外来の多様な生活文化や新しい習慣を柔軟に受け入れてきた歴史がある。その変化に応じて、暮らしの中に様々なモノを取り込んできた日本人の生活史を象徴する存在が「雑貨」ともいえるのではないだろうか。
日本の高度経済成長期にあたる約半世紀前までは、「雑貨」とは、やかんやほうき、バケツといった「荒物」=生活に必須な道具を指していた。しかし現在、街中の「雑貨店」の店頭には、グラスやナイフにうつわ、ブラシやスツール、時に食品や化粧品まで、中には用途が分からないモノや実用性を持たないモノなど、従来の「雑貨」のカテゴリーを超えたあらゆるモノを見ることができる。インターネットが普及し、自身の嗜好や感性に馴染むモノがいつでもどこでも自由に入手可能になった現代で、こうした傾向はますます加速し、「雑貨」という概念も広がり続けている。
このような変遷を踏まえて、今あえてゆるやかに定義するならば、「雑貨」とは「私たちの日常の生活空間に寄り添い、ささやかな彩りを与えてくれるデザイン」といえるだろう。探す、選ぶ、買う、使う、飾る、取り合わせるといった行為や経験を通じて、モノ自体が持つ魅力を再発見し、暮らしに楽しみをもたらしてくれる「雑貨」は、もはや現代人の生活空間に欠かせない存在となっている。
本展はこうした「雑貨」をめぐる環境や感性を、世界的にもユニークなひとつの文化として俯瞰し、その佇まいやデザインの魅力に改めて目を向ける展覧会である。
【展覧会チーム】
展覧会ディレクター:深澤直人
企画:井出幸亮/テキスト、中安秀夫/企画リサーチ、橋詰宗/展示グラフィック、熊谷彰博/コンセプトリサーチ
会場構成デザイン:荒井心平(NAOTO FUKASAWA DESIGN)
会場構成協力:五十嵐瑠衣
ショップ監修:山田遊(method)
展覧会グラフィック:葛西薫
企画構成:前村達也(21_21 DESIGN SIGHT)
【参加作家】
青田真也、池田秀紀/伊藤菜衣子(暮らしかた冒険家)、川原真由美、国松遥、小島準矢(Superposition Inc.)、島本塁/玄 宇民(CGM)、菅俊一、D&DEPARTMENT、寺山紀彦(studio note)、野本哲平、萩原俊矢、藤城成貴、松野屋、三宅瑠人、フィリップ・ワイズベッカー、他
【出展者】
岡尾美代子、小林和人(Roundabout, OUTBOUND)、小林恭・マナ(設計事務所ima)、たかはしよしこ(S/S/A/W)、平林奈緒美、ルーカス B.B.(PAPERSKY)、PUEBCO INC.、保里正人・享子(CINQ, SAML.WALTZ)、松場登美(群言堂)、森岡督行(森岡書店)、他
開催期間 |
2016/02/26(金)~2016/06/05(日) ※イベント会期は終了しました
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時間 | 10:00~19:00(2016年4/28は22:00まで/いずれも入場は閉館30分前まで) |
休館日 | 火曜日(2016年5/3は開館) |
入場料 | 一般1,100円/大学生800円/高校生500円/中学生以下無料 |
会場 |
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会場電話番号 | 03-3475-2121 |
会場URL | http://www.2121designsight.jp/ |
詳細URL | http://www.2121designsight.jp/program/zakka/ |