
1990年代はグローバリズムが加速した時代であった。ベルリンの壁崩壊やEUの発足は、政治的な境界の消失の象徴的な出来事だったが、あらゆるものの境界が消失し、流動的に接続される世界像が形成されたといえる。
同時代に開催された「Any会議」では、建築と哲学を架橋するさまざまな議論が展開された。この中の一部の動きとして、デジタル・テクノロジーを駆使する若手の建築家たちを中心として、ドゥルーズの哲学を「接続の思想」として解釈し、そのような思想や当時の世界像に対応した建築のあり方を追求するものも現れた。彼らは「接続性」や「関係性」といったキーワードをもとに、独自の建築思想を生み出していったが、これは現在のコンピュテーショナル・デザインの礎になっている。
現在でも建築を考える上で、「接続性」や「関係性」は重要なキーワードである。一方、グローバリズムが示した境界を越えて自由にモノが流動し接続される世界像はさまざまな側面で揺らぎはじめている(中東問題、EUの分裂危機など)。哲学においても、「接続性」や「関係性」の思想を批判する「切断」の思想や「オブジェクト」の思想など、新たな潮流が生まれてきている。また、「Any会議」以降、隔たりが生まれていた建築と哲学の距離は、再び縮まろうとしている。
このような状況をふまえ、本イベントでは、「切断」の哲学が建築に示唆するもの、そしてこれからの建築のあり方について、幅広い視点から議論する。
開催期間 | 2016/10/07(金) |
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時間 | 18:00~20:30 |
入場料 | 無料 |
参加アーティスト | 千葉雅也、平田晃久、門脇耕三(講演者)、松田達(コメンテーター) 、平野利樹(モデレーター) |
会場 |
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お問い合わせ | 03-3456-2056 |
会場電話番号 | 03-3456-2051 |
会場URL | http://www.aij.or.jp/ |
詳細URL | http://bunka.aij.or.jp/2016/honbu.html |